福島のこどもがリーダーとなって帰ってきた ~成長と未来を支える「支縁」~

福島県から高校生の女の子がやって来た。
信州こども山賊キャンプのボランティアリーダーだ。
泰阜村とNPOグリーンウッドは協働して、東日本大震災の時にも信州こども山賊キャンプに福島のこどもたちを招待した。
放射能の影響で自由に外で遊べないこどもたち50名は、泰阜村で躍動した。
福島から来たこどもたちの交通費は泰阜村が負担、その他経費はNPOグリーンウッドが全国から支援金を募った。
たくさんの想いが集まり、50人ずつ5年間、合計250人のこどもたちを招待することができた。
とりわけ、全国の大学生諸君が集めてくれたお金は多額だった。
日本の若者も、捨てたもんじゃない、と想った。

当時小学生だった彼女も今はもう高校3年生。
立派な若者だ。
あの時の感謝を、今、ここ泰阜村で伝えたい、今こそ恩返しだと、彼女はボランティアで掛けつけてくれた。
今年も山賊キャンプには熊本地震で被災したこどもが参加した。
残念ながら彼女と熊本のこどもが同じコースになることはなかった。
それでも時を超えて、被災したこどもが、被災したこどもを含めて次の世代を支えている。
確かに支え合いの縁が豊かに紡がれていく。

これを私は「支縁」と言っている。
あの時、支援を受けた福島のこどもたちが、今、青年になって戻ってきた。
福島のこどもたちの招待キャンプは一区切りついたが、すでに招待した250人の成長を支えるステージに移っている。
彼女は、当時キャンプに参加した泰阜村のこどもと文通していた。
今回、キャンプ場で二人は再会を喜びあった。
彼女たちの縁を豊かに紡ぎ、彼女たちの成長と未来を支えること。
それもまた、泰阜村ができる息の長い身の丈の支援である。
支え合いの縁をつなぐ=まさに「支縁」なのだ。

代表 辻だいち