ひとりで留守番⁉そんなときどうする?|家庭でできるねっこ教育

コロナウイルスが蔓延し、休校措置や自粛要請が出ている中で、こどものみならず働く親たちも家の中で居ざるを得ない状況が続いているかと思います。私たちグリーンウッドも計画していた活動や事業もできず、やれることが限られています。
そんな中でも今できることはないか?この時間があってよかった!と思えるものは無いか?を考えてきました。

それはやはり未来への投資。つまり教育です。希望を持ち、次にできることに備えることだと思います。

そこでこちらのブログに私たちグリーンウッドが35年培ってきた、「教育」「子育て」「職場づくり」「体験活動」「地域づくり」など今提供できるノウハウをお伝えして参ります!

まずは「家の中で居ざるを得ない」という状況をプラスにするために、これまで山賊キャンプ参加者に送っていた「家庭でできる ねっこ教育」コラムを「おうちでできる」バージョンでお伝えします。

今回は「こどもを一人で留守番させる」ときどうすればいいの?という話。
つまりリスクマネジメントの話です。

長く家に居続けるが故に、ヒマなこどもが何かしたらどうしよう。と不安になることも当たり前です。ましてや最近では空き巣と留守番していたこどもが鉢合わせになったというニュースも聞きます。留守番に限らず、こどもたちが安全に過ごすための方法をお伝えします。

では質問です!

Q. 外出しなくてはいけない用事ができ、こどもを一人おうちで留守番させなくてはならなくなりました。安心して過ごせるようにするために、さあ、あなたは何をどんなふうにこどもに伝えますか?

さあ、どんな答えが思いつきましたか?
「危険なことを全部伝えなきゃ!」だと、どんなにキツく伝えたとしても、残念ながらこどもたちの胸には残りません。

こんなデータがあります。
人が一日で聞くことに費やす時間はおよそ4時間。そのうち覚えているのはなんとたった8分!
これはビジネスマンの行動データですが、どんなに聞いていてもたった1/30しか覚えていないということ。実は聞くはもっとも記憶に残らない方法なんです。

それではどうすればいいでしょうか?
流れに沿ってポイントで整理してお伝えします。

ポイントその① リスクをすべて取り除くことはできない=こどもは予想できないことをする

ありとあらゆる危険なことを取り除き、それで安心!ということになりません。なぜなら取り除けるリスクは親が想像できるものだけ、そしてこどもは大人の想像を超えた行動をとるからです。

危険なことには2種類あります。ハザードとリスクです。
ハザードはそれ自体が危険で、気づくことが困難なもので事故発生の原因になるもの。
リスクは遊びなどの延長にもなりうるもので、自分で排除したり、避けることできるもの。
例えば公園にある遊具がサビていて重大な故障があったら?これは気づくことができないのでハザード。取り除くべきものです。
一方で公園に落ちている石はどうでしょう?つまづけばもちろんケガにつながりますが、気づくことができる対象であればリスクです。
リスクは年齢や対象によって異なり、場合によってはハザードになり得ます。

まずはハザードとなるものは何かを考えて、こどもたちの手に届かないところに片付けるなどしてください。そのうえで次のポイントです。

ポイントその② 自分の身は自分で守る=こどもへの問いかけ

大切なことは、こどもに考えさせることからスタートするということ。「一人で留守番するんだけど、何か怖いこととか、不安なことはある?」と聞いてみます。
出てきた答えは合っている間違っているということはありません。こども自身が一人で家にいるということを想像させることが大事です。
出てきたことにひとつひとつ「そんなときはどうする?」とこどもに考えさせましょう。時間はかかりますが、「危険がある」ことを認識し、それを「どうしたらいいか」を考える入り口に立てなければリスクマネジメントはできません。

「自分の身は自分で守る」が鉄則です。常に親が気をもんで、危ないものを取り除いて過ごしていると、大人になって独り立ちしたときに、本当に危険なことから逃れる嗅覚や感覚が育たないままになってしまいます。

できればこどもが出した答え(合っている間違っている関係なく!)を紙に書いておくといいでしょう。最後に貼っておくとなおベスト!

ポイントその③「大事なこと」は最後に少なく=聞くは頭に残りません

ひと通り話が終わったら、最後の最後に、「ここだけは気を付けて」というところを絞って話をします。ついつい不安が先に立つと親が伝えたいことを話しがち。これは親の安心のためであって、こどもの安心と安全には全くつながりません。最初にお伝えした通り「聞く」が一番残らないのです。逆説的ですが、数が少ないこと例えば「気を付けることはたった一つ!これ!」と伝えた方がより効果は高くなります。

ラーニングピラミッドという図があります。

ご覧の通り、講義を受ける(聞く)はたった5%しか残りません。逆に前述の方法はグループ討論あるいは実験・実演にあたります。30~50%に伸びるのです。

さあ、無事に用事をすませ帰宅すると、こどもたちも特に問題なく過ごしている様子にホッと胸をなでおろしたところで、もう一歩!

ポイントその④ 終わったら振り返る=実際の様子を聞く

帰ってきたらどうだったかをこどもに聞いてみましょう。不安なことや困ったことの中に、次のリスクが潜んでいることもよくあります。それに対してどう対応すればいいかを親子で考えてください。ラーニングピラミッドでいうと「自ら体験する」のところにあたります。

自分ゴトとして考える →実際に行動する(留守番)→振り返る

このサイクルが学びを定着させていきます。言葉だけでは伝わらないことが、留守番をしたという経験が積み重なることで、腑に落とされるのです。

この方法は山賊キャンプのあらゆる活動の前に行っている手法です。

下見をして危険(ハザードを取り除き、リスクを確認)を管理

こどもたちに問いかけて考えさせた後に、大事なことを伝える

終わった後は様子を聞いたり、感想を聞く

ご飯づくりも川遊びも工作も、このようなやり方でこどもが自分の身を守る主体者となるように伝えています。

最後に

この手法は小学生以上を想定しています。こどもによっては難しいこともあると思いますので、お子さんにあわせてチャレンジしてみてください。

教育とは言葉を選ばなければ繰り返しの訓練で身に付くものです。また1回やってみてうまくいかなくても、続けてみてください。