みんなでつくる、その場所で|2026長期インターン(あさみ)

泰阜村に来て、早くも半年が過ぎました。

朝晩の空気が少しずつ冷たくなり、栗ご飯や柿の豊作など、身近なところから秋の訪れを感じるようになりました。

今年の夏、私は山賊キャンプの現場チームとして動きました。

長期インターンシップとしてグリーンウッドに来ることを決めるまで、恥ずかしながら私は「山賊キャンプ」のことをほとんど知りませんでした。

「へー、たくさん人が来るんだー。」

そのくらいの、薄っぺらいイメージ。

そんな私がこの夏を振り返ると、最初と今では、山賊キャンプの見え方が随分変わりました。

山賊キャンプの期間中、私は主に「フード」という、みんなの食材を分けたり、炊き出しをしたりする仕事を担当しました。

何がどこにあるか、すぐに思い出せない。次に何をしたらいいのかも分からない。

「これはどこにありますか?」

「次は何をしたらいいですか?」

最初の私は、とにかく教えてもらったことをやることで精一杯でした。

周りではみんなが当たり前のように動いているのに、自分だけ何をしたらいいのか分からない。

「長期インターンとして来たのに、私はこのキャンプの力になれているのだろうか。」

そんな不安を抱えていました。

でも、そんな私に周りのスタッフは一つひとつ丁寧に教えてくれました。

そして、何度かキャンプを経験するうちに、分かることが増えていきました。

「何をしたらいいですか?」と聞く回数も、少しずつ減っていきました。

(食材発表)

そんな中で、強く印象に残ったのが相談員のこどもたちとの向き合い方でした。

3泊4日の間、相談員はずっとこどもたちと一緒にいます。

一緒にご飯を食べて、遊んで、話して、時には悩んで。

私はフードとして少し離れたところから、その姿を見ていました。

こどもたちへの声のかけ方は本当に人それぞれで、直球で言葉を投げかける人もいれば、こどもが動き出すまで、じっと待つ人もいる。

活動に参加しようとしないこどもに、何気ない会話をしながら、いつの間にか活動に巻き込んでいく人もいる。


特に印象に残っているのが、ベーシックでのある場面です。

そのこどもは、じっとしているのが苦手で、食事をつくる時間になってもずっとその場をぐるぐる歩き回っていました。

その時、ある相談員が「家では何食べてる?」「お野菜、何が好き?」そんな風に、こどもと何気ない会話をしていました。

すると、気がつけばそのこどもが、じゃがいもの皮をピーラーで楽しそうに剥いていました。

私はその様子を見て「声のかけ方一つで、こんなに変わるんだ」と思いました。



私は、やるべきことを伝えることに意識が向きやすい。

「今は食事作りの時間だから、やろう」と直球で言葉を投げかけるタイプです。

でも、その相談員はこどもがどうしたらその活動に入っていけるのかを考えて、その子に合った声のかけ方をしていました。

またそれまでの私は、分からないことがあると「どうしたらいいですか?」とすぐに答えを聞きたくなっていました。

分からないからといって、なにもできないわけではない。

目の前のこどもの様子を見て、自分なりに考えてみることはできる。

やってみて、うまくいかなかったら、また別の方法を考えればいい。

そのことを、相談員の姿から教えてもらったように思います。

(流しそうめんの工作)

その感覚がさらに強くなったのが、スーパー1組でした。

1週間という、私にとっては驚くほど長いキャンプ。

ベーシックやチャレンジのキャンプとは違って、長い時間を一緒に過ごすからこそ、こどもたちの変化だけではなく、相談員の姿も近くで見ることができました。



その中でも、ある相談員の姿が印象に残っています。

その相談員は、初めてスーパーに参加していました。

元気すぎるこどもたちをまとめようとして、一生懸命に声をかける。

「なんとかしなきゃ」と頑張っているのが伝わってきました。

でも、なかなか思うようにはいきません。

こどもたちがまとまらなかったり、思ったように動いてくれなかったりする。

そして、頑張っているからこそ、その相談員自身も少しずつ疲れているように見えました。

私はその姿を見ながら、「声をかけた方がいいのかな」と思いました。

「大丈夫?」と声をかけようか。

「こうしたらいいんじゃない?」と伝えようか。

でも、余計なことをいってしまわないだろうか。

伝えることで、声かけの可能性の幅を狭めてしまうのではないか。

そんなことを考えているうちに、結局、私はその相談員に声をかけませんでした。

今でも、あのとき声をかけたほうがよかったのかな、と考えることがあります。



その後、キャンプの報告会「想い出会」で、振り返りの時間があり、その相談員がみんなの前で「もっと早くスーパーに参加すればよかった。楽しかった。」と話していました。

その言葉を聞いて、私は「ああ、よかったな」と思いました。

声をかけることができなかった心残りがあったからこそ、キャンプを終えてその人自身が「楽しかった」と思えたことが、素直に嬉しかったです。

(スーパー1組:何の食材を使うか、どんな料理にするのかをみんなで話し合い)

そして、そんな相談員の姿を見ているうちに、「人と動く」ということについても、考えるようになりました。

そのきっかけになったのが、ベーシック8組の出来事でした。

長老のなるこは前の組で初めて若長老をやり、体力的にも精神的にも疲れている様子でした。

私は、それまで山賊キャンプは

「長老の判断でいろいろなことが動くもの」

だと思っていました。

だから、長老が大変な状態だったら、どうするんだろう。

長老の判断を待たないといけない。長老の言う通りに動かないといけない。

そんなふうに考えていました。

そのとき、最長老のしんさんから言われた言葉が印象に残っています。


「山賊キャンプは、

長老だけが動かしているものではないよ。

今は年齢が高い長老が多いけど、

昔は若い人たちが長老本部関係なく支え合って、

意見を出し合っていた。

長老だけではなく、

本部で協力してやっていくんだよ。」


その言葉を聞いて、はっとしました。

私は「誰かが判断して、その人の言う通りにみんなが動く」ことを「みんなで動く」ことだと思っていたのかもしれません。

でも、そうではない。

誰かが大変な時には、別の誰かが考えて動く。

自分の意見を出す。

困っている人がいたら助ける。

分からないことがあれば相談する。

一人ひとりが自分で考えて動くからこそ、全体が動いていく。

そのことに気づかされました。


これは、相談員の姿を見て学んだことともつながっています。

相談員も、こどもたちに「こうしてください」と言って、その通りに動いてもらうだけではありません。

誰かを思い通りに動かすのではなく、相手を見ながら、自分の動き方を変えている。

そして、それは相談員だけではありません。

グリーンウッドで働く人たちも、私が出会った人たちも、誰か1人がすべてを動かしているわけではありません。

それぞれが自分で考えて動いている。

でも、ばらばらに動いているわけでもない。

山賊キャンプで出会った人たちの姿から教えてもらったことを通して、これから自分が人と関わり、何かをつくっていくときにも、相手をよく見て、自分で考えて、時には誰かに助けてもらいながら、自分にできることを探していきたいです。

(撤収キャンプ:山賊キャンプ中に使ったブルーシートをきれいに)


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