
若手スタッフたちは夏の山賊キャンプに向けて毎週のように川に行き、フィールドの下見とともに操船や川遊びで必要な技術を身につけるための研修をしています。
私も若いころは参加していました。天竜川を泳いで横断したり、レスキュー訓練をしたり、より高度なスキルを身につけるために、普段は流れが激しくこどもたちを連れて行かないフィールドでも研修を行いました。当時は「できるようにならなければ」以上に、恐怖の方が大きかったのを覚えています。
先日、久しぶりに天竜川でのラフティングボートの操船研修に参加しました。
若手スタッフは行きたい方向に行くことができずに四苦八苦。思う方向に進ませられず、右に振っては曲がりすぎ、左に振ってはまた曲がりすぎて、そのうち流れに流されていました。
それを見て、「手元だけを見ているとうまくいかない。遠くのゴールを目指して操船するんだよ」と伝えました。
パドルの動きばかりに気にしていると、かえってボートは思うように進みません。大切なのはどこへ向かいたいのかを明確にすること。目の前の動きに捉われるよりも、遠いゴールを意識した方が結果としてうまくいきます。途中右往左往しても、最後にゴールにつけばいい。その過程で必ず、操船技術は身についていくのです。
川研修をするたびに、学んでいるのは川の技術だけではなく、仕事の仕方にも通じるなと感じます。
例えば今の操船の話もそうです。目の前の仕事をうまくこなすことだけを考えると、本来の目的を見失ってしまうことがあります。何のための仕事なのかを考えて取り組んだ方が、結果的にゴールに近づきます。
レスキューの基本「感情で動くな。頭で動け」や「3つのS(シンプル、スピーディー、セーフティ)」もそうです。今では緊急時や大きなトラブルに見舞われた際の判断基準としています。
これはキャンプのこどもたちも一緒です。
「困ったら手伝ってもらえばいい」
「失敗したらやりなおせばいい」
「はじめての人とも友達になれる」
こどもたちはキャンプで必要な火おこしの方法や刃物の使い方、川の遊び方を学ぶわけではなく、むしろ周辺や過程からよりたくさんのことを学ぶのです。
自然体験活動は大なり小なり、身の危険を感じる活動です。「自分で考えて行動しなければならない」という緊張感が、こどもたちの学びの吸収力をあげていきます。
今は答えらしきものが簡単に手に入る時代です。AIに問いかけ、ネットを探れば、答えはいくらでも出てきます。
一方で自然体験はうまくいかなかったり、不確定要素が多く遠回りばかり。けれどその右往左往にこそ学びの本質があります。私たちがこどもたちに身につけてもらいたいのは、キャンプの技術というよりも、自分自身が学びを見つけ出す力です。それこそが、自分を支え、自分の足で歩んでいくための力になるからです。
※今年度から代表コラムはこちらのブログに引っ越しました。
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グリーンウッドの代表理事。2004年よりグリーンウッドスタッフとなり泰阜村に移住。一男二女の父。2024年より代表理事となる。
