都会の大学生が暮らしから学ぶ|青森大学東京キャンパス辻ゼミ受け入れ

 先週、5月13日(金)~5月15日(日)で青森大学東京キャンパスの”辻ゼミ”の実習受け入れを行いました。”辻ゼミ”とは、グリーンウッドの代表辻 英之(だいち)のゼミです。
 青森大学東京キャンパスは留学生が大半を占めていて、今回も学生7名のうち6名が中国やベトナムからの留学生!引率の大学職員の方もネパール出身の方でした。(しかしお互いのコミュニケーションは日本語で行っているという不思議な感じ。)

 今回の実習は都会に住む学生たちが、泰阜村の暮らしや共同生活を体験すること、暮らしの学校だいだらぼっちを知ることが目的です。初日は夜に泰阜村到着だったので、本格的な活動は2日目からスタート。

 今回は敷地内の古くなったぶどう棚の解体作業を手伝ってもらいました。ぶどう棚の解体はヘルメットを着用しながらの作業で危険も伴います。安全に作業ができるように「気を付けてね」、「せーのっ」と声を掛け合いながら進めていきます。
 はじめは口を揃えて「こんな作業は初めて」と言って、作業に慣れず何をしたら良いのか分からない様子もありました。しかしだんだんと身長が高い学生は高所の作業を担ったり、力が弱い学生は細かい作業をしたり、お互いの特性を理解してできることを持ち寄りながら進むようになっていきました。他人とコミュニケーションを取りながら仕事を進めることを体得していきます。

 解体作業が終わったら、焚き木の整理、薪割りなど暮らしの仕事は沢山あります。大変そうな様子もありましたが最後まで根気強く頑張ってくれました。
 そして作業後はお風呂焚き!早速、解体したぶどう棚の材を燃料として使い、作業の成果が暮らしのエネルギーに繋がりました。都会に住んでいればエネルギーでも何でも購入することがほとんどですが、ここでの暮らしは自分たちの身体を動かすこと、人と力を合わせることで暮らしがより豊かになっていく。そんなことを実感したのではないでしょうか。

お風呂焚きも初めて挑戦
施設見学中にこどもたちへ質問も

 あっという間に2泊3日の実習が終了しました。学生たちも都会育ちで田舎暮らしはほとんど体験したことがなく、食事を自分で作ること、火を起こすこと、身体を動かして働くこと、一つ一つを手足を動かしながら学んでいく様子がありました。

 最終日のふりかえりでは、
「今回は自分たちの手で全部やった。料理も全部。食べ残しもニワトリにあげたり畑の肥料になったり。食器は汚れを落としてから洗ったり。東京に住んでいると、自分の手から離れるとそれでおしまいと思っていたけど、全部自分たちでやるここの暮らしは違った。」
「火起こしが面白かった。マッチで火をつけるのがほとんど初めてだった。」
「実習中は自分で考えてやることが多かった。誰かに決めてもらうより、自分で考えて取り組んだ方が早くて面白い。」と伝えてくれました。

 また、だいだらぼっちのこどもたちと関わることは少しだけでしたが、
「こどもたちに質問をするとハキハキ話してびっくりした。自分の意見をはっきり話せることがすごい。私はあんな風に話したことがあるだろうか。」
「隣で小さいこどもがパカパカ薪を割っていて、薪割りはパワーじゃなくてテクニックなんだと学んだ。あきらめずに斧を振っていた。」と、ここで暮らすこどもたちはいつも当たり前にやっていることだけど、その姿から刺激をもらったと言葉にしてくれました。

 また、私が一番印象的だったことは多様な背景や文化を持った人が共同生活を送ることでした。自分が思っている当たり前が学生たちにとっては当たり前でない、文化の違いに驚くこともありましたが、コロナ禍に故郷を離れて学びに来ている学生さんに想いを馳せること、そして違うことは当たり前であり、違うからこそ新しいユニークな発想が生まれることを、数日間楽しませていただきました。
 久しぶりの実習受け入れでしたが、泰阜村の暮らしから学ぶこと、こどもたちから学ぶこと、この場所の日常には学びがあふれていると改めて感じました。まだまだ制約はありますが、今後も若者の受け入れに力を入れていきたいと思います。


(おまけ) 学生さんに「大学生活で何が楽しい?」と聞くと、なんと「辻ゼミ。」とのこと!代表のだいちはゼミで大学内で野菜を育てたり、今回のように学生さんを地域へ連れて行ったり、学生たちへ想いが届いているんだなぁと感じました。実習受け入れは次年度以降も続きそうなので、私たちも精一杯、伝えていきたいと思います。