だいだらぼっち今年度最後の登山は雪山!八ヶ岳の縞枯山です。
見事な快晴。今年度のこどもたちは本当に天気に恵まれています。
ロープウェイで約2200m上がり、山頂までの標高差は170mほどなので、雪山ですがこどもたちでも比較的安心して登れる山です。しかしかなりの寒さ(-10℃くらい)とズボズボと沈む雪を歩くので、こどもたちにとっては大きなチャレンジです。今回はスノーシューを借りて歩きました。
40分ほど練習を兼ねて歩いたら、いよいよ樹林帯に入ります。平らで開けた場所は土が露出している箇所もありましたが、山の中は雪だらけ!
ここから急坂を上がっていきます。ただの山登りであれば坂も距離もたいしたことはないのですが、スノーシューがあっても雪となるとふんばりが利かず、慣れるまでは苦戦していました。はじめは元気だったこどもたちもちょっと口数が減ってきたりも。
最後の急登!もうそこは稜線、なのにすべっては下がってしまい、なかなか上がれません。
なんとか登りつくとそこには絶景が待っています。
八ヶ岳ブルーと言われる青空と白い雪のコントラストが映えます。頑張って登って来た甲斐がありました。
息をのむような風景を見ると、大人もこどもも関係なく大きな歓声を上げてしまいます。そんな姿を見ると「連れてきてよかったな」と思います。
だいだらぼっちのこどもたちをこれまでも雪山に連れてきていますが、天候によっては登山嫌いを作ってしまうこともあります。10数年前に行った際は、あまりの寒さに「2度と雪山登山には行かない!」と言われたこともあります。今回は最高の天気で登山好きがまた増えたのではないかと期待しています。
この雪山登山をするようになったのは、現スタッフくるがだいだらぼっちに小5で参加していたときです。同じ場所を一緒に歩いていると、14年前のことがどんどんと思い出されます。「あの時は吹雪で凍えていた」「○○がフリーズして動かなくなった」「稜線出たときに青空が出てきて、みんなで歓声を上げた」「お昼は鍋を作った」…。雪山登山にだいだらぼっちのこどもたちを連れて行くのが初めてで、しかも登り始めが吹雪いていたのでかなり緊張したのを覚えています。
まさか今度はスタッフとして一緒に登ることになるとは。感慨もひとしおです。
今回登った山はロープウェイも近く、比較的安全性が確保されている山です。しかし山の天気は変わりやすく、自然は常に同じ状況であるわけではありません。常に「何かあったら」の対応を考えています。
それでもこうやってこどもたちを連れていけるのは、これまでのだいだらぼっちのこどもたちと登山に行き、「こども」と「雪山」で「登山」する、という経験を積み重ねてきたからです。私たちスタッフのスキルは決して自分たちの力だけで身につけたわけではなく、こどもたちと一緒に歩いた経験があってこそ。
これは登山に限ったことではありません。「こどもと一緒に暮らす」ありとあらゆる時間と経験が私たちを育ててくれるのだと感じます。
山頂で集合写真。
スキーと比べて雪山登山は、よっぽど登山好きにならない限り人生で何度もいくことはないでしょう。そして今回の経験で「雪山の登る」というスキルが身につくわけではありません。ではただの想い出になるだけなのか?
そうではありません。苦しい山を登り切った達成感、澄み渡った青空と白い雪景色が広がる素晴らしい風景を見て心振るえるほどの感動、素手で転んでしまってかじかんだ手がグローブに入らず泣けてしまったこと、温めた昼食が食べているそばから冷えていくわびしさ。こどもたちがこれまで出会ったことのない自分の感情や感覚は、自分でも知らなかった「自分」の発見です。それは新たな世界の扉なのです。
「まだまだ知らない世界がある」という事実は、
自分の心の中にも知らない自分がいること
今見ているものが世界の全てではないこと
を教えてくれます。それはいつか必ずこどもたちの支えになるはずです。
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グリーンウッドの代表理事。2004年よりグリーンウッドスタッフとなり泰阜村に移住。一男二女の父。2024年より代表理事となる。