2021教師指導者育成プロジェクト~なるこ 6月の研修報告~

NPOグリーンウッドでは、次世代を担う教師を育てる「教師・指導者育成プロジェクト」を実施しています。育成プロジェクトでは山村留学だいだらぼっちや信州こども山賊キャンプなどグリーンウッドの様々な事業に関わり、こどもたちと生活を共にし、実体験を積む中で人間としての土台を拡げることを目的にしています。今年度参加者のなるこ(寺井 朱里さん)の6月のプロジェクト研修報告です。

―6月を振り返ってー

今月は、村の歴史や人々の想いを次の世代へと記録する冊子「古老は語る」を作るための村の方へのインタビューに同行する機会がありました。私はだいだらぼっちがある田本集落の三軒を訪れ、昭和の初期から現在までを泰阜村で生きてきた村の方にお話を伺いました。ある方には、田本の井水(田んぼの水路)についてのお話を聞きました。その中で、山からの湧水だけでは水不足であった田本の田んぼに、山を越えた先にある川から水を引くために山の中にトンネルを堀り水路を作ってきた人々がいることやその水路を困難を乗り越えながら現在まで守り続けてきた村の人々がいることを知りました。村の方から生の声で聞いたことで、当時の人々の苦労や想い、必死さ、暮らしの厳しさ、人と人との繋がりの強さ、村の情景、活気をその表情や目、声から感じ、その当時の様子を自分の中で想像しました。すると、村を歩けば当たり前に流れている井水の見え方が変わり、井水がこの地で暮らす人々が生きてきた証そのものであることを感じます。私は泰阜村に来てまだ3か月で、今は村について知らないことばかりですが、先人たちが作ってきたものの上に今の自分の暮らしがあることを知り、村のこれまでの歩みに触れ、自分が生まれる前の時代について想いをめぐらすきっかけとなりました。

また今回、昔のことをその時代を生きていた人に聞けることはかけがえのないものだと感じ、自分の家族の歴史について聞いておかなければという想い、知りたいという興味が強くなりました。今はもう直接祖父母に聞くことは難しいですが、祖父母やその前の代がどんな時代を生きて、どんな暮らしを送り、何を思っていたのかを、親や祖父祖母の兄弟といった当時を知っている人や当時の話を本人から聞いてきた人たちから聞きたいです。自分の最も身近な家族が歩んできた歴史を知っていることで、日本全体や泰阜村の歴史を知ることにも繋がっていくのではないかと思います。

せっかく泰阜村で暮らす1年。村の方と関わり、村の自然を堪能し、村の歴史に思いをはせ、泰阜村についてもっと知りたいです。

そのために、これからやりたいこととして、ひとつは日本全体の歴史の基本を知ること。学生時代に暗記物として覚えていた歴史の基本的なところをまずは学び直す必要があると思いました。ふたつ目は家族の歴史について知ること。日本全体の時代の流れと照らし合わせた上で、自分の家族がその時代をどう生きてきたのか、家族の歩みについて知りたいです。みっつ目は、村の方と自分なりの関係性を築くこと。今回のような村の方との出会いを一度限りのものにせず、ひとつひとつの出会いを丁寧に育んでいこうと思います。

コロナ禍ということもあり、だいだらぼっちのこどもたちは村の方々や地域との関わりが少なくなっていると感じます。しかし、わたしたちの暮らしは、泰阜村に暮らす「人」、「自然」、「文化」といったものが交われば交わるだけ、豊かになっていくのだと思います。私自身も地域との関わりを育みながら、少しずつ、だいだらぼっちのこどもたちと地域との繋がりを作っていきたいです。

〈6月研修担当ゆべしのふりかえり〉
なるこは先月に引き続き、日常ではこどもたちと草木での染め物をし、お休みの日には先日聞き取りに伺ったおばあま(村のおばあちゃん)のところへ再び顔を出しに行くなど、さらに自分の足元を広げています!さらにこの地域で暮らすことに深みが増してきていますね。なるこが見ている泰阜村を、どうこどもたちと一緒に感じて、心に残していくか。“こどもたち「と」”が次なるキーポイント。なるこの繋がりからのチャレンジで、もっと暮らしと地域がつながっていくはずです!