この村に生きる作法 ~こうして山の子になっていく~

「ダイチの役割は、子どもとスタッフを守ること。最後の責任を取るのが仕事だよ」
30周年を迎えた暮らしの学校「だいだらぼっち」がスタートした。
こどもたちが集合した4月1日の自己紹介の時、私が口にした言葉です。
ダイチとは、こどもたちから呼ばれるニックネームです。
今年、暮らしの学校「だいだらぼっち」には、全国から16人のこどもたちが集まりました。
小さなチャレンジャー達です。

序盤特有の、不安と希望を伴ったなんともいえない雰囲気が漂っています。
小中学校の入学式・始業式が4月6日。
それまでは、こどもたちの話し合いが続きました。
暮らしのルール決め、誰とどの部屋になるのかの話し合い、薪をどう確保するのかなどなど。
まあ、まずはやってみて、うまくいかなければまた話し合って変えていけばいいんだよ。

住民票を移して泰阜村民になったこどもたちは、ご近所のおじいま、おばあま(おじい様、おばあ様の意味の方言)に挨拶周り。
引っ越しするとどこでもやることですが、ここでは子どもたちが生活主体者だからこどもたちが挨拶周りをします。
ご近所といっても山岳地帯の集落に点在する家々をめぐるにはたっぷり半日以上はかかりました。
32年前には、山村留学が来ることに猛反発していた住民の皆さん。
時を経て、今は快く迎えてくれます。
信頼とは、かくも長い営みのうえにこそ成り立つものだと改めて感じます。

さてさて、やっと1ヶ月たちました。
こどもたちは、この村に生きる作法をひとつひとつこなしていきます。
こうしてこどもたちは、少しずつ山の子になっていくのです。

代表 辻だいち