山賊キャンプ参加者のその後はどうなる?|裏方ボランティアのあっきー

ーはじめてキャンプに来たのはいつのこと?
小4の時。それまで他の団体のキャンプ行っていたんだけど、ある日山賊キャンプという名前を見かけて、気になったのがきっかけ。夏を迎えていざ参加してみると、すごく衝撃的だったのを覚えてる。

これまでのキャンプは時計はあるし、向こうがご飯のメニューを決めててレシピ通り作るだけ。キャンプでいつ、なんの遊びをするかも全部決まっていたし、そもそも宿舎に泊まっていたから、あまりキャンプっぽくはなかった。それが、山賊キャンプに参加してみたら何もかも違う。
イモテンで大勢で寝る経験も新鮮だったし、時計はないから時間通りにやらなきゃいけないこともない。何より、山賊会議でやりたいことを決められる。山賊キャンプは何もかもがこどもが主役だった。

特に印象的だったのはご飯作り。食材だけ渡された時は「自分で決めていいの?」っていい意味で戸惑ったよ。何作るか話し合ったり、かまどづくりから始めなきゃいけないことにも驚いたなぁ。
自分はいつもは失敗したくなくて悔しいと思う気持ちが強いんだけど、ご飯作りは何回もやるから、少し失敗しても悔しさよりも。「次はこう工夫しよう」と次のチャレンジのことを考えれたのも自分には新鮮な経験だったと思う。
山賊キャンプでの色んな出来事が、これまでの行っていたキャンプとは一線を画していたと思う!(笑)

次の年、スーパーコースに参加したんだけど、スーパーコースはさらに上のチャレンジが待ってた!
普段都会で過ごしているこどもが天下の天竜川降ったり、色んな川にも遊びに行った。和知野川で飛び込みの踏ん切りもつかなくて、1回しか飛べなかったけどその時の感覚も鮮明に覚えてる。
ご飯作りも、これまでは1食分の食材を渡されてたけど、スーパーコースでは食材も冷蔵庫の中身と相談して決める。1週間以上ある期間中の食材を、計画的に使っていかなきゃいけなかったんだけど、自分の族が残していたキャベツを別の族が使っちゃってケンカもしたなぁ(笑)。

色んな思い出があるけど、洗濯や風呂焚き、掃除といった暮らしの仕事をこの時面白いと思ったんだ。
それでキャンプから帰って、親も自分がすごく山賊キャンプに惹かれていることを知っていたから、1年間の山賊キャンプのだいだらぼっちに参加するか聞いてくれて。なかなか気持ちの整理がつかなくて、締め切り3日前になってしまったところで1年間行く決意ができたんだよね。ただ、そんなタイミングで資料請求もしてない中でどうすればいいかわからなくて、だいだらぼっちに自分から電話してなんとかしてもらった。それもあって、なんとか翌年だいだらに行くことができた。

ーその後だいだらぼっちに参加しての変化は?
だいだらぼっちは話し合って1年を創っていく場なんだけど、自分は司会とかはよくやっていても、自分で手を挙げて意見を言うことはあまりできなかった。多分20回にも満たないと思う。
そもそも人の輪に入って話すことが得意ではなかったから、よく参加したなと思う(笑)。
ターニングポイントは、だいだらぼっちのこどもたちがみんなに劇や遊びなどを通して感謝を伝える「だいだらぼっち祭り」。
基本真面目だから曲がったことやふざけたノリが得意じゃなかったけど、それが劇で変わったんだよね。「ドングリス」っていう出番も多くない役だったんだけど、ウケを取らなきゃいけないシーンがあって。最初は苦手だったけど、やってみると、ふざけるとは違う面白おかしくの楽しさがわかったんだよね。
そこから、自分で固く守っていたものが、守る必要がないんだと思えたかな。肩の力が抜けたというか。
大勢でワイワイしながら楽しく暮らす豊さを知れたし、1年間暮らさなかったら、自分の得手不得手、こだわりや考えなど自分のことについてわからなかったと思う。それが一番大きかったかな。

