「一緒に考えられる存在」|2022教師・指導者育成プロジェクト~ふーみん10月の研修報告

10月は、9月の振り返りの際に考えた「もう一歩踏み込んだ関わり」を意識して過ごした1カ月でした。そして、「どんなことでも一緒に考えられる存在」になりたいという想いを胸に、自分の行動を考えながら過ごしました。

 私にとっての「もう一歩」は、こどもたちとの距離感を縮めて、伝えたいことを躊躇せずに伝えるということでした。私の持つ課題は分かってはいるものの、踏み込んで良いのか、私の気持ちを伝えて良いのか分からない場面に日々出会います。具体的なエピソードとして、11月上旬に控えていただいだらぼっちこども説明会(来年度のだいだらぼっち参加者を募るために、東京と名古屋で開く説明会)の準備中での、こどもたちとの関りがあります。東京と名古屋の2つのチームに分かれて行う説明会では、こども9人、相談員2人ずつに分かれました。説明会の主役はこどもなので、説明の内容や伝え方もこどもたちが考えます。こどもたちはのんびりと準備をしている中、説明会のリハーサルが近づくにつれて、私は焦る気持ちが募っていました。チームで集まらなくて良いのか…、それぞれのセリフは考えられているのか…と思いつつも、私が口出ししても良いのか…と思い、何も言えずにいました。この不安をもーりぃに相談してみると、「同じチームの一員として、不安な気持ちになるのは当然。思っていることは伝えた方が良い」、「こどもたちは、ふーみんのことを同じチームのメンバーとして把握しておらず、付き添いの大人として把握しているんじゃない?」とアドバイスをもらいました。私に足りていなかったのは、「チームとして関わること」の意識だと気づきました。「見守る」という壁を乗り越えて、同じ土俵に立って悩み、考え、面白がることが、私の目指す「どんなことでも一緒に考えられる存在」につながると感じました。この気づきがあってから、積極的に、「私も一緒に考えたい」という気持ちを伝えて、行動できました。もっとこうした方が良いんじゃない?と提案をすると、それは嫌だとか、面倒くさいと断られることもあるし、準備は進んでいるの?と心配している気持ちを伝えても、無反応の時もありました。それでも、セリフを考えること、伝え方の工夫に悩むことを共にできたことは、「一歩踏み込んだ関わり」への挑戦となりました。この挑戦から学んだことは、こどもたちと同じ土俵で一緒に考える時間が増えるほど、こどもたちが感じている面白さや苦労、悔しさを私自身も自分事として感じられるということです。同じ感覚になれることで、自然とこどもたちとの距離を縮めるきっかけになったと思います。また、「伝える」ことへのハードルは、「伝える準備」をしておくことで乗り越えられることも学びました。「相手に何を伝えたいのか」に加えて、「なぜ伝えたいのか」を心の中で事前に明確にしておくと、自分の考えを押し殺さずに、相手に直接伝えやすくなることが分かりました。この学びから、相手との距離感を気にして、コミュニケーションを取らないのではなく、とりあえず伝えてみる、一歩歩み寄ってみるという選択をするようになりました。

 10月は「説明会の準備」という大きなイベントがあったからこそ、踏み込んだ関わりができました。今後は、「日々のコミュニケーション」に挑戦したいです。なぜなら、こどもたちが帰宅してから夜の時間までや、ご飯を一緒に作っている時、ものづくりをしている時など、他愛のない時間でのコミュニケーションの積み重ねが、信頼関係を築くからです。私は、みんなの頑張っていることを応援したいし、力になれるなら何でも協力したい、悩みや相談など、こどもたちが聴いてほしいと思うことを何でも一緒に考えたいという気持ちが強いです。そうして、みんなの輪の中にもっと入っていきたいという想いがあります。一方で、相手が必要としているのが、私ではなく他の人物や一人の時間であるのなら、無理に私が関わろうとするのは違うとも思います。色んな想いがありますが、「本音で話したい」と思われる人を目指して、日々、こどもたちと向き合っていきます。具体的なアクションとして、「おはよう」「おかえりなさい」などの挨拶を全員とすること、ご飯を食べる時や、輪になって話し合いをする時など、普段話をしないこどもの近くに座り雑談をするなど、小さな行動を心がけていきます。

