「家族の一人として関わる」2022教師・指導者育成プロジェクト~ふーみん4月の研修報告

まずは、私が育成プロジェクトへの参加を決めた経緯について話します。

出身の東京を離れ、地方の教育大学で学ぶ中で、総合的な学習の時間や食育といったこどもの生活に直結する学習に関心を持ちました。また、国立青少年自然の家での法人ボランティアや森のようちえんでのボランティアなどで、自然の中で自由に遊んだり経験したりするこどもの姿を見て、このような教育に携わりたいと感じました。こどもにとっての教育の場は「学校」だけではないという考えと、偶然見つけた「だいだらぼっち」への興味といった、ほぼ自分の直感を基に育成プロジェクトへの参加を決め、応募しました。

 

4月の目標は、「新しい環境の中でも素の自分でみんなと向き合う」でした。素の自分でいられたと思えたのは、分からないことに出くわしたら、教えてほしいという気持ちを伝えることができた時です。農具の使い方、畑や田んぼ、薪作業のこと、もの作り、料理の味付けや揚げ物の方法…何度も何度も教えてくださいと言うことに引け目を感じることもあったけれど、分からなかったら何でも聞いてねと言ってくれる継続のこどもや相談員に頼って、たくさん教えてもらいました。

教えてもらってばかりではだめだ!と感じ、私にできることを考えて取り組んだことは、暮らしの中での声かけです。他の相談員の伝え方を見習っていて気づいたことがあります。それは、どんな行動にも「なぜならば」を伝えることが必要だということです。「大人」としての価値観を押し付けるのではなく、こどもたち自身が必要性を実感できるような「なぜならば」を伝える。そうでなければ、どんな声かけも「命令」になってしまう。こどもの主体的な行動を待つべき?相談員からのアクションが必要?という葛藤もありましたが、こどもと大人を分け隔てて考えるのではなく、だいだらぼっち一家の一員として私はどう思うのかを伝えることの大切さも感じました。このような行動を増やすことで、素の自分でみんなと向き合うことにもつながると思います。

 

4月の出来事で印象的だったことは、村の人のお宅にお邪魔して夜桜の花見をしたことです。人の家の玄関で花見!ということが衝撃的だったのと同時に、枝垂桜の美しさに見入るこどもたちの姿が心に残っています。私はこどもと一緒に、ベンチや草の上に寝そべって、本当にすごい!こんなの見たことない!と歓声をあげながらゆっくりと眺めました。普段生活の中で、自然の情景に心を動かされることはあまりないと思います。こんな風に、人の心を動かすものや情景を造り出す村の人への尊敬と、身近な暮らしの中に心が動かされる瞬間と出会うことの大切さを感じました。

5月の目標は主に2つです。1つは、私自身の主体的な行動を増やすこと。もう1つは、泰阜村の人たちとの交流を増やすことです。1つ目の目標を立てた理由は、4月は「教えてもらう」「知る」といった受け身の行動が多かったからです。5月にも、こどもたちと企画をするイベントがたくさんあります。企画する中で、こどもの声に耳を傾けつつ、私はどうしたいのかという想いをしっかり伝えていきます。また、よく周りを見て自分にできることを見つけ、積極的に貢献していきます。もう1つは、せっかく泰阜村に来たのだから、泰阜村でやってみたいことと出会うために立てた目標です。泰阜村のことや畑作業のこと、もの作りのことについてのお話を聞き、自分の手で生み出すことの面白さを実感する1年間にしたいという想いがあります。まずはその一歩として、村を歩いてみたり、通りかかった人に挨拶をしたりといったことを継続していきます。




4月担当 バズのコメント

強い覚悟を持って踏み出した1年のチャレンジがスタートしました。不安と期待の両方を心に抱き過ごした4月だったのではないでしょうか?それは、同じく4月1日に集まったこどもたちも同じです。初めてのことに対して、吸収する気持ちはもちろん大事です。とにかくいろいろなことを経験することで見えてくることがあるからです。同時に何も知らないからこそ当たり前の日々に問いかけることもできます。掃除当番の決め方、田んぼへの向き合い方、畑で何をつくるか。例年同じことをやっていても、この場に集ったみんなが一人一票を持ち寄って、答えを出していくのがだいだらぼっちです。その1票の重みはこどももおとなも同じです。気負うことなく、ふーみんの一票を投じながら、こどもたちの1年間を支えてほしいと願います。