2021教師指導者育成プロジェクト~なるこ 9月の研修報告~

ーだいだらぼっちのこどもとの関わりー

 私の2学期に向けての目標は、大事なことを伝えたい時に、自分の想いが届くように、特にまだ関わりが少ないこどもたちとの関係性を築くことです。そのために、9月は彼らと一緒にひとつのことに取り組むこと、共にする時間を特に意識して過ごしました。宿直の夜の時間に彼らと話をしたり、出し物大会の準備をしたり、一緒にアケビをとったり、ギターを練習したりしました。彼らに自ら関わっていくことで、彼らの様々な言葉や表情、感情に触れ、彼らが抱いている想いや葛藤を想像する幅が広がったように感じます。

 そんな中、ひとりのこどもとは、苦しい時間を共有する出来事がありました。今のだいだらぼっちを伝えるための冊子に、こどもたちひとりひとりが「2学期の目標とやりたいこと」について書く機会があり、その子はそのお題に対して、だいだらぼっちでなくてもできることを書きました。普段彼と暮らしを共にしていない読み手には、彼が何を考えているか、どんな暮らしを送っているかが伝わらないという理由で、書き直すことになった時に、私が彼と話をすることになりました。彼は目標とやりたいことを考えることに向き合おうとせず、「だいだらぼっちらしいってなんだよ」「いいことを書かせようとしてくる」ということを口にしました。自分の想いを否定されているように感じさせてしまったことや自分の言葉が彼に伝わっていかないことを感じて、その時は心が折れてしまいました。

しかし、今思うと私こそ今の彼に向き合おうとせず、彼にだいだらぼっちらしいことを書かせて、その場を済ませようとしていたと思います。そして、今までその子と話す必要がある時に、彼と話をするのは他の相談員で、私は今までその子と楽しいことや面白いことしか共有していなかったことに気づきました。だから、今回初めて彼と真っ向から向き合ってみた時に、彼と考えを伝え合うことが、こんなにも難しいのかと実感しました。今まで私は彼のいいところ、出来るようになったことにはよく目を向けていましたが、今の彼に足りないことを見ようとしていなかったのだと思います。

 それから、周りの相談員と話すことで、これから彼とどう関わっていくかを改めて考えることができました。彼が人ともめることやぶつかることも、今彼が初めてのことと向き合っている証拠であること。認められることや叱られること、そのひとつひとつが今の彼にとって必要な過程であることを強く感じました。彼と一緒になって日々彼の葛藤や喜びを共有し、今の彼の歩みを認めることを大切にしていきたいと思います。

―10月に向けてー

 9月、私の心に残ったのは、天竜川を手作りの竹のイカダで下ったこどもの姿です。暮らしの隙間時間にコツコツと作り上げたイカダで、見事に川を下りました。こどもたちが、純粋に面白いことを求めて、チャレンジできる環境があることは、素晴らしいことだと思います。こども時代をこの環境で過ごしている彼らが羨ましくも思えました。しかし、今私はこどもたちと共に暮らしています。この環境を生かして、こどもたちとお互いに影響を与え合いながら、日々やりたいことにチャレンジしていきたいと思います。

〈9月研修担当もーりぃのふりかえり〉

4月からこどもたちと同じ目線で誠実に関わってきたなるこは、彼らと良好な関係を築いてきました。しかし、その関わり方が話やすい子や関わりやすい子たちに偏っていることにも気づきました。9月は、なるこ自身楽しく過ごせる関係性から一歩先の信頼関係を築くチャレンジの月となりました。

今まであまり話さなかった子たちとも積極的に関わりを持つようになって新たな発見があった一方、相手に意見が伝わらない場面では、「心が折れました」と大きな挫折を味わっていました。

信頼関係とは一朝一夕で作られるものではありません。目の前のこどもたちのために今何が必要なのかを考えること、嫌われても必要な言葉を、勇気をもって伝えること、そしてこどもたちの意見を聴くこと。そんな誠実な一つ一つの行動が信頼を深めていくのです。

楽しいだけの関係から一歩踏み出したなるこ。ここから折り返しのあと半年が始まります。こどもたちと色々なチャレンジして、たくさん泣いてたくさん笑う。それぐらい遠慮せず勇気をもって関わってほしいと思います。がんばれなるこ!