もし刃物がなかったら人は暮らしていけるでしょうか?例えば、包丁やハサミがなかったら…。暮らしに欠かせない道具である刃物。だいだらぼっちでは包丁やハサミ以外にも、ものづくりにおいて小刀、ノコギリ、ナタなど刃物は欠かせない道具です。
先日、今年からだいだらぼっちに参加しているメンバー(以下:新規メンバー)に向けて、刃物講習が行われました。先生は、陶芸を生業とされている工房草萊舎のギック(スタッフのキャンプネーム)です。「早く小刀が使いたい!!!」「ねー、いつから小刀使えるの?」「刃物講習って、どんなの?」と、新規メンバーにとって刃物講習は待ちに待ったものです。なので、刃物講習中の子どもたちは興味津々。

講習の後は、実践です! 1人ひとり、手始めとしてヒノキを削っていきます。「え、難しい。ギックがやってると簡単そうに見えたのに。」「う、うまく削れない」とみんな悪戦苦闘です。見ているのと、やってみるのでは大違い。それでも、力の入れ具合、刃物の角度、削る向きなど試行錯誤を積み重ねて手を動かしていきます。新規メンバーのねんは「木がボソボソになってきた…」と困っていましたがやっていくうちに「あ、削りやすい」と気づき、黙々とやり進めます。
その木がどんな場所で、どんな気候で、どんな風に育ってきたのか、木を削っていると見えてきます。これらの時間が木と話しているようで面白いのです。

新規メンバーが初めて小刀を使っている横で、だいだらぼっちに継続して参加しているメンバー(以下:継続メンバー)は皿、スプーンなどそれぞれ木の作品作り(木工)を進めています。1年目の時は箸を削るにも精一杯だったところ、年数を重なると楕円型の皿や平皿など色んな作品にも挑戦できるのです。

だいだらぼっち4年目のむぎちゃは「日常的に使うマイ食器(ご飯茶碗・汁椀・小鉢・朝食皿・夕食皿)の5種類全てを〝木の皿〟にしたい!!」という想いのもと、コツコツ製作中。むぎちゃ自身、木工を始めたのはだいだらぼっちに来てからです。だいだらぼっち1年目の冬、一緒に暮らした大切な仲間から〝作りかけの木の茶碗〟をもらったことをきっかけに木工へ没頭しました。まだ四角い木の塊であったところ、仲間からの想いを含めて茶碗作りを引き継ぎ、約10ヶ月かけて作り上げました。長い時間かかったからこそ、作り上げた後の達成感がむぎちゃの心に深く残ったのです。
今は既に4皿を作り終え、5つ目の夕食皿(直径約20センチの平皿)を掘り進めています。

木工は時間がかかるものです。スプーンやお箸などの小物でも慣れないうちは完成まで1ヶ月以上かかります。テーブルなど大物作品となると、半年以上かかるものも。それでも、子どもたちが夢中になるのはなぜでしょう。
それは、〝作り終えたときの達成感〟があるからです。
他にも、木工にはこんな良さがあります。
それは、〝作り終えたときの達成感〟があるからです。
他にも、木工にはこんな良さがあります。
〝刃物を使うことにより緊張感が高まり集中できる時間がいい〟
〝木の表情を知ることが面白い。〟
〝じっくりじっくりやる時間が無心になれるから心落ち着く〟
など、木工にハマる理由は十人十色です。
木工の時間は、木を見つめる時間。そして、自分自身を見つめる時間。
最初からは、決して上手くいきません。誰もが木を目の前に悪戦苦闘します。でも、すんなりいかないからこそ、色んな方法を試していくのです。今の自分には何ができるのか?どうしたいのか?〝今の自分〟がそのまんま作品に表れます。
今はおぼつかない手つきである新規メンバーも、ここからどんどん上達していきます。継続メンバーはさらに腕前をあげていきます。これから木工を通してどんな自分に出会うのか?ここからが楽しみです。