こどもたちが薪で暮らす?|1年間のだいだらぼっちリアル!

だいだらぼっちは薪の暮らしをしています。それはなぜか?こどもたちの力で手に入れられるエネルギー、それが薪だからです。

もちろんだいだらぼっちの暮らしは薪だけでは賄えません。料理はガスを使いますし、当然電気も使っています。それでも「自分たちの手と足と知恵を使って暮らす」ことをモットーに、風呂、冬のストーブ、陶芸を焼く登り窯は全て薪を使っています。

さて「こどもたちで」薪の暮らしをするとはどのように行われるのでしょうか?

 

まずは手に入れる。

 

もちろん山に行き、とってきます!

当然こどもたちは木を倒すことはできませんので、大人が行います。その木をこどもたちが力を合わせて引っ張り出す。その様子がこちら!

 

泰阜村は天竜川を底にした伊那谷と言われる場所。斜面に村があるため、平らな場所は皆無です。薪を運ぶにしても、上から転がすか、あるいは下から引っ張り出すかどちらかです。
倒した木を薪サイズに切ってしまえば、一人ひとりが運ぶ回数が増えてしまうし、大きなままだと一人では到底持てない。ということで動画のように滑車を取り、ロープで引っ張り出すのです。

こども18人の力を合わせれば、この程度の薪(それでも優に100kgは超えている)であればあっという間です。

 

「山出し」というこの作業はこどもたちにとっても大好きな作業です。一人では持てない、とんでもない重さのものを仲間と力を合わせて運び出す作業は、仲間と力を合わせることの楽しさと共に、自分の力の精一杯出す喜びを感じられるのです。そしてなによりもダイナミック!時に200kgを超えるような大木を知恵を絞って運び出す作業の達成感はとてつもないものがあります。

 

次は、割る、運ぶ、積む。

 

先日はゴールデンウィークにこども、スタッフ総出で2日間行いました。

冬のストーブ薪を用意するためにこの時期に作業を行うのが恒例です。コロナ前は保護者やOBOGたち100人以上が集まってイベントとして実施していたのですが、今は叶わず。1日で終えた作業を2日間行います。

こどもたちが棟梁となってみんなに指示を出します。
人数が多ければ作業は楽!・・・と言えないことも。それぞれが精いっぱいの力を出し合うためには、段取りが重要です。作業前の準備もこどもたちが進めます。

必要な量がどれくらいなのかも事前に計ります。薪が入るスペースの容積(㎥)を計算して
「ここは3.5㎥くらいだから、トンちゃん(1トン車のニックネーム)で1杯半を持ってくれば足りそう。」
「下の薪小屋には来年のストックで10㎥必要だね」と段取りを取っていきます。
スゴイ・・・。

 

さあ、見てください。この量を!しかもこれも一部です。ここにある薪をひたすら割り、運び、積むを続けます。

薪割りは精鋭部隊で行います。こどもたちの人気ナンバーワンの作業ですが、割れない人が振っても効率は悪い。とにかく大量の薪を捌くためには、適材適所でやろうとこどもたちが段取りを取りました。
1日が終わると手の豆が全てつぶれるほど。朝から晩まで、しかも2日間振り続けるその体力に驚かされます。

そして2日間の成果がこれ!

みんな本当に頑張りました!

・・・と素直に言い切れないのがこどもたちの暮らし。全員が全員、力の全てを出しているというわけでもありません。今年からだいだらぼっちに参加している新規のこどもたちの中には、何をやっていいかわからず遊んでいる子や、疲れた、お腹が痛いと言い訳してサボる子も、チラりホラり。

「薪リレーに並んで」と声を掛けても、「私は全体を見る係だから」と薪リレーに加わらなかったり、「ちょっと様子を見てくる」「ちょっとトイレ」「ちょうどお茶を」とするするとすり抜けていきます。

「しっかりやりな!」と叱咤激励したところで、動きが格段に変わるわけではありません(でも言いますが)。大切なのは作業の一部にしっかりと組み込まれて、自分たちの暮らしを自分たちで成り立たせているのだと作業を通じて実感することです。

毎日薪で風呂を焚く。冬になりストーブで暖まる。1200℃を超える登り窯で作品が焼きあがる。
その経験を通すと「先が見える」ようになる。そこではじめて作業の意味が腑に落ちて、主体的な行動につながります。流れに乗ってただ作業するということも、長い1年の「経験」からすると、腑に落ちるための土台になります。2年目、3年目の継続メンバーの頼もしさも、1年の経験がしっかり根付いたからに他ありません。

 

さてさて、1年の山村留学を終えて、家でも薪の暮らしをしている家庭はほとんどありません。ではこどもたちは薪の暮らしで何を得ているのでしょうか?

それはまた追い追いお話ししていきます。