Do They Know It’s Christmas?

12月25日。
信州の山村ではクリスマスの雰囲気はほとんど感じられない。
いつもの冬の風景と暮らしが営まれているだけだ。
それでいいんじゃないか、と想う。
泰阜村では、メディアや産業に左右されない、実に素朴な、そして実に豊かなクリスマスを迎えている。

さて、私が好きなクリスマスソングがある。
1984年。
飢餓に苦しむエチオピア難民の救済のために企画された世界規模のプロジェクトによってレコーディングされた唄だ。
当時のイギリスのスーパーミュージシャンが一堂に会して作られた唄は、後のライブ・エイドやUSA for AFRICAなどのエイドものの原点となった。
曲名は「Do They Know It’s Christmas?」。
歌うのはスーパーミュージシャンの集まり「BAND AID」。

Do They Know It’s Christmas?
直訳すれば「彼らはクリスマスの季節だということを知っているのだろうか」だ。
飢餓に苦しむアフリカのこどもを想う唄。
途中にこんな歌詞が出てくる。
The greatest gift they’ll get this year is life
直訳すれば「今年彼らが得る最高の贈り物 それは命」。
雨は降らず川は干上がる不毛の地。
絶望が支配する地から湧き上がる生きることへの渇望。

それはきっと、戦禍に苦しむウクライナでも同じことだろう。
生きたいと願いながらも、命を落とすこどもたち。
日本全国で、虐待やいじめで絶望をいただき続けるこどもたち。
そして、大雪や地震などの自然災害で途方に暮れるこどもたちも。
彼らは、今がクリスマスの時期だと知っているのだろうか。
どんなクリスマスを迎えているだろうか。
彼らにとっても、今年の最大の贈り物は命なのだろうか。
生きる絶望を、生きる希望に変えていかなければならない。
強くそう思う。
世界中のこどもたちに、この想いを届けよう。
そう、今日はクリスマスなのだから。


Do They Know It’s Christmas? の日本語訳を、参考までに紹介する。

クリスマスの季節 心配することは何もない
クリスマスになると 僕たちは光を受け入れ影を追いやる
そしてこの満ち足りた世界に 喜びの笑顔を広げられる
両手を世界中に差し伸べよう クリスマスなのだから

さあ 祈ろう 他の人のために
クリスマスの季節だから それは難しいことだけど
自分が楽しんでいる時でも 窓の外には別の世界があるのだから
それは不安と恐怖の世界
そこに流れる唯一の水は 身を切るような苦悩の涙だけ
そして そこで鳴るクリスマスの鐘は 悲惨な運命の響き
そんな運命が自分の身に降りかからなかったことを 今夜神に感謝しよう

クリスマスの季節でもアフリカには雪が降らない
今年彼らが得る最高の贈り物 それは命
そこは不毛の地 雨は降らず 川は干上がる
彼らはクリスマスの季節だということを知っているのだろうか

皆のために乾杯しよう
燃える太陽の下にいる彼らの為にも乾杯
彼らは知っているのだろうか クリスマスの季節だということを

世界中に食料を差し伸べよう
再びクリスマスがやってくることを彼らに伝えよう

 

メリークリスマス 代表辻だいち