2021教師指導者育成プロジェクト~モアイ 9月の研修報告~

 9月は夏休みが終わり、学童が再開。また、だいだらっこの夏休み帰省が終わり、日常が戻ってきました。そんな中、私自身は就職活動のため2週間以上帰省。育プロでの半年間があったからこそ帰省して感じたこともあったのですが、ここでは現在チャレンジしている「ものづくり」からの学びと、「あと半年、目標と大事にしたいこと」の2つに焦点を当てた振り返りにします。

ーものづくりー

  樹勢が落ちていた自宅の庭のカリンを剪定し、その際にでた端材からコップをつくることに、現在チャレンジしています。が、これがぜんぜんうまくいきません。この材の特徴は真ん中に穴が開いている。状況は材の内と外の乾燥速度の違いからひび割れが起こりやすくなっている。これらの特徴や状況に合わせて、コップ状に掘り進めていくと、穴が細長い不格好な形になり、深さ1/2まで掘った時点でそれ以上掘れなくなりました。

 これを、ものづくりの先生であるギックに相談すると、「さらに深く掘る道具はあるが、その後、底を整える道具が思い浮かばない。どうゆう道具があればこのコップを仕上げることができるか考えてみな」というアドバイスと共に、その手助けとして一冊の本を貸していただきました。

 その本には、生活に必要なありとあらゆるものを自然の素材から手作りする職人たちがいた頃。イギリスの職人たちが、ものをどのような道具を使って、どのような方法でつくっていたのか。また、その時代の生活感や職人たちのつくったもの(作品)に対する消費者の考え方、職人たちの仕事観などの価値観についても述べられており、現在の自分の価値観を想像もしたことのない角度から見つめなおすことができました。

 身近な材でものづくりをする難しさから、確かな答えがない問について考えること。その問の答えを本というツールを使って考える過程から1900年台前半、自然と人が近い距離にいたときのヨーロッパの人々の価値観と、ものづくりから複数の方向に学びが広がっていくことは率直に面白いと感じました。

 また、こどもたちに何回も「カリンの材ちょうだい」と言われたり、散歩ついでに自宅の庭に材を取りに来た姿を見て、材そのものの美しさや、身近な大人がものづくりを面白がっている姿はこどもたちに伝わることを実感しました。

ーあと半年、目標と大事にしたいことー

 この半年間、グリーンウッドスタッフ・こども、および地域の方々のおかげで、いろいろな経験をさせて頂き、その経験からたくさんの学びがありました。その学びが重なりあい、私に大きな影響を与えたのは「山賊キャンプで自然の中でこどもたちと過ごしたこと」と「住宅裏の森の間伐作業」です。これらの影響から私は「学童でこどもたちと森で遊ぶ機会を増やす」「一日に一回森に行き、こどもたちとどういう遊びができるか想像する」というアクションを起こしました。その結果、「ドキドキわくわくする森をこどもたちとつくる」という目標が見えてきました。

 一方、大事にしたいことは「育プロでの学びのベースは人との関わりにあることを、心のどこかにとめておく」です。接点が多い同じチームのスタッフや学童のこどもとの関わりはもちろんですが、直接的に一緒に事業に関わることの少ないスタッフとの何気ない会話や、顔も名前も知らない一回しか会ったことのない村の人との何気ない関わりから、「安心感」みたいなものを感じていて、その「安心感」が育プロでの学びのベースになっています。「森をこどもたちとつくる」という目標に向かい行動することも大事ですが、「育プロでの学びのベースは人との関わりにあることを、心のどこかにとめておく」という自分の内側の部分も大事にし、残り半年過ごします。

〈9月研修担当もーりぃのふりかえり〉

 モアイと振り返りをしていて感じたことは、今までの知識がこの半年間の経験と結びつき、すごい勢いで実感として湧いてきているということです。ものづくりも剪定した端材を使って一から木に合わせて掘ってみる。うまくいかなくて工夫する。単純にコップを作るという行為ですが、モアイが行っていたのはまさに“生きる”ということだと思います。

 人生も状況に合わせて自分で考え工夫しどう生きるかをつくっていくことが大切です。イギリスの職人の本を読んだとき、価値観への共感や驚きがあったのはモアイ自身が一からものをつくること=生きることを実感したから響いたのです。

 就職活動でモアイが実家に帰った時、今までなんとも思わなかった裏山を歩いたときに、「こどもたちとこんな遊びができそう!」「ここは危ない」「どんな植物が生えているのか」と全く違う視点で見れたと話してくれました。一旦泰阜から離れたことによって今の暮らしと客観的に比較し、より際立って感じたようです。

 あと半年、まだまだ不安なことや、自信のないことも多いと思います。育成プロジェクトは“たくさん失敗を経験できる期間”でもあります。失敗から実感することも多い!まずはこどもたちと森づくりを実現してほしいです。がんばれモアイ!