2021教師指導者育成プロジェクト~モアイ 6月の研修報告~

NPOグリーンウッドでは、次世代を担う教師を育てる「教師・指導者育成プロジェクト」を実施しています。育成プロジェクトでは山村留学だいだらぼっちや信州こども山賊キャンプなどグリーンウッドの様々な事業に関わり、こどもたちと生活を共にし、実体験を積む中で人間としての土台を拡げることを目的にしています。今年度参加者のモアイ(森 大樹さん)の6月のプロジェクト研修報告です。

―村の駅伝大会-
村の小中学生や家族・企業および村役場などのチームが出場する、駅伝大会にだいだいだらぼっちのこどもたちと参加しました。
距離は2.5km。コースに勾配があったことや、私が普段あまり運動をしないこともあり、走り終わってからしばらく気持ち悪くなるくらいしんどかったです。そんな駅伝大会ですが、走っているときに、畑作業をしていたご夫婦に応援して貰えたり、逆に走っているおじさんに「頑張って」と声をかけると、しんどいだろうに声を返してくださったのです。村の方に応援したり応援されたりするのは初めてのことで、駅伝大会を通して、地域とのつながりを感じました。
この地域の人とつながっている感覚は、大人にとっても大切ですが、こどもたちの成長にとっても大切だと思います。だいだらぼっちのこどもたちはこの駅伝大会で何を感じたのか?今回は聞くことができなかったので、私が感じたことをこどもたちと共有したり、こどもが感じたことを聞いたりすることができたら、さらに深い学びになったのかなと思いました。

―古老は語る―
古老は語るとは、年配の泰阜村民の昔の暮らしやそこから得た知恵を書き起こし書籍にまとめたものです。グリーンウッドではその書籍の作成を行っており、私もそのお手伝いをしています。具体的にはインタビューに同伴し会話内容を録音そして、それを書き起こすということをしました。その中で、生の言葉での昔の生活や仕事・戦争および、満蒙開拓について学ぶことができました。私は、高校2年生のときに理系を選択してからの今まで、社会に関する勉強をする機会が少なく、専門外の知識の浅さを感じていました。
この3か月で、今回のように村の人のお話を聞くことやスタッフの全体ミーティングで自分の興味関心のある新聞記事を3分で発表する「3分スピーチ」などが日常的にあり、社会のことについて勉強する機会が増えています。そして、それが「人間として」や今後教壇に立ったときの授業の幅を広げることにつながると思うので、これからも、そういった社会のことをについて勉強できる機会を大切にします。

—泰阜中学校授業―

今年度から、泰阜中学校の一年生があんじゃねの森(旧学校林)の木を使って技術家庭の授業でベンチをつくっています。その事前学習の授業を、材木の伐採を行ったグリーンウッドスタッフが行い、あんじゃねの森の材木を使う背景に何があるのかについてスタッフと授業づくりからスタートしました。

そこでの私の学びは、授業づくりで「この授業で何を伝えたいのか?」を聞いたときに、スタッフが授業を通して村の中学生たちに伝えたいことや、「生きているではなく、生かされていると感じるから、その恩返しを仕事を通して行いたい」というグリーンウッドで働いている思いを聞けたことです。その言葉は3か月間、近いところで働き方や生活の仕方を見てきたからこそ、自分の中にスッと入ってきました。

まだ私にはこれからの明確な目標はないですが、部分部分で何を積み重ねたいかは見えてきています。そして、それを体現するには言葉より先にまず行動で示すことだと改めて思いました。

〈6月研修担当ゆべしのふりかえり〉
昨年の村のイベントはことごとく中止だったため、今回の大会は村にとっても待ちに待たれたイベントでした。モアイが感じたように、村の場合はスポーツを通して暖かい気持ちになる、私もそう感じたことがあります。小学校運動会のリレーで「赤組頑張れー!」ではなく「○○君頑張れー!」だったのです。小さな社会ならではの「競う」より「その人を応援する」意識の表れなのかもしれません。
また今回の中学校授業は、グリーンウッドとしても初の試みであり、モアイ自身もチームの一員として力を貸してくれました。ただの技術家庭の学びでなく、身近な森から材木をいただくことの意味を伝えてくれました。生物学を学んできたモアイ(森くん)が森の話をする。面白くもなんと運命的なことだろう~と思っています。ここへ来たモアイの目的の一つである「教科書に載っていることを自ら体験し、今後伝えること」少しずつ結びついて積み重なっているところですね。もっともっとこどもたちにこの地域や自然がもつ暖かい繋がりを伝えてほしいと思っています。よろしくお願いします!