いってらっしゃい!2023年度だいだらぼっち終了しました!

3月15日、泰阜小中学校の卒業式をもって2023年度のだいだらぼっちが終了となりました。ポイントを絞って1年間のだいだらぼっちをお伝えします。

-薪で暮らすってどういうこと?-

だいだらぼっちでは毎年5月のゴールデンウィークに保護者やOB・OG など総勢100 名が集まってひと冬分のストーブ薪と風呂薪を準備する作業合宿を行います。例年3 月までにたくさんの薪が集められているのですが、なんと今年は薪が無い状態で4 月を迎えました。このままでは、「冬を越せない。風呂にも入れない」という事で、4 月の土日は毎週のように山に行き薪作業へ。地域の方から紹介された伐木作業後の山に行き、「好きなだけ持っていっていいよ」とのことでトラックの荷台に山盛に薪を積み込みました。

太く⾧い薪は、ロープを括り付けて、手作業で一本ずつ力を合わせて引き出しました。「よいしょー」こどもたちの威勢のいい掛け声が響きます。「こんなに大きい木を動かせるのか不安だったけど、一人ひとりが力を寄せ合えばこんなにたくさんの薪を運び出せることにびっくりした 」と協力する意味を体感した様子。

その後の暮らしの中で「風呂薪を節約して使おう。みんなの努力の結晶だよ」と苦労して集めた経験から、実感のこもった言葉が聞かれるようになりました。4月は村内や村外からトラック10 杯分の薪を集め、なんとか冬を越せるだけの薪を集めることができました。

4月の大変だった経験から、薪作業隊を結成し年間を通じて次の年の薪集めを見通しながら作業を進めました。3学期も次の年に向けて、風呂薪やストーブ薪をたくさん集めることができ、「次の4月は薪割たくさんできるね」と充実感が一杯のこどもたちでした。

-4年ぶりの大規模開催!だいだらぼっち祭り-

コロナ禍の4年を経て、ついにOGOBやその保護者たちを招待しイベントを開催しました。今年度のメンバーで継続年数が長い子でも4年。誰一人コロナ禍前を知るメンバーがいない中で「100人以上のご飯ってどうやってつくって、どうやって食べるの?」「皆で楽しめる方法ってなんだろう?」と不安の中でも「誰も分からないからこそ、いまの自分たちが考えて作っていけばいいんだ」という必然が生まれ、どうやったら受け入れることができるか、参加する人たちが楽しんでもらえるかを具体的にイメージしながら考えることができました。総勢150名を超える参加者が目の前で楽しんでいる姿は、こどもたちにとって大きな達成感を感じる場面となりました。

 

「全員で居られる時間、こんなに少ないのか!」

今年度は受験生が多く、入れ替わりで帰省することに対してメンバーが1人欠けることがどれだけ大変かの認識が浅く、暮らしの仕事をみんなで切り盛りすること、全員でしたい話し合いが進められないことなど、カレンダーを見ながらそれぞれの予定を確認していくと、「全員で居られる時間、こんなに少ないのか!」と気づきました。話し合いたい項目や作業の段取りなど先を見通すことで、一人欠けることの大きさや全員がいることの大切さをジブンゴトとして捉えることができました。締めくくりの引き継ぎ会や受験生を胸をはって送り出す雰囲気が生まれたのも、課題を全員で共有し3学期の見通しを持ったことで、本当の意味で支え合う気持ちが作れたのです。

 

新しいメンバーへ想いを共有する。引き継ぎ会

引継ぎ会は、今年度のメンバーの集大成であり、来年度からだいだらぼっちで暮らす新しいメンバーを迎え入れる日でもあります。今年度の引継ぎ会では、1年間頑張ってきたことや陶芸や木工のものづくりを披露したり、餅つきをしたりとメンバー同士が遊びや話す時間をたっぷり作って関わり合う時間をもってもらい、「自分たちの言葉や姿を通してだいだらぼっちを引き継いでいこう」という事になりました。

宿泊を伴う引き継ぎ会はコロナ禍が始まった2019年度末から実に5年ぶりの開催となり、新しいメンバーとその家族だけでなく、この間だいだらぼっちに来ることができなかったOGOBたちもたくさん集まりました。引き継ぎ会の最後は新しいメンバーへ、だいだらぼっちで大切にしてきたことを全員で合唱し伝える「呼びかけ」では今年のメンバーだからこその言葉が連なりました。

「だいだらぼっちでの生活は大変だけど、みんなで支え合えば大丈夫!!」

「1年はあっという間だから、たくさん話し合って、やりたいことをいっぱいやってね!」

「  みんなで過ごす時間を大切にしてね!」

 

引き継ぎ会が終わり数日後、最後の夜は、一人ひとり1年間ともに暮らした仲間へのメッセージを伝え合いました。「全部楽しかった!ありがとう!」「どんな時にも楽しむことを忘れずに。自分だけじゃなくて、みんながね。」などの言葉がありました。一年間この19人で暮らせたことの幸せを噛み締める時間となりました。

私からは、だいだらぼっちを卒業しても、「だいだら一家の縁は一生ものだよ」という言葉を伝えました。嬉しいことがあったとき、悲しいことがあったとき、辛いとき、もう一つの実家として、帰って来てねと。また、この1年を暮らしたこと、それ自体が大きなチャレンジでとてつもないことです。それを胸に自信をもって羽ばたいて行って欲しいと願います。