だいだらぼっちの卒業生にインタビュー イッペイ(1991-1993年度参加)

だいだらぼっちでのたくさんの出会いの中で、いろんな価値観や異文化に触れる楽しさを学んだ気がします。

だいだらぼっちの卒業生・保護者にインタビューするこの企画、今回はだいだらぼっち6期生のOBイッペイです。イッペイはだいだらぼっち六年目~八年目(1991~1993年度)に、小学4年生~6年生までの三年間をだいだらぼっちで暮らしていました。

ーイッペイこんにちは!もうずいぶん長いこと会っていませんが元気ですか?
さっそくですが、自己紹介をお願いします。

こんにちは。1991~1993年までの3年間参加していましたイッペイです。小学4~6年で参加して、今はなき泰阜南小学校を卒業しました。妹の明日香も僕が卒業したあと2年間だいだらぼっちで暮らしていました。

そんな明日香も母親となり、ボクも叔父さんになりました。

今は海外アーティストのライブや音楽イベントの企画・運営・招聘をする会社で働いていて、主に企画・宣伝・ブッキングなどの仕事をしています。うちの会社では毎年サマーソニックという大型フェスイベントを夏に開催しています。あとは日本のアーティストの海外ツアーのコーディネートやブッキングなども行っています。

ー小学生のころを知っているみけとしては、あのイッペイが、こんなにも音楽漬けになっているとは、思ってもみなかったな。(笑)

イッペイが、今のお仕事に就こうと思った理由を教えていただけますか?

今の仕事をするまでは10年ほど飲食サービスの仕事をしていました。

仕事は好きでしたし、やり甲斐もありました。ただ10年後も同じ仕事をしている自分が想像できなくて、30歳になる前に何か違う仕事をトライしてみたいなと思っていました。

好きな音楽に関われて、(高校の時に1年留学をしていたので)英語が活かせる仕事があればいいなぁと漠然と考えていました。

そんな時、ブラック・アイド・ピーズというアメリカのグループの振付師の方と知り合いになり、彼女のアシスタントとしてイベントの手伝いをさせてもらったのですが、「こういった仕事がむている!」とアドバイスももらい興味を持ちました。

ブラック・アイド・ピーズの招聘を今の会社がしていて、社長が僕の働いていたレストランでアーティストを連れて来店してくるのをよく担当してたまたま知り合いだったので、ライブ会場で「雇ってほしい!」と直談判しました。

ー飲食業界から音楽業界へ飛び込んだんですね!畑が全く違うから戸惑うことも多かったんじゃないかと思います。そうして飛び込んだお仕事で大変だったことや困ったことはありますか?また、それらをどう乗り越えてきましたか?

華やかな仕事のように思われることが多いのですが、基本はかなり地味でハードな仕事です。海外との交渉などもあるので時間帯も不規則で、大型公演やイベント前は連日深夜まで帰れないこともあります。

心身ともにかなりきつい状況もありますが、自分が好きな音楽、アーティストのライブの一部になれているという喜びを感じられていたから乗り越えれたのかもしれません。

入社してすぐに故ホイットニー・ヒューストンのツアーがあったのですが、子供の頃から大好きだったホイットニーに関わる仕事ができていると感動したのは今でも忘れられません。(もちろん新人だったので本人の姿は一度も見れませんでしたが。。。。)

あとは今が一番試練の時かもしれませんね。うちの会社だけでも100本以上の公演がコロナウィルスの影響で中止・延期となりました。

ライブやイベントどころか海外との行き来も出来ない状況です。

エンターテイメントというものが生活の中ではファーストプライオリティではなく、プラスアルファなものだということを再認識すると同時に、エンターテイメントは生活に潤いを与える大切な「プラスアルファ」になれるということも再認識しました。

厳しい状況は変わらないですが、9月に予定しているフェスティバル・イベントは世界的にもコロナウィルスの影響後に初めて開催される大型イベントになるので、無事に開催ができるように準備作業を進めています。(後日確認したところ、残念ながら延期となってしまったそうですが、準備は進めているとのことでした!)

ー話は変わりますが、イッペイがいたころのだいだらぼっちはどんな感じでしたか?

とにかく部屋が汚かったですよね(笑)

先代OBたちが作った、あの隙間だらけのだいだらぼっちが好きでした。

とにかくたくさん話し合いをした記憶があります。時には夜遅くまで。結論を多数決にすることはいいのか?という深い議論もしたような気がしますね(笑)

小学3年生から高校生と大人たち、全員対等で話し合いをするって今考えても凄いことですよね。

ー多数決の話、思い出した!確か、初めから多数決をとるのではなく、とことん話し合ってからの多数決ならみんな納得できるんじゃないか!?っていうような話だったと記憶していますが…。だいだらぼっちの話し合いは、大人もこどもも関係なく、みんなおんなじ「一人一票」ですもんね。なかなか簡単にできることではない、と今も思ってます。

当時の出来事で一番印象に残っていることはなんですか?また、面白エピソードがあったら教えてください。

一年目か二年目の最後の時、みんなで飼っていたニワトリをどうするか?という話し合いをずっとしていたのを覚えています。

翌年の子たちに引き継いで育ててもらうのか?自分たちの意思で飼っていたのだから自分たちで絞めるべきじゃないか?

