これが山岳地帯の師走 ~この正月飾り、みやましいら?~

年末を迎えている。
一気に寒くなってきた。
早朝、娘を駅まで送る道中、壮大な雲海を見た。
今日は寒い。
氷点下の世界には、薪ストーブがとにかくありがたい。
数十年生きた木のエネルギーを身体に浴びる。

現在、冬の信州こども山賊キャンプ真っ最中。
にぎやかなこどもの声を聞きながら、薪ストーブの前で仕事。
この時期恒例となった大学のレポート採点だ。
300人のレポートを読みこむ時間を計算すると途方に暮れる。
いいよなあ今はみんなプリントアウトとかネット上での提出で。
私の学生時代は手書きだったからなあ。
ってレポートちゃんと書いた覚えないけど(笑)
おっと村内の集落に散っていたこどもたちが、帰ってきたのか一斉になだれ込んできた。この場から退散すること にするか。

クリスマスの日に、おじいま(おじい様の意味の方言)が、手作りの正月飾りを持ってきた。
「みやましいら?」とご満悦の顔。
「みやましい」とは、“立派な”とか“見栄えのいい”などの意味の方言だ。
なんでも150個くらい創って、独居老人に配り続けているとか。
そのうちのいくつかを「こどもたちに」と持ってきてくれたのだ。
毎年のこととはいえ、そのくしゃくしゃの笑顔に、年の瀬を感じる。

山村の集落ではクリスマスや年末のあわただしい雰囲気はほとんど感じられない。
いつもながらの冬の風景と暮らしが営まれているだけだ。
キーンと冷え切った空気の泰阜村。
ここでは、メディアや産業に左右されない、実に素朴なクリスマスと年末を迎えている。
それでいいんじゃないか。
これが山岳地帯の師走なのだ。

代表 辻だいち