8月代表コラム|答えを急がず、まわり道やでこぼこ道を楽しむ

8/23を持って2026年夏の信州こども山賊キャンプは全21組を終了いたしました。参加したこどもたち、私たちを信頼して送り出してくださった保護者の皆様、相談員として来てくれた青年ボランティアの方、そして野菜を提供してくださった農家の皆様を含め泰阜村の方々に深く御礼申し上げます。本当にありがとうございました。

知らない場所、知らない人たちに囲まれ、かつ本物の山の中に放り込まれたこどもたちは、すぐに本来の素を見せてくれません。こどもたちもおそるおそる、さぐりさぐりではじまります。そんな様子見の固い空気が変わる瞬間があります。それはご飯づくりです。

山賊キャンプでは、材料は渡されますが、何を作るかは自分たちで決めます。かまどを作り、火をおこし、野菜を切り、調理をする。食べ終わった後の片付けまで、すべてこどもたち自身が行います。

当然、時間はかかります。火がなかなかつかない、思った通りの料理にならない、意見がぶつかることも、言い争いになることもあります。大人から見れば、もっと効率の良いやり方はいくらでもあるでしょう。

それでも私たちは、その時間を大切にしています。なぜなら、こどもたちが成長するのは、まさにその遠回りの中だからです。

どうしたら火がつくのかを考える。うまくいかない理由を話し合う。一人ではできないから仲間に助けを求める。相手の意見を聞きながら折り合いをつける。
立ち止まること、戸惑うこと、失敗すること、すべてが学びの時間です。

初日は不安そうな表情で参加していた子が、数日後には仲間に声をかけ、自分の役割を見つけて動くようになります。自分のやりたいを押し通していた子が仲間に譲ったり、大変そうな仲間に声をかけ手伝ったり、年長の子が年少の子を思いやったりするようになります。その変化はゆっくりで、本人も「私は成長した!」などと考えていません。そうした方がいいと思って動いているだけです。
毎年こどもたちを見ていると、火おこしや料理の技術よりも、そうした変化の方がずっと成長へ大きな一歩なのだと感じます。

「学校や塾で追い立てられた暮らしの中で、キャンプは時計がなく天国だった」とアンケートにありました。

グリーンウッドには「答えを急がず、まわり道やでこぼこ道を楽しむ」という価値観があります。平らな道で歩いているだけでは筋力が育ちません。変化に富み、時に苦しい上り坂を上ることで筋力やバランス力がついていきます。人もまた思い通りにならない経験の中で成長していくのではないでしょうか。

全国的な猛暑や豪雨、熊の出没など、自然を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。野外活動を続ける責任の重さを感じることも少なくありません。
それでも、自分の体を使い、自分で考え、失敗し、仲間と力を合わせて乗り越える経験は、これからの時代だからこそ必要だと感じています。

この夏も、こどもたちはたくさんの挑戦を通して、自分の可能性に出会ってくれました。私たちもまた、その姿から多くのことを学ばせてもらいました。こどもたちの「生きる力」が育つこの場を、これからも大切に守り続けていきたいと思います。

※今年度から代表コラムはこちらのブログに引っ越しました。
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