まとまり切らず何度も話し合いを続けたような気がします。最終的には自分たちで絞めて、きちんと自分たちで食しました。

命あるものを我々は食している、ということを強烈に認識した大事な体験だったように思います。

みけとの思い出もあって、たぶん初めて田本の駅に連れて行ってくれたのがみけなんです。

今も一緒なのでしょうか?行きは急な下りで、帰りは登りの山道。その道中息も切らさずずっと喋り続けるボクに「どんだけ体力あるの?」って言われたのをよく覚えています。

今でもよく喋るほうかと思います(笑)

ーニワトリを飼うたびに出てくるこの論争。今もニワトリを飼っているのでそのうち出てくるかもしれませんね。

田本駅の話はいまだに現役の子たちに話すことがありますよ。田本駅までの往復の間、休む間もなく本当にずっとしゃべり続けてあの急な山道を昇り降りできる子がいたの。ものすごい体力だよね!って(笑)。ちなみに今もあの急な山道のままです(笑)。

そんなだいだらぼっちでの暮らしは、今のイッペイにどんなふうにつながってますか、あるいはどんなふうに位置づいていますか?

いろんな人に出会えたことは大きい気がします。

日々の暮らしをともにした仲間たちもそうですが、遊びに来てくれるOB・OGたちや保護者の皆さんにもたくさんいろんな話を聞かせてもらって、いろんな価値観を教えてもらった気がします。

高校の時に留学したのも、だいだらぼっちで出会ったOBたち(千夏やさくら)の影響は、とても大きかったです。

あと南アフリカの民族音楽グループが来たことありましたよね?自分が現役の時かちょっと記憶が曖昧なのですが…

だいだらぼっちを卒業した後、高校生の時に、北東アジアのこどもたち(モンゴル、中国、ロシア、韓国、朝鮮学校、日本)とのキャンプに参加させてもらったのも貴重な経験でした。

異文化に触れる楽しさもだいだらぼっちでのたくさんの出会いで学んだように思います。

ー確かにだいだらぼっちにはたくさんの出会いがありますね!一緒に暮らすこどもたちだけでなく、そこにいる大人(相談員)、訪ねてくるOB・OGや保護者の方々、見学に来る方たち等々。普通に暮らしているよりも圧倒的にいろんな人たちと出会えると思います。

イッペイが今夢中になっていることはありますか?あれば教えてください。その魅力も!

本当に根っからの音楽好きなんです(笑)。

常に新しい音楽やアーティストを求めています。自分がこれだ!って思ったアーティストを日本に呼んで大きな反響があると嬉しいですよね!

あとは留学していた時のホストファミリーの影響でミュージカル舞台が大好きになりました。ライブな音楽とダンス、演劇が融合されて最上級のエンターテイメントなんじゃないかと思っています。

以前に一週間旅行でNYに行ったときは8~9つくらい作品を観て、おそらく舞台観る以外は何もしなかった気がします。

最近はミュージカル関連のお仕事も少し関わらせてもらえるようになって幸せです。

ー今の自分が幸せって言えるって素敵ですね。そんなイッペイの夢を教えてください。

世界の面白いエンターテイメントをもっと日本で紹介していきたいし、逆に日本のエンターテイメントをもっと世界にも届けたいと思います。

昔は日本を出て海外に行きたい!とばかり考えていましたが、すこし外から日本をみて、日本の良さにたくさん気づけた気かします。

自分が好きな日本の面白さをもっと伝えていけるようなこともしてみたいですね

ーぜひぜひイッペイらしく発信していってください!

最後に今のだいだらぼっちのこどもたちにメッセージをお願いします!

とにかくいろんな人に出会って、たくさんお話をしてほしいかな。

話すって本当に大事。

自分の考えていることをどう伝えるか、

相手の考えてるいることをどう受け取るか、

自分の考えを押し通すべきなのか、

いい妥協点を見つけることができるのか、

たくさん話して、いろんなことを感じられる貴重な時間を楽しんでほしいかな~

きっと今言われている”お互いの「違い」を理解する”って、話をすることから始まると思うから。

だいだらぼっちでたくさんの人に出会えたことは、ボクにとってとてもいい影響になりました。

ーひとなつっこくておしゃべりが大好きだったイッペイらしい言葉ですね。当時のイッペイが目の前に現れたみたいな感覚です。忙しい中、ありがとうございました!

だいだらぼっちにいたときは小学生で細くて小さかったイッペイが、しばらく会わないうちに(あたりまえなんだけど)大人になっていました。でもその中には小学生の時のイッペイと変わらない部分ももちろんあって、たくさんの楽しいことをたくさんの人たちにシェアすることを仕事にして頑張っている。今やっていることがどんなにきつくても本当にやりたいことだからあきらめず、楽しむ気持ちも忘れない。うまく自分の気持ちを伝えられないときに拗ねていたイッペイとは大違いだけれど、(ごめん:笑)大好きなおしゃべりを上手に使いこなして楽しみながら仕事に打ち込んでいるイッペイにとっても会いたくなりました。

いつかだいだらぼっちにもすてきなアーティストをぜひ招聘してください!その日が来るのを楽しみにしています!