普段お世話になっている方を招待して、日ごろの感謝を伝える「だいだらぼっち祭り」。創設2年目からはじまった伝統の行事です。しかしコロナウイルスの影響により、ここ2年はオンラインや参加者の制限、内容も短くするなど縮小開催を余儀なくされていました。
しかし!今年はなんとかOBOGたちにも集まってもらいたいとこどもたちが知恵を絞って、村民向けとだいだら関係者向けの2日程開催。しかもだいだら関係者は「人数制限したくない!」という想いから、中学校の体育館をお借りして行うことに。前代未聞のチャレンジのはじまりです。
こちらは村民向けお祭りの朝の様子。来られた方にお礼のクッキーを焼いています。
村民向けのお祭りはこどもたち手作りの屋台(ストラックアウト、射的、パチンコ、ひもくじ、輪投げ、ダーツ、占い など)を行います。午後3:30からのスタートに向けて準備もラストスパートです。
いよいよスタート!しかしまさかの本降りの雪。。。
午前中は晴れ間も見えていたので外で準備をしていたのですが、時間が迫るにつれて激しくなるばかり。最悪のコンディションでしたが、それでも村のこどもたちは次々のやってきてくれます。
手作り輪投げに、
占い(しかもインチキと書いてある)!だいだらマイルというポイントを300マイルずつ配り、各出店は100マイルで遊べるという仕組み。ただそれだと全ての出店を回れないので、一攫千金…
ニワトリレースでマイルを増やせる!思い通りにニワトリたちは走らなかったそうですが、それでも大盛り上がりの歓声が聞こえてきました。
屋台をしつつ、だいだらぼっち劇場の準備を進みます。「だいだらぼっち劇場」はこどもたちが台本も一から考え、配役もオーディションで決めるという本気の劇です。
題名は「Zombi or Alive ~明日へ翔べ~」
ある学校にゾンビが発生し、その倒し方がわかるも友達が次々にゾンビになり…というホラーコメディ?です。
今回の劇では、私(しん)も久しぶりにこどもたちと一緒に台本作りから参加しました。実は大学時代に仲間と劇団をやっていた経験もあり、10年前のだいだらぼっち専任だったときはつきっきりで劇を見ていました。離れてからは本番を見るだけになったのですが、やりはじめると血が騒ぐ!「もっとこうしたい!」という溢れるイメージをこどもたちに押し付け、若いスタッフからおじさんになって恥ずかしくないのかと白い目で見られながらもつき進んできました。
芝居はお客さんが入ってはじめて完成するものです。果たしてどんな反応をもらえるか?
こちらはゾンビメイク中!しかも今回の劇は「次々にゾンビになる」という話なので、劇中もメイクをしていきます。
村の方たちでだいだらぼっち母屋もいっぱいに!招待状を配っているので、同級生、学校の先生、農家の方たちと60名ほどが来てくれました。たいしたことのない人数に聞こえますが、村の小中学生合わせて102人(内18人はだいだらぼっち)と考えると、その多さを感じてもらえるのではないでしょうか。これまでのお祭りでもお呼びしていましたが、ここまで集まるのははじめてです。だいだらのこどもたちが村のこどもたちとしっかりと繋がっていることを感じます。
笑いあり、ダンスあり、そして涙ありの劇は大好評でした。
翌日の学童ではゾンビごっこが流行ったという話も。みんな食い入るように見ていたのが印象的でした。
祭り成功の余韻を味わうことなく、1週間後には保護者やOBOG、元スタッフなどだいだら一家向けの祭りが行われます。
今回の大きなチャレンジである体育館での開催です。これまでの祭りはだいだらぼっちの施設でしか実施したことはありません。またメインとなる劇も母屋の狭いスペースで演じるのと、体育館の舞台で演じるのとでは、声の大きさ、動き、演出も大きく変わります。前日も含め、事前に4日ほど体育館を借りての練習を行いました。段々と本格的な冬に近づき、体育館の寒さも厳しくなっていきました。前日の練習では白い息を吐きながらの劇の練習に、こどもたちの顔も生気がなく、果たして明日の本番は成功できるのか?誰の頭にも不安がよぎっていました。
だいだら関係者向けの祭りは、劇からスタートです。ゾンビメイクもリハーサル、村民向け、本番と回を重ねるごとにこなれていい感じになってきています。ギックとまるちゃんありがとうございます。
続々と集まってくる保護者にOBOGたち。久しぶりの再会に楽しそうな声があちらこちらから上がってきます。これだけでも中学校で祭りを開催した甲斐があるというものです。コロナウイルスで分断された交流を取り戻したのを感じます。
そのころ舞台裏では・・・
本番前の気合い入れ。一度本番をやっているとはいえ、舞台の大きさも観客の数も全く違い、こどもたちは相当緊張しています。かくいう私も「吐きそう」なほどの緊張。自分が舞台に立つ方がよっぽど気楽です。
舞台が変わったけれど、「今までで一番良かった!」と何度も見ていたスタッフからも拍手をいただきました。演じていた本人たちも「最高の出来!」と言っていたのは、いろいろとうまくいかないことも乗り越えて、仲間との一体感を得られたからだと思います。
村民向けからアレンジを加え、お客さんを巻き込むシーンも大盛り上がり!お客さんの中には涙を流している方もいたとのこと。大きな拍手もいただき大成功でした!
劇は終わっても祭りは終わらない。久しぶり&はじめましての交流を盛り上げる交流会です。
だいだらぼっち「あるある」をネタにした、「だいだらバスケット(フルーツバスケット)」です。
「かにさんにこっそりお菓子をもらったことがある人」「朝づくりをやらずに学校へ行ったことがある人」「こどもがだいだらぼっちに行ってしまって泣いたことのある保護者」など、様々なお題に大盛り上がり。隣に座った久しぶりの再会に、ちょこっとの会話も楽しい時間でした。
そして恒例の団結踊り!100人越えの団結踊りは本当に久しぶりです。マスクをしながらは苦しかったですが、それでもこの光景が見られるだけでも幸せな気持ちになりました。
最後はお礼の出し物「ソーラン節」
こどもとスタッフが踊る全力のソーラン節に、観客席も感動した様子でした。
実は村民向け祭りからだいだら関係者向け祭りまでの6日間は、ほとんど練習ができませんでした。2学期終業式後の祭りなので、終わり次第みんなお家に帰るため部屋の片づけに追われたこと、そしてトラブルがあっての話し合いに時間を取られてしまったのです。
「せっかく気持ちを寄せて祭りを成功させたのに、なぜそんなことを」「こんな気持ちで祭りはやりたくない」というむなしい気持ちを持ったこどもたちも少なからずいたと思います。
それでも「来られなかったみんなを集めて祭りをする」と決めて、人を集めた責任として、「どんな形でも開催する」と覚悟を決めて実施しました。
まだまだ心の全てが晴れたわけではありません。やってしまったことも事実ですが、祭りの成功も事実。その混沌を抱えながら進んでいくのが、だいだらぼっちの本質なのだと思います。
最後に参加者全員ゾンビポーズで記念撮影!
コロナウイルスで「思う通りにならない」ことを超えて、「少しでも想いを形にする」と決断し、実行したこどもたちの力は本当に素晴らしい。この一歩は小さなものですが、これからの歩みを大きく進める勇気ある一歩となったと思います。
残り3か月もがんばろう!
グリーンウッドの事務局長。2004年よりグリーンウッドスタッフ、そして泰阜村に移住。一男二女の父としては日々反省と勉強の日々。車で1時間でスキーも登山もできて、村内には遊べる川がたくさんあることに毎年のように感動している。