毎日のご飯づくりから学ぶ。|1年間のだいだらぼっちリアル!

 生きていくために欠かせないもの。とりわけ衣食住は必要不可欠です。その中の1つ「食」は人生の楽しみとしている人も。そんな人生において必要かつ楽しみな食。だいだらぼっちでは毎日の食事を誰がつくっているのでしょうか。それは、こどもたちです。様々な山村留学スタイルがありますが、ほとんどの山村留学では寮母さんやスタッフがご飯を作っています。なので、こどもたちでご飯づくりを行っている山村留学は珍しいものです。

 

 なぜ、だいだらぼっちではこどもたちが毎日のご飯づくりをするのか。

 “暮らしから学ぶ”ためです。

 段取り力、協調性、想像力、安全管理力、物事をやり通す力、人を幸せにする力…と学ぶことは様々です。

 揚げ物にだって挑戦します!

平日の朝ごはんは約25人分!毎朝5:30に起きて作ります。

 だいだらぼっちでは、平日は朝・夜の2食、休日は朝・昼・晩の3食を1年間作ります。時に、一度のご飯づくりで約50人分を作ることも。そんなに大人数のご飯をこどもたちが作れるのか?怪我はないのか?美味しく味付けできるのか?もちろん4月から出来る訳ではありません。失敗もたくさんあります。例えば、今年度はこんなことがありました。

 今日のご飯は25人分。ちくわの磯辺揚げを作ろう!と気合十分でご飯づくりが始まりました。しかし、始まって早々困り事が。なんと、冷蔵庫の中にちくわが2袋(4本入り)しかなかったのです。だいだらぼっちでは、1週間分の食材を生協で購入しています。なので、食材がなく作りたいメニューが作れないこともしばしば。今回はまさに、磯辺揚げに必要なちくわが足りなかったのです。ですが、8本のちくわを25等分にすれば大丈夫!と気を取り直して進めますが、またしてもハプニングが。最初あまりにも小さく切りすぎて、ちくわがボロボロに…「小麦粉でかさ増しすれば大丈夫大丈夫!」と再び取り掛かりますが、肝心な味付けで調味料を多く入れすぎてしまいます。「大人数料理だから!」と大雑把に醬油とコショウを入れてしまったのです。最後は、「ご飯のお供として食べてもらおう!次またリベンジする!」と落ち着きました。

味付けはより慎重に…

毎日のご飯づくりでは、畑でとったタンポポなど季節の美味しさをいただく楽しみも。

 このように、その他にも様々な成功と失敗を繰り返しながら、少しずつ料理の腕前をあげていきます。一方で問題も起こります。ご飯づくりへの参加に偏りがある問題です。特に今年度から参加している新規参加者のこどもたちにとっては、人生初の大人数ご飯づくりに対して苦手意識を感じることは多いです。今年度も「私がやるより美味しく作れる人がやった方が…」「上手くできないからやらない」という声がちらほら聞こえました。ご飯づくり担当を決める時間では、誰の手も挙がらず沈黙がしばらく続くこともしばしば。

 そこで、今年度はご飯づくりに対して具体的目標を掲げることにしました。目標は「6月から新規メンバーだけでもご飯づくりができるようにしよう!」です。5月に入ったところで、“ご飯づくり作戦会議”という名の話し合いを行いました。具体的に何をどのようにやればいいのか?を明確にして、より目標達成に近づくためです。“なぜご飯づくりをこどもたちだけでやるのか”の問いに対しては、“ここの暮らしをつくるのはこどもたちだから、ご飯もこどもが作る”という声や“だいだらぼっちは手と足と知恵をつかう暮らしだから”さらに“自分たちで決めるのがだいだらぼっち。だから、ご飯づくりも自分たちでメニュー決めからやる”などの考えが集まりました。話し合いの最後は、ご飯づくりの心得として“衛生・安全・バランス・持ちよりの心・段取り・責任”を考え、締めくくりました。

“ご飯づくり作戦会議”の話し合いをまとめたホワイトボード

 6月が始まって数日。メニュー決めに悩むことも、包丁使いに慣れてないところも、味付けに対して苦手意識があることも、まだまだ心配なことはあります。それでも、ここからご飯づくりを積み重ねていけば大丈夫です。だいだらぼっちは暮らしそのものもが学びです。毎日の経験こそが学びとなり、力となり、自信となります。これから、どんなご飯が生まれ、学びが生まれるのか楽しみです。