コロナの渦中。自然学校は何をしてる?|おらふ編

全国からこどもを集めてキャンプを実施することが難しくなったコロナの中、私たちグリーンウッドのスタッフは何を想い、何にチャレンジしているのかをお伝えするインタビュー企画第3弾。今回はオラフにインタビューします。

Q1. コロナウイルスで山賊キャンプが中止となりました。その時の気持ちを教えてください。

グリーンウッドに来てまだ3年目ですが、これまで当たり前にやってきたことができなくなるとは想像していませんでした。
1年かけて様々な事業を行っても、出会えるこどもの数は限られています。そんな中でキャンプの中止は、毎年1000人のこどもと関わり、自然の中で学んだり、私たちの想いを届ける機会を失ってしまうことにつながるので、正直プラスに捉えることはできませんでした。

Q2. その他にもコロナウイルスの影響があったと思います。どんな様子でしたか?

だいだらぼっちに今年度参加するこどもたちが4/1に集まって、そこからコロナウイルスがある中どんな風に暮らしていけば良いかの話し合いをしました。
だいだらぼっちは、暮らしの全てをこどもたちが主体者となって話し合います。けれど、誰も正解がわからない、せっかく考えても次の日には基準が変わっってしまう、そんな誰も立ち向かったことのないウイルスとの付き合い方を、果たしてこどもたちと一緒に考えることができるのか?して良いのかという不安と葛藤がありました。なにより人と一緒に暮らすことを求めてきたのに、それが叶わない状況の中、あまりにイメージの違う暮らしにこどもたちの心がついてこられるのかなと悩むこともたくさんありました。

個人的にも帰省することが難しくなって家族やお世話になった大学の先生、友人と会えない中、自分は人と話すことで仕事や未来のことを確かめていたんだなと。近くにその人たちはいないのだけれど、そういった人たちからエネルギーを貰って力にしていたんだと気づきました。

Q3. そんなコロナと共生しながらのだいだらぼっちの暮らしはどうでしたか?

1学期は村外に出ることも難しいと判断していたので、敷地の中の限られた自然を活かしてどれだけ楽しめるかにこどもたちとチャレンジしていました。例えば山菜を採って食べるにしても、普段なら天ぷらだけになりがちですが、灰であく抜きしたとき、最もおいしいベストタイミングを調べたり、スタッフのサンが中国では木蓮の花を食べるよと話していたのでジャムにしてみたり。伸びた竹を使ったメンマ作りや、梅でジュースや梅干しを作ったり。学校から帰ってくるとすぐに桑の実畑に行って、口を紫にしながら食べたり、それをジャムにしたり。改めて話すと食べてばっかりですね(笑)。あと、桑の葉やヨモギを使って染め物も結構な回数やっていました。

後は自分たちで楽しむことを生み出していました。梅雨で外に出られないからと「梅雨フェス」をやったり、オリンピックが中止になったからだいだらぼっちで「だリンピック」をやったり。室内だと密になりやすいからと、外で野宿をすることも何度もありました。わざと雨の日を狙って、ブルーシートの屋根の下でみんなで寝るなんてことも。

Q4. コロナがあったことで得られたことはありますか?

「このコロナがある中でどう暮らすか?」という話し合いについて、私自身が疑問と不安を感じていました。けれど、こどもたちを見ていると、もしだいだらぼっちで感染者が出たら、村の人や学校、家族にも迷惑をかけてしまう。つまり応援してくれる人たちを困らせてしまう。だからどうしたらいいのか?と深いところまで考えている姿が印象的でした。自分たちのことだけではないので、これまでと話し合いの質が変わってきたと感じました。
具体的にも、暮らしているとどうしてもうまくいかないこと、例えば食器を洗うところが混んでいて、それはいけないのではないかと話し合って、人数を制限して声を掛け合ったりすることにしたりと、積極的に問題解決に動いていました。

後は困難な中だからこそおもしろいことも。4月のスタート当初は、全国いろんなところから来ていたのでお風呂も人数を制限して、しゃべらないようにしていました。そんな中でジェスチャーの会話で盛り上がったり、誰かに髪を切ってもらうのもどうか?という話しになったら、とうとう一人の男の子は自分の頭をキレイにバリカンで刈れるようになったり(笑)。

コロナでできないことはたくさんありました。4月当初はできないことを数えて、できるようになるためにはどうすればいいか?ばかり考えていてとても苦しかったです。でもできることもたくさんある!と気づき始めて、それを増やしていく考えに、私もだいだらぼっち全体も変わってきたとき、いろいろなことが前向きに動くようになったように感じます。

保護者の方に来てもらうこともできないので、オンラインでの自己紹介の会をやったり、保護者との懇談会をやったりと、これまでだったら踏み込まなかったものにチャレンジできたことが大きかったです。

こどもたちは、画面越しでもお父さんお母さんと会ってとてもうれしそうな顔をしていました。1年間親元を離れて仲間と暮らす覚悟を持ってやってきているけれど、その支えになる家族の存在の大きさに気づいたのは、やはり普段と違う関りがあったからかなと思います。

Q5. このグリーンウッドの窮状にたくさんの寄付をいただきました。寄付していただいたみなさんに一言。

本当にたくさんのご寄付と応援をいただき、ありがとうございました。寄付をいただいことで、多くの人が私たちの活動が社会にとって必要だと感じてくださっていることに気づかされました。自信を持って活動を続けたいと決意を新たにしております。

まずは目の前にいるだいだらぼっちのこどもたちと、このコロナという困難に立ち向かっていくことが恩返しの一歩だと思います。
今後は村内にある魅力に改めて気づいたので、そこをこどもたちと深めていきたいと考えています。だいだらぼっちの2学期は忙しく、冬野菜を育てるまで手が回りきらないこともありました。今年はがんばってチャレンジして、村の方に教えてもらって畑の野菜をおいしく育てたいと思います!

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