職員研修として、なおみち、みけ、あでりーの3人で2月にアファンの森に行ってきました。アファンの森は一般財団法人C.Wニコル・アファンの森財団が管理維持しています。元々は放置され「幽霊森」と呼ばれる荒れ果てた森だったそうです。創立者のC.Wニコル氏の「美しい本来の日本の森に戻したい」という思いのもと、40年かけて甦ってきた森です。
私たちも泰阜村の森を手入れしながら活動していますが、ナラ枯れの大量発生に戸惑ったり、知識や技術不足を実感しています。アファンの森の皆さんの取り組みから自然への理解を深め、今後の事業へのヒントを得たいと思い、見学してきました。
団体の取り組みについてお話をお聞きした後、スノートレッキングで森を実際に歩きました。
団体や取り組みの説明の中で印象的なところは、アファンの森財団を応援している人がたくさんいることです。アファンセンターには森の手入れの際にでた間伐材で作られた椅子や机がありました。よく見るとその一つひとつに寄付者のお名前が刻まれたのプレートが貼ってあり、寄付したことが形となり残っていました。

寄付者のお名前が刻まれることで未来をよくする活動に参加している意識が高まり、日々の暮らし方も変わるのではないかと考えました。また取り組みがたくさんの方に支えられている意義のある取り組みであることの表明や感謝の形になっていると思いました。
また、能登半島地震で被災したお子さんを森へ招待するためにクラウドファンディングで資金を集めたり、森の癒し力を借りて心の再生を促す活動へ企業寄付を募ったりしているそうです。その資金で、東日本大震災の復興支援活動や能登半島地震で被災されたお子さんを森へ招待する活動が実現したとのお話を伺いました。取り組みの目的をわかりやすく伝える工夫が目的の共感者を増やし、応援につながっていると感じました。
事業内容を詳しく聞きするうちに早1時間。日が暮れる前に森へ出発しました。
一面の銀世界を歩くのは困難です。そこでスノーシューをお借りしました。「今年は例年よりも1mほど雪が少ない」のだそうです。温暖化の影響を北信でも顕著に感じました。
森の中を歩くたびに植物の冬芽や動物の痕跡を教えていただきました。



動物の姿がなくても痕跡がたくさん見つかる面白さや今まで注目していなかった植物の姿を知れ、ワクワクしながら歩きました。そして、たくさんの生き物が暮らしている森だということを実感しました。
森の中には「心の再生」としての5センスプロジェクトなどの活動エリアがありました。特に印象的だった所はサウンドシェルターと呼ぶ建物です。

三方向を壁で塞いでいて前からの音のみが聴こえる構造です。中のベンチに座ると感覚が研ぎ澄まされたようでした。鳥の声や木の葉が風に揺れる音などの聴こえくる音に集中でき体で森を感じました。
「森の再生」として整備の仕方を変えたエリアもいくつもありました。
まず、木の伐採をしているエリアでは、各エリアは樹齢ごとに分かれており、樹齢20年を迎えたエリアを伐採していました。


樹齢20年で伐採することで、枝葉の過密化による日照不足防ぎ、草木が育ち動物たちが帰ってくる森の豊かさを守るそうです。また伐採され不要となった木は薪として販売されていました。木が細く薪として使うために割りやすいサイズだそうです。森の手入れをすることで暮らしをも豊かにするとということを学びました。
一方であえて整備していないエリアもあり、木のツルや葉が生い茂っていたり、針葉樹のみが生えていたりしていました。


木の茂みや冬でも葉が落ちない針葉樹は動物の隠れ家や休憩スポットとなり、豊かな森になるそうです。また私が大学時代に学んでいた海の生態系でも、サンゴ礁や藻場は魚などが捕食者から身を守ることや、潮の流れから身を休める障壁となること等で豊かな生態系を作ります。このような森と海の生態系で似ている点があることも興味深かったです。
また、木には巣箱が設置してあり、フクロウが入れる大きさもありました。

フクロウの巣箱に食べ残されたネズミの骨を2002年から調べているそうです。その結果フクロウは森に生息するアカネズミと畑に生息するハタネズミを食べていることがわかり、その比率は年によって異なったそうです。フクロウがアカネズミを食べた比率が高まった年は、森のどんぐりが豊作でアカネズミの生息数が増えたと考えられています。フクロウがアカネズミを食べることで、若い木を噛じり枯らしてしまうアカネズミが減り、森のバランスを保っているそうです。フクロウを調べることで森のバランスを知ることができるということを知りました。
また、森づくりの評価として生き物を指標にしていることも印象的でした。

「人は間違えるけれど、生き物は間違えない」と福地さんはおっしゃっており、森の中にある池の保全作業をした際は作業前後の生き物を調査し比較したそうです。保全作業後の池は作業前より生き物の種数が多くなり、その後は少し種数が減少し安定した生態系になったそうです。その結果に対しては「人の手によって生き物の種数を増やすことが目的ではなく、自然な生態系を目指している」とおっしゃっていました。活動の評価の指標を生き物とすることで科学的な視点でとらえることができることを学びました。そしてその評価基準も目指す森により変化することがわかりました。
今回の研修を受けて、まず私たちのフィールドである「あんじゃねの森」を調査したいと思いました。あんじゃねの森は泰阜村の元学有林で、かつては盛んに手入れされ、こどもたちのために活用されていましたが、長年放置され暗くなっていた森です。グリーンウッドが管理を任せていただき、手入れしながら活動してきておよそ24年になります。例えば森を明るくするために間伐した木を薪として活用したり、明るく広くなった場所が遊び場になったりしています。
その暮らしのための活動が自然環境にどう影響するのかを科学的に知ることで活動の質を深めたいです。また調査による活動の数値化は里山暮らしの価値を伝わり易くし、活動の意義を高めることや、共感者を集めることにも繋がると思います。
そして調査に対する評価基準も目指す森により変化するため、あんじゃねの森をどんな森にしたいか考えたいです。あんじゃねの森をどう活用し、どんな森を目指すのか仲間と話し合いたいと思いました。
最後になりますが、今回研修を受け入れてくださった一般財団法人C.Wニコル・アファンの森財団の皆様に心より感謝申し上げます。
