だいだらぼっちの卒業生にインタビュー なっくん(1987・1988年度参加)

だいだらぼっちが私の人生を左右はしていないと思う。でも、一人で何でもやること、自分と違う考えの人もいるって事を早くに学んだのはよかった。

だいだらぼっちの卒業生・保護者にインタビュ―するこの企画。今回はだいだらぼっち二期生のOGのなっくんです。

なっくんはだいだらぼっち二年目と三年目(1987・1988年)に、小学5・6年の二年間を過ごしました。当時はとっても元気な女の子でした。今はスペインのバレンシアに住んでいます。海外在住のため、直接会ってのインタビューとはいきませんがいろいろお話してくれました。

ーなっくんはスペインに行ってからずいぶん長いですがどのくらいになりますか?

1999年~2001年まで1年半留学、その後1年半日本で働いて2003年にスペインに戻ったので、大体18年半ぐらいかな?

ーなっくんはいま何をしていますか?仕事についてもですが、そのほかにも家族の事や趣味のことなど、いろいろ含めて教えてください。

就職して居住許可をゲットするためにバルセロナの出版社でWEB医療コンテンツ作成のコーディネーターの仕事をした後はバレンシアに引っ越してて高級和食店でホールマネージャー→英語学校の受付兼秘書→スペイン語学校のWEBマーケティングと転職。語学学校のWEBマーケティングをしている時に始めたスペイン留学エージェントの仕事がうまく行ったので、副業はやめて今は留学エージェントとして自営業。旅行関係のライティングの仕事も条件が合えば引き受けると言った感じ。仕事でスペイン各地の語学学校の視察やミーティングがあるから、留学エージェントとして本格的に活動するようになってから、小旅行も増えてそれもストレス発散の一つ。その小旅行で撮った写真や行った場所を、旅行サイトに寄稿して一石二鳥なんだけれど、何をしていても仕事の事ばかり考えちゃうのが唯一の悩みかも。

家族はスペイン人夫と猫が3匹で、いわゆるDINKS(こどもなし夫婦共働き)。二人とも結構忙しい仕事なので、家事を含め家の事はどちらが得意かで何をやるか決める生活。効率第一なので、例えば料理や献立を決めるのは自宅勤務の私、IT系の会社に勤める夫は週末の掃除と皿洗いとか。私は自営業なので、週末や旅行中も仕事をしているけれどその間パートナーが何も言わず自分のことをしていてくれる人なので本当に助かる。

ーなっくんがいたころのだいだらぼっちはどんな感じでしたか?

多分今のだいだらぼっちの子よりも、やることが山盛りだったのでとりあえずその日の作業してたくさんご飯食べて、寝るというプリミティブな生活だったと思う。宿題は二の次だった人が多かったはず。作業=遊びと思えない人、体力がない人は大変だったんじゃないかな。

ー母屋を建設した年とその翌年になっくんはだいだらぼっちにいましたが、当時の出来事で一番印象に残っていることはなんですか?また、面白エピソードがあったら教えてください。

これは、全く覚えてなくて去年ぎっく&まるちゃんがバレンシアに遊びに来てくれた時に聞いたのだけれど、母屋は天井の梁がみえたままの作りだった。あれは、どうやら私が「天井の梁が見えているままでいいじゃない、これが素敵だよ」みたいな事を言ったらしく、それが採用されて天井をあえて作らなかった(屋根裏部屋はない)作りになった。でも言った本人は全く記憶がない。多分作業じゃなくて川遊びとかしたくて適当な事を言ったのではないかと今思っています。

ーだいだらぼっちでの暮らしは今のなっくんにどんなふうにつながってますか、あるいはどんなふうに位置づいていますか?

だいだらぼっちに行ったから今の自分があるとは思ってはいない。私はどこにいても私だし、だいだらぼっちがその後の私の人生を左右はしていないと思う。きっとだいだらぼっちに行かなくても海外生活は体験したと思う。でも、だいだらぼっちで学んだ一人で何でもやること(家事一般)、自分と違う考えの人もいるって事を早くに学んだのはよかった。

18歳でアイルランドに行った時も、スペインに留学した時もホームシックにかかったこともない。あと大人になって自分で働くようになってから、あの時子供2人で合計4年間もだいだらぼっちに行かせてくれた両親は本当にすごいなって思う。私には子供がいないけれどここまで同じように子供がしたいと思ったことをさせてあげられるかなーと、だいだらぼっちを思い出すといつも最後はこんな風に両親の事を考える。

ー今のなっくんの夢を教えてください。

スペイン留学時代は「仕事を見つけて労働許可ゲット」、仕事を始めてからは「スペインの永住権取得」、永住権の夢が叶ってからは「留学エージェントの仕事を軌道にのせ、自営業になること」だったんだけど、夢と言うか目標はクリアしてきて今は特に夢はこれ!というのはないかも。結構思い描いていた理想の生活が出来ていると思う。こんな風に書くと、「海外移住して優雅な国際結婚生活」と思われるかもしれないけれど、実際は全然お金持ちとかではない。でもよく働き、よく遊びを実践できるようになってきたかなと思うので、幸せだと思う。もちろんここまで来るには異国で移民(外国人)として1人で頑張ってきたので簡単には言えない苦労もたくさんしてる。

新たな目標はかなり現実的だけれど、「家のローンを早く返却すること」そして今のペースでずっと仕事を続けられる事。スペインの自営業は条件がかなり厳しくてしっかり稼がないと仕事しない方がいい、自営業は奴隷!と言われちゃうぐらいなので。あとは今まで忙しい仕事ばかりだったのとバカンスと言えば日本帰国だったので、これからはもう少しスペイン人の夫と旅行を楽しみたい。

ー最後に今のだいだらぼっちのこどもたちにメッセージをお願いします!

人に何かをお願いした、やってもらった時はかならずお礼を言うこと。社会に出て一番の強みは人脈やいい意味でのコネ。スペインでも日本でも礼儀正しい人は大事にされるし、何かあった時は助けてくれる人が出てくる。

想像力を持つこと。自分はこう思うけれど、こんな環境や生まれだったらどんな風に思い行動するのだろうと考え、他人を自分の常識だけで判断しないこと。その人は自分には見えないバックグラウンドを持っているかもしれないから。

私が常に想像力を持って人を見ているかと言うと100%YESとは言えないけれど、外国に住んで自分が移民となり、差別を受けたりスペイン人と同じく税金を払っていても同じ権利がない場合もあったので、考えさせられるきっかけになったの。日本は恵まれた国だと思うし努力すれば報われることも多いけれど、努力さえ許されない人がいるんだと言う事を感じて欲しい。

素敵なメッセージをありがとうございました!

なっくんの言うように、昔からなっくんは変わらないなぁと思います。自分の中に軸がちゃんとあって、誠実で、誰とでも同じ人として対等な関係性をつくれる感じっていうのかな。今回のインタビューでも改めてそのことを感じました!なっくん、お忙しい中にもかかわらずインタビューに答えてくれてありがとうございました!日本に帰国したらまた遊びに来てね!