どうする!?だ祭り|2024長期インターン(のいびー)

 秋の大イベント「だいだらぼっち祭り」が11月に開催されました!
あおのブログでも先日紹介されていますが、今回はのいびー視点で書いています。
半年以上をともに暮らしてきた仲間たちと、ぶつかり合うことをためらわずに乗り越えてきた二ヶ月の準備期間。忙しなく、でも今後の暮らしを支える確かな期間だったと感じます。

1.土壇場のだいだらぼっち劇場

 だいだらぼっち祭りの大目玉、「だいだらぼっち劇場」では、こどもたちが台本や役作りなどゼロから準備してきた劇を、来訪者や村の方に今までの感謝を込めて披露します。
自分の役のキャラクターも馴染み始め、劇練習がノリにノリ始めたそんなときでした。劇を一度通して見てみると、「あれ?客席置いてきぼりじゃない?」「台本が物足りないのでは?」

祭り2週間前にして、気づいてしまいました。
あおのブログにも書いてあるとおりですが、最終の台本完成から、最後の一週間でなんと劇練習を詰めたのです。

今年の演目は宇宙と地球を旅する小学生の物語、「どうする!?カイカ星」。
しかし、実際は直前まで「どうする!?だ祭り」でした…。

 そんな中、私の劇での役割は音響に決まりました。みんなの動きに合わせて効果音を流したり、劇中・幕間の雰囲気に合わせて音楽を流します。

相棒となった音響担当のだいだらっこと一緒に、ピッタリ合う効果音を何度も聞いては変更し、休みの日も物語に合う音楽を探し続けました。しかし、役に入りきった子のタイミングに音が合わなくてすねさせてしまうことも。さらに夜での開催となるので、幕間は真っ暗です。配置に全員つけているかどうか全く見えない中で、音や空気感を頼りに目を細めてどうにか見えないかと見計らい、音楽を流しました。劇リハでは、2人とも緊張で手が震えて苦笑したり、休憩時間に山に向かって一緒に「責任が重~い!」と叫んだりもしました。

私の立ち位置もすっかり劇を作る一人になって、のめり込んでいる自分がいました。どうすれば劇を楽しんでもらえるのか、役の動きと同じように音楽一つをとっても印象が変わります。また、音響の席だからこそ見える離れた席から、客席にはどう映るのか、動きや声がどう伝わっているのかも一人一人に声をかけていました。今までは、子どもたちと「一緒に」楽しんでいた自分が、自分のやりたいこと・やるべきことに夢中になっていつの間にか共に作り上げていた劇だったように感じました。

そうして始まった本番。
音響の席から、間違えないようにという緊張と、セリフを飛ばさないかというヒヤヒヤとで頭の中はぐるぐる。楽しんで劇を見るなんて余裕はありませんでした。

そんな心配を他所に、なんといつも以上の力を発揮する役者たちに本当に驚かされました。観客の笑い声だったり、張り詰めた雰囲気だったりを飲み込んで、観客と息を合わせるかのようにどんどんと盛り上がっていきます。台詞をミスして誰かが自然とカバーしたときには、音響の相棒と目を合わせて泣きそうになりました。今まで練習してきた時間や苦労を詰め込んで、思いっきり発揮したそんな劇だったように感じます。

大きな拍手と「おもしろかった!」の声に包まれて終わっただいだらぼっち劇場。だいだらっこの土壇場の強さと、それを作ってきた今までの仲間との暮らしや、自分たちで準備してきたからこその自信の根強さを感じました。

2.こだわり屋台のやすおか茶

 お茶だけで一週間旅行するほどお茶が大好きな私は、一学期からこどもたちと野草を使ったお茶づくりをしてきました。その数10種類!桑の葉や柿の葉、ハーブなどのメジャーなものもあれば、藤の花や山椒、ヒノキの実などちょっとしたチャレンジ茶も作っていました。

その時にずっとカフェをやってみたいね、と話していたこともあり、祭りの屋台で念願のお茶を出店できることになりました。
今まで作ってきたお茶の中から厳選して、飲み比べながらブレンド茶を作り、お茶が合うようにとシンプルな茶菓子も作りました。
お茶の味や効能も飲む人に伝えたいという思いから、説明書きを書いたり、クッキーの試作をして冷凍が保存も可能にし食べやすくなることも発見したり。劇練習で時間や余裕もなく焦ってはいましたが、こだわりは忘れず、まずは自分たちが楽しむことを大事にしました。