 こどもたちと同じ土俵で考えるという点で、もう一つエピソードがあります。それは、ナイトハイクについての話し合いです。ナイトハイクを予定していた日の2日前に、やっぱりナイトハイクを中止にしようかという話がありました。その理由は、参加する人が少ないことや、他の話し合いなどで手一杯になっていたことなど、理由は様々ですが、こどもたちの雰囲気も後ろ向きだったことが原因かと思います。私は、「ナイトハイクに行くメンバーが後ろ向きで、無理をして歩くのなら行きたくない」と素直な気持ちを伝えました。他のこどもたちは、私と同じような考えの子もいれば、どうしても行きたいと言う子もいました。雰囲気が前向きな方向に戻らないまま、ナイトハイク前日になったのですが、もーりぃも混ざってもう一度話し合いをしました。そこでは、人数が少ない中でも、目的地で何か楽しめることはないか、道中をどのように楽しむかを考えようとしました。このように、「どのように楽しむか」という方向に向かうと、話し合いの雰囲気も次第に良くなり、当日はナイトハイクに行くことができました。「どのように楽しむか」の引き出し(アイデア)を持てなかったこと、こどもたちの雰囲気に私の心も持ってかれたことが今後の課題だと思いました。一緒に考える一員として、「どう楽しむか」に焦点をあてることが難しいと感じるけれど、こどもたちと一緒に頭を悩ませて考えたいのは「ワクワクすること」です。色んな人に知恵をもらいながら、どんな時も「どう楽しむか」という視点をもって考えていきたいです。一方で、こどもたちと一緒に落ち込み、悩み、終わりには気持ちを持ち直してワクワクした経験になりました。時間が経ってからも、「あの時のナイトハイクは、一時はどうなるかと思ったけれど、楽しかったよね~」と、こどもたちと振り返れるものになったことが嬉しいです。

 今後の目標につなげたいと思ったキーワードと出会いました。それは「有機的な暮らし」です。私の働きかけで、こどもたちと「有機的な暮らし」を生み出せるのか?と考える場面がありました。私の考える「有機的な暮らし」は、ご飯作りが楽しい!作ったご飯が美味しい!と思える暮らし、季節を感じられる食やものづくりのある暮らし、みんなで真剣に話し合える暮らし、泰阜村を満喫できる暮らしです。また、相談員のなおみちと話したときに、「人と関わっている時点で、有機的だよね」と言っていたことが印象的で、「人と関わること」を選択するのも「有機的な暮らし」の一つだと感じています。私には、7月のふりかえりにも書いたように、「心から伝えたいと思うこと」がまだありません。また、知識や技術、視野の広さもまだまだ未熟です。今の私は、こどもたちと「暮らしをこなす」ことしかできず、どこか「作業的」になってしまうと感じることがあります。作業的ではない、豊かさを感じられる暮らしを生み出すには、他の相談員の力が必要だというのが正直な気持ちです。それでも、残りの5カ月、「有機的な暮らし」を私から実践することで、こどもたちにも豊かさを広げることに挑戦したいと考えています。そのためには、「まずは、私がやりたいと思ったことを何でもやってみる」ことが必要だと思いました。「まずは、自分でやってみる」となると、例えばものづくりでは、一人で黙々と作業をするのに専念してしまうかもしれません。今までは、「一人の時間」を自ら選択するのは良くないことなのか?と悩むこともありました。しかし、無理にこどもたちと一緒の時間を過ごさずとも、一人の世界に浸っても良いから、まずは私が経験をしてみることで、こどもたちと一緒にやりたいことや伝えたいことができると思います。2学期も後半に入り、忙しない暮らしの中だけれど、自分のやりたいことにもアンテナを張って、日々を楽しみ切りたいです。

 

10月担当スタッフ もーりぃのコメント

「どんなことでも一緒に考えられる存在」を目標に暮らした10月。悩むこともありましたが、ふーみんは、自分の意見を伝えることと、日常のコミュニケーションに注目しました
いまでは、学校から帰ってくる全員に「おかえり!」と明るく声をかけるふーみんに迷いはありません。思っていることを積極的に伝えはじめたふーみんをこどもたちはより一層信頼し始めています。
人との関わりに大人もこどもも関係ありませんし、何か人より優れているから話せるのではありません。ありのままの思いを伝えることが大切なのです。

だいだらぼっちも残り半年、終わりも意識されるようになってきました。ふーみんは以前にもまして意欲的にどんなものでも経験して学びにつなげようとしています。失敗もいい経験になります。失敗を恐れず人や自然と思いっきり関わって学びを深めていってください!