ー山賊キャンプにボランティアとして出てみてどうだった?
高校に入ったら山賊キャンプに来ようとは思っていたんだけど、せっかくなら長い期間来たくて、裏方ボランティア(※だいだらOBOGのみ参加可能)に惹かれて申し込んだんだ。
こどもの頃は見えているボランティアの存在しか知らなかったよね。食材は仕分けられてくるし、バスのおやつだって配られるだけ。忘れ物もそのあとのことなんか見えない中で、そこの準備や対応をするのが裏方である物資チームやキャンプ事務局チーム。裏方をしてこんなに色んな仕事があるんだと知れたし、こうして支えられてだいだらに来るまでやってこれたんだと気づけたと思う。現場も色々あるんだけど裏方なしじゃキャンプできないんだと実感したね。
ここで体を動かしてご飯作ったりボランティアの仕事をすること、自然の中でここで暮らすことは自分にとっても良いリフレッシュにもなってるかな。

もちろんキャンプ現場のボランティアとしても参加したことはあって、その時の体験も学びがあった。
小学校1年くらいの子がややホームシック気味で自分にべったり甘えていた子がいて、川遊びにみんなで行く時に、一緒に遊びに行きたいと言われたけど自分は役割的に行けなくて。「あっきーがいないとヤダ!行きたくない」って何度も言われたけど話をして、下まで行ってあげるから遊んでおいでと背中押したら、その子も参加できて。すごく楽しく川遊びができたんだよね。ちょっと別の人が背中を押すだけで、こどもがチャレンジできることはあるんだと感じたかな。
飛び込みとかも最初はやれないと言ってたが、できるようになってて驚いた!たった3泊のキャンプだったけど、こども達の成長の一端を見たと思う。

キャンプ現場のボランティアは、先生じゃなくて相談員だから、こちらの問いかけ方一つでこどもが主役になれるかが変わってくるんだと思う。こうやってじゃなくて、「どうしたらいいかな?」と問いかける投げかけが大事なんだとも気づけた。自分みたいに話すのが苦手な子も、問いかけは答えやすいし話すきっかけにもなるしね。
自分がこどもの頃もこうして主役であれたたから楽しかったんだと思う。
その根底だけは覆さないようにしたいし、自分がキャンプで味わった楽しさを今のこどもたちにも伝えたいな。

ーこども時代のキャンプ、だいだらぼっち、ボランティアを通して学んだこと得たものがあれば

「人とコミュニケーションをとること」の核心を知れたと思う。

キャンプやだいだらの暮らし、ボランティアの仕事は人との協働作業が多くあるからこそ、話し合う必要が出てくる。だからこそ人とコミュニケーションとるし、相手の状態や気持ちを気にかけるようになったと思う。あっち大変そうだな、とかこの人はこうしたいんだな、とか。それらを通して、あらゆることについて話し合う力はついたと感じているかな。

あとは、昨年のB2組で相談員をした時は緊張でそこまで色んな人と話せなかったんだけど、冬キャンプでは積極的に人と話ができて。夏での出来事を踏まえて、次は自分をこう変えたいと思っていることに気づけたと思う。こうした経験はキャンプでもだいだらでもあって、「自分」という人についての理解が深まったと感じてる。
自分を認めた上で、失敗含めて個人を表現できるようになったし、だいだら現役の時は自ら意見を言って話し合うところには十分には到達できなかったけど、今はできるようになった。その根幹はだいだらやキャンプを通して培われたと思う。

ー最後に、キャンプ参加を考えているボランティアへ一言!
このキャンプでは人との関わり、他の相談員の姿も通して自分の強み、弱み得意不得意や気づき発見がたくさんあるキャンプです。こども関係の人じゃなくてもも来てみたら、1人の人として今後の道標になるような体験ができると思う。ぜひ来てみてください。

 

だいだらぼっちにいた当時、毎晩新聞を広げ野球の勝敗や世情をチェックしていたあっきー。その姿からは晩酌をする父のような落ち着きを感じていましたが、今回は自分の弱さや抱えた葛藤、そして成長できた部分。たくさんのものを感じながら一回り大きくなったあっきーの姿を知ることができました。

ぜひまた帰って来てね!