島と山のこども交換留学 ~この夢を応援していただけませんか~

今年1年の講演履歴を振り返ってみた。
まずは開催場所。
大学の講義は東京や名古屋など都市部が多い。
しかし講演は、明らかに地方が多い。
鹿児島、群馬、京都、中国大連、福井、岡山、北海道、沖縄、熊本、島根などなど。
どこも豊富な自然資源や文化歴史資源がある。
それらをどう活かして次の地域を創っていくのか。
そしてそれを担う人をどう育てていくのか。
日本全国の地域が抱える、ある意味普遍的な課題でもある。
そのような地域から最近、次々とお呼びがかかっている。

最近の講演のテーマ・演題は「『ひとづくり×地域づくり』の素敵な未来」というものが多い。
その地域が持つ教育力をカタチにできれば、素敵な地域になっていく、というものだ。
私にとっては、泰阜村における33年の実践を語っているだけに過ぎないことなのだが、聴衆の反応はすこぶる良い。
そんな講演の場では、最後に私の夢を改めて語ることにしている。

その夢とは、小さな地域が連合して子どもを育てていこう!という「地域間交換留学」だ。
少し詳しく説明すると、複数の小さな地域(農山漁村)同志がネットワークを構築し、それぞれの子どもを一斉に1年間交換留学させるというもの。
交換だから「おらが村」の子どもの数は増えない。
しかし1年間、さまざまな地域の生活を体験した子どもが自らの地域を見つめる眼を養って本拠地に帰ると想えばおつりがくる。
留学に係る経費は、子どもを送り出す地域(自治体)が負担する。
送り出す責任と受け入れる責任を、それぞれの地域が同時に負う仕組みを全国的に創る。
義務教育9年の間に1年間、希望した子どもは他地域で留学ができる。
1年という期間がネックであれば、まずは3日とか1週間からでもかまわない。
要は「かわいい子には旅させろ」を政策化するということである。
こどもたちだけではなく、いずれNPOスタッフ同士、役場職員同士、教員同士、猟師同志、農家同士などなど、夢は広がる。

夢を本気で語る。
だからこそ、共感者や仲間が増える。
だけれども、語っているだけではだめだ。
今年は実現に向けて、一歩動いた。

鹿児島県与論島。
絶海の孤島は、私のイメージしていた「離島」そのまんま。
この島に上陸するのは2回目。
前回は4年前だった。
6年間、NPOグリーンウッドで働いていた仲間(池田君:キャンプネームはバン)が故郷の与論島に戻って1年、その後どうしているかと訪れたのが前回。
その際、与論町の町岡教育長と出会って意気投合。
昨年は泰阜村にも来てくれた町岡教育長は、もう盟友ともいうべき仲間だ。

▼盟友:与論島の町岡教育長と

今回は、泰阜村の原田教育長を与論島に連れていった。
与論町の町長や町岡教育長とも接見し、島内の3つの小学校の校長先生ともお会いできて、地域間交換留学の構想が一気に具体化した。
夜は「与論けんぽう(憲法?拳法?献奉?)」炸裂。
町長、教育長、校長はじめ島の未来を考える教育関係者10数名が集い、こてこての与論の夜となった。
前回に引き続き天気が悪かったのが残念。
また来い、ということだと前向きに考えよう。
新年度に、まずは泰阜村のこどもたちが与論に滞在する。

▼島の未来を考えるひとびと

この2地域の交換留学に、北海道の中頓別町も参画する可能性がある。
南の島、信州の山岳地帯、北の大平原のこどもが、それぞれの地域を行き交いながら学ぶ。
いや~、おもしろいだろうな。
考えるだけでワクワクする。
少なくとも、与論町と泰阜村は、行政も、NPOも、住民も動き始めた。
きっと中頓別町も動くと信じている。
夢は語るだけなく必ず実現する。
やるといったら、やる。
この強い気持ちが、地域を変え、社会を変えていくのだ。

地域間交換留学。
この夢の実現のために、資金サポートしてくれる人、いませんか。
実現に向けて法整備に力を貸してくれる人、いませんか。
世論喚起のために密着取材してくれる人、いませんか。

趣旨に賛同する地域や団体、個人が連携・協働する。
旗を掲げて、志あるひとびとみんなで実現したい。

代表 辻だいち