ツリーハウスの建築材を手に入れよう!

こんにちは!スタッフのだいちゃんです。みなさま「あんじゃね学校」という活動をご存知でしょうか。泰阜のこどもたちが村の暮らし・文化・歴史・自然体験を通じて故郷を身近に感じてもらうように、毎月グリーンウッドが行っている活動です。今年度は、主な活動場所である、あんじゃね森のツリーハウス建て替えプロジェクトを行っています。一学期には、17年前に建てて老朽化したツリーハウスの解体作業を行いました。解体作業の様子:https://www.greenwood.or.jp/tane/10137/

今回は、新たなツリーハウスをつくるための建築材を自分たちで手に入れる目的で、伐倒と搬出作業を行いました。参加者は普段森で遊んでいる小学生たちとその家族。そして、なんと中学生も参加してくれました。心強い様々な年齢の仲間たちです。

さっそく、建築材に使うヒノキの木を倒します。どうやって木を倒すのか、木の切り倒し方をものづくり教室の先生であり、林業士のギックが丁寧に教えてくれました。山に住んでいてもプロから教わる機会はなかなかないので、興味深そうに聞いていました。

伐倒の瞬間はなんとも言えない緊張感に包まれます。こどもたちは真剣な眼差しで見ていました。チェーンソーの動く音、木の揺らぎ、バキバキっと鳴り、すぅーと澄んだ音がしたら倒れる木、山に暮らすこどもたちはどんな気持ちで見ているのか気になるところです。

木を倒した後は長さを図ってみました。倒す前に「何メートルあるか当ててみよう!」と簡単なクイズをしました。特に基準もない中で感でしかないですが「18メートル!」、「20メートル!」と予想していきます。中には木を見上げて、走ったら何秒でてっぺんまで行けるかを予想して高さを考える面白い発想の子もいました。

いざ図ってみると長さは23.8mもありました。みんなが思っていたより長かったです。林業士のギックが「次はこの木の樹齢を見てみよう」と提案してくれて切り株にみんなが集まります。木の中心(髄)から輪を「1、2、3…..」と数えていきます。「39.40.41…」とまだまだ止まりません。「お父さんより年上だ!」とこどもたちは驚いていました。その後も数え続けて「108.109.110!110歳だ!おじいちゃんよりおじいちゃんだ!」と大はしゃぎなこどもたち。あんじゃねの森でも長寿な110歳のヒノキ林でした。

これから先はこどもたちも大仕事。切り落とした木の枝を移動します。長い枝はみんなで協力します。

枝を運び終えると、枝が早く土に還るように細かく刻みます。小さい子たちも、ノコギリで切る人とおさえる人に分かれて作業しました。ほしい木だけを持っていくだけでなく、後始末が山作業では大切です。村のこどもたちは、山や森の何年後かを見据えて整えることを遊びの中から知っていく気がします。

いよいよ!大変な搬出作業です。倒した木を製材をするため4m、2mに切ります。切り分けた木にワイヤーを結んで滑車にかけてロープで引っ張ります。短くなったとはいえとても重いです。当たり前ですが、力自慢な男の子二人ではまったく動きません。

まったく動く気配がないですが、人数が集まると違います。私が声をかける前に男の子たちが「ダメだ、みんな早く集まって!」と全員呼び出します。この回に集まった幼児、小学生、中学生、保護者、スタッフも含めた全員がロープをつかみ、男の子たちの「せーの!」の掛け声で一気に引きます。後ろまで掛け声が聞こえなかったり、息が合わないことで力がうまくかからずに引ききれませんでした。しかし、何度かチャレンジしていくなかで「せーの」のタイミングを合わせることや、列の並び方などを変えたりと試行錯誤をして見事に動かすことができました。

木を動かし、トラックに乗せれた瞬間、自然と喜びの声と拍手が沸き起こりました。みんなが全力だからこそ達成感を感じたのだと思います。また、1人ではピクリとも動かない材をみんなで引っ張ったら動かせる事実に驚きと面白さを感じているようです。大変さを面白さに変えられることを体験で理解したこどもたちは清々しいほど笑顔でした。

みんながトラックへ乗せた4m×1本と2m×2本はそのまま製材所へ運搬します。今回の作業はこれで終わりです。最後のふりかえりでは「クタクタだけど楽しかった!」という声や「この木で早くツリーハウスを作りたい!」と満足げな感想で溢れていました。また、今回参加してくれた中学生は「懐かしいこの場所で貴重な経験ができて本当に良かった。また、僕たちがたくさん遊んだこの森とツリーハウスを次の世代も遊べるような場所にしていきたい」と言ってくれました。今回は、ツリーハウスを作ることが目的で集まった面々ですが、今後何か大きいことを実現したいとき、また村での大きな課題が生まれた時に今回の木をみんなで動かすという「協働」を経験したことが必ず大きな力になると信じています。今回の作業が参加者のいつかの力になったら嬉しいです。