前回の豊田市に続いて大阪の幼稚園の保護者会での講演です。
テーマは「どうやって育てる?大人になるまでに必要な力~暮らしの学校だいだらぼっちの実践から」
事前打ち合わせでは「社会の価値観が変化して、保護者も子育てビジョンがわからない。例えば塾に通わせた方がいいのか、もっと身体を使って遊ばせたほうが良いのか迷っている。また地域の学校では不登校も多く、公立の学校ではないオルタナティブな学校を選ぶ家庭も増えて、そこでも悩みはつきない。現状のこどもたちの問題点と共に、将来生きていくことに関して、何が大切でどんな力が必要なのかを話してもらえるとうれしい」という要望でした。
「暮らしの学校だいだらぼっち」の話をしても特殊すぎるため「すごいですね」と言われるだけで参考にならずに終わってしまいます。そこで今回はこどもたちが大人になったときはどんな時代になっているかを考えるところからはじめました。
幼稚園に通う年長さんが社会人になるのが22才とすると16年後の2040年です。その時、世界はどうなっているでしょうか?
2040年は地球の平均気温上昇を1.5度までに抑えるという目標が掲げられている年。日本はというと自治体が700以上消滅する可能性があると言われている年でもあります。
既に2024年の平均気温はその1.5℃を超えているというニュースが出ています。また人口減少はご存知の通り今まさに運送業の人手不足問題が取りざたされるなど暮らしに大きな影響を与えています。生活インフラの維持も難しい時代になっているということです。
簡単にいえば「正解のない時代」。そんな時代に生きるこどもを育てるロールモデルもありません。
こどもたちに必要な力とは何か?また育てるための親の距離感について話をしました。
最も大切なのは、他者と協働する力だと思います。
以前、能登地震で被災されたアウトドア団体の方とお話しした際、「アウトドアのサバイバル技術よりも周りの人たちとなんとかするコミュニケーションの力の方が役に立つ」とお話しされたのが印象的でした。
どんな困難も予想することはできません。だからこそ周囲にいる人達と「どうにかしよう」と話し、動ける力はなによりも大切だと感じています。それは災害のようなトラブルに留まらず、仕事においても、暮らしにおいても同様です。
しかしこういった力は自然に培われるものです。そこで「暮らしを体験の場にすること」の提案と、その際に大事になる「大人の距離感」について話しました。
私たちグリーンウッドのスタッフは「相談員」として普段から山村留学のこどもたちと一緒に過ごしています。その際に大事なのは「教える」よりもこどもが「自ら動き、自ら学びを発見する」関わり方です。
親という立場では難しい関わりです。だからこそあえて「他人の距離感」、つまりこどもをひとりの人として関わろうという気持ちが大切であり、どんなスキルを身につけさせるかを考えるよりも、すぐにできることのひとつだと伝えました。
これから子育てだけでなく、あらゆる面で難しい時代になってきます。私たちの知見が少しでも役に立ったのであれば幸いです。
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グリーンウッドの代表理事。2004年よりグリーンウッドスタッフとなり泰阜村に移住。一男二女の父。2024年より代表理事となる。