スタッフ研修:内部編|言語化が成長進度を高める

今年度は実施する事業も少なく、そのため来訪も少ないグリーンウッド。これまでコツコツと積み上げてきた実績が崩れ落ち、昨年度の成果も水の泡のように感じてしまいます。
しかしこんな時だから「学ぶ」のだ!
と、ほぼ全スタッフが集まっての社内研修を2日にわたって行いました。

これまでグリーンウッドスタッフの育成はいわゆるOJT。
つまり「現場で学べ!」ということ。長くても5年程度で巣立つスタッフが多かった10年前はそれでもよかったのですが、ここ数年は年次を重ねる若いスタッフも増え、各自のモチベーションだけに頼るだけでは物足りない部分も感じてきました。

私たちが行う教育は、カリキュラムのない、偶発的に起きる出来事を学びにするもの。
それゆえにスキルを体系的にまとめることはとても難しいです。しかし35年培ったものが個人に由来するだけになっては、団体としての未来はありません。

グリーンウッドの必要なスキルを「聴く」と「伝える」に大きく分類しました。
「教育」は教えるもの、という考え方が強くあります。ついこちらは自分の想いや考えを話したくなってしまいます。しかし、どんなに素晴らしい話でも相手を変化させることはありません。変化は常に内発的なもの、参加者自身の「発見」の上で成り立ちます。そのためには言葉にならない声を「聴きとり」、相手に「伝わる」方法(言葉だけでなく、体験なども含め)を模索して行動する。それが暮らしの中で活動している私たちに必要なスキルだと考えました。

いくつか行ったプログラムの中で今回特にやりたかったのは

◎対象者理解としての「発達心理学」

◎「言語化トレーニング」

発達心理学は教育や保育を目指すと大学などで必ず学ぶものです。むしろ子育てをする親は知っていた方が安心できるのでは?と思う分野です。
グリーンウッドも目の前にこどもがいるが故に、その子の個性ばかりに気を取られがちです。客観的に見られなくなることもしばしば。たくさんの学者が研究してきたことを知るだけで、こどもとの関りが変わるものはたくさんあります。

今回はなおみちが講師となって、幼児期から中学生くらいまでの発達についてをコンパクトに伝えてもらいました。

こちらはなおみちが描いた発達の段階を表すイラスト。発達の段階に合わせて並べ替えようというワークです。


数人にチャレンジしてもらいますが、みんな不正解。答え合わせでは、スタッフ全員「へぇ~!」という驚きと、「わかりやすい!」という感動の声。
なおみちさすがです。しかし20、30分で学べるものではありません。あくまで導入。
これから自分で勉強しなければ!と感じてもらうための時間です。

もうひとつの「言語化トレーニング」は私が担当です。
我々の仕事だけでなく、世の中は曖昧な言葉で感情が捉えられてしまうことがよくあります。

例えば「忙しい」を言語化してみます。仕事とそれにかかる時間を全て書き出します。そうすると「意外と忙しくない」ことや、「抱えきれない仕事を持っている人」がわかりチームで分け合ったり、「そんなことに時間を使っちゃダメ!」というアドバイスにも変わります。「いそがしい」と言う感情的な言葉を論理的に考えると行動が生まれます。

また言語化できるということは理解できると同じです。
リスクマネジメントでも、「川遊びにこどもを連れていく」時に必要な物品を言えなければ安全管理ができるとは言えません。同様に、「私成長しました!」と自信満々で言ったとしても、その中身が言えなければ、「いつもと違うことをした満足感」を得ただけに留まり、定着には至りません。

言語化は日々自分の心の揺らぎや違和感を捉えて、言葉にする訓練が必須です。感情的な表現はとても甘く楽なものなので、すぐに流されてしまいます。なので次々にお題を出して、頭を刺激していきます。

「先日だいだらぼっちで行われたこどもたちとの話し合いの目的は?」というお題では、スタッフそれぞれは目的を見据えて話し合いに臨んだはずでしたが、いざ終わってみると、考えていた目的には到達していないことに気づいたそうです。意識しないと「やった感」だけしか残らないのです。

他にも事業報告で聞く「良い(悪い)雰囲気でした」とか、「みんな協力してがんばっていた」は、その事業自体が良くても悪くても次に繋がらない無意味な言葉です。良かったのであれば、何が良いと捉えたのか?なぜそのような状況が生まれたのか?次も同じようにするためにはどうするのか?と具体的行動を検討できます。自分の感情を言語化することで驚くほど仕事は効率的にそして成果を生み出すものになります。

スタッフも四苦八苦。自分でできていると感じているスタッフも、よく見るとズレている様子も。

この研修だけで大きな成長や変化につながるわけではありません。しかし、これまでと違う「考え方」を手に入れると、自らを成長させるきっかけになることもあります。

この1年様々なことが制限されてきました。それをバネにして来年度の飛躍をするためにはスタッフ一人ひとりの力が発揮されなければなりません。私たち大人が成長すれば、近くにいるこどもも必ず変化します。そして社会も変わってきます。

小さな一歩を疑わず、日々学び!の姿勢を忘れずに。