(何冊も本を開いて野草の効能や特徴を調べています。)

当日は雨予報が直前に変わり、ぽかぽかしたきれいな秋晴れ。
できたてのお茶を提供すると、「茶葉購入したいぐらい美味しい!」「おかわり欲しい!」「クッキーと最高に合うね!」と予想以上の笑顔をもらいました。

(その場でつくる出来立てやすおか茶)

私がここで暮らしてきて一番大好きな瞬間は、満足げな顔を見合わせるときです。言葉もなく、特になにかハイタッチをするわけでもないのですが、共に試行錯誤して作り上げてきた労力や、悩みながら話し合ってきた関係が、その瞬間の思いを共有できる土台を作っていると感じます。「やったね!」と実感したとき、一番見たいものが共に歩いてきた仲間の笑顔なんだろうなと思いました。
自分たちで時間をかけて作ったものが喜んでもらえる嬉しさと、身近なもので美味しいが作れる豊かさを実感しながら、お茶隊でニンマリと顔を見合わせました。

3.食事係再び

 ゴールデンウィーク合宿で揉めに揉めながら達成した食事係が思い出深く、また、祭りでも食事係に手を挙げた私は、メンバーも日程も新しく変わり、また違った雰囲気を楽しもうと心弾んでいました。
しかし今度はスムーズに行くのでは、と少し安堵していたのもつかの間。初めの段階、目標決めでつまづきました。

ある1人が、「目標をそもそも決める意味が分からない、食事係なら美味しいご飯を作るってだけでしょ。目標と目的の違いって何?」と、流れ作業のようにあたりまえになっていたことに疑問を持ったことがきっかけでした。

時間もない中、普通なら見逃されてしまう、流されて消えてしまう意見。

でも全員が納得しなければ食事係は始まりません。
それぞれの言葉で思い思いの考えを伝え合いました。それでも納得がいかなかったため、辞書を引いて意味を調べることにしました。そしたら、小学校の辞書は『目標=目的』だと記されているではありませんか!係全員でうなりながら、困惑したり、問い直したり。

ようやくみんなの意見が同じ方向を向いた頃には、消灯の時間になっていました。なんと目標を決めるかどうかで2時間も話し合っていたようでした。

目標を決めると決まってからも、それぞれの意見がぶつかり合い、なかなか上手くは行きません。その度に、紙にそれぞれ書いて意見を出し合ったり、その紙をくっつけたりしながら、目標を作り上げました。

そうして完成した目標は、「小話の種ご飯をつくろう」!
食事に目を向けて楽しんで欲しいということ、そこから交流や会話が生まれたらいいなという願いが込められています。

小話の種ご飯は、各食事に小話のテーマを設け、そのテーマに沿ってメニューが作られています。例えば、『劇』であれば星型の人参が入った星シチュー。『食欲の秋』であれば栗ご飯やさつまいもの豚汁と、バラエティ豊かです。特に『だいだら朝ごはん』の生姜焼きと大学イモは人気でした。(だいだらの朝ごはんでよく作っているメニューなんです。)

時間も労力もたくさん使いましたが、食事係のスタートを切る大事な時間だったと、祭りが終わってみんなで笑いながら話しました。それでも比較的調理や準備・片付けになると協力して取り組む姿は、きっと何度も話し合って、相手のことを分かりあってきたこその結果だと思います。

 次第に私もこどもたちも、自分を隠さずに、臆せずに話し合えるようになってきた二学期。そして、暮らしに慣れてきた分、こだわりや自分の思いも強くなってきた時期でもあります。そのため、予想のつかないハプニングやぶつかり合いも避けられません。でも、祭りの一つ一つの場面でただ「こなす」というより、意味を持って「チャレンジ」することができました。段取りの必要性も、話し合いの方法も、試行錯誤の意味もわかるからこそ、それぞれの目指す成功という結果のために、一緒に足並みを揃えるというより、同じ方向を向いて本気で歩けたのではないかと思います。