泰阜村で教育イベント目白押し!★第2弾★話題のドキュメンタリー映画上映会&だいだら卒業生講演会?!

こんにちは、ぱるです!
今回は、前回ご紹介した泰阜村で行われた子育て・教育イベント第1弾に続いて、12月に開催されたドキュメンタリー映画『夢みる小学校』の上映会と、併せて行われた講演会についてご紹介します。(11月に行われた尾木ママ講演会についてはコチラ

 

『夢みる小学校』という映画をご存じですか?
この映画は、私立の学校法人「きのくに子どもの村学園」の学校生活や授業の取り組みを一年間にわたり追ったもので、こどもたちがわくわくして通える「こどもファースト」な教育の在り方について考えさせられるドキュメンタリー。2021年の公開以来、全国各地で自主上映会が開催されている話題の映画です。

 

そもそもなぜ『夢みる小学校』の上映会を泰阜村で開催することになったのか?
泰阜村の教育委員会 子育て支援係の方が、このドキュメンタリー映画の上映会を村で開催できたら、地域の人たちがみんなで一緒に地域の教育の在り方について考える機会になるのでは…との想いから、村長さんに「こんな映画があるんですよ!村でもやりませんか」とお話したところ、村長さんが「興味深い映画だね。ぜひやりましょう」ということで、開催することになったとのこと!

 

子育て支援係の方から、「『夢みる小学校』、村で上映会することになりましたよ!」と聞いて、「それならば、だいだらぼっち卒業生で泰阜小中学校にも通っていた方が、今実は南アルプスこどもの村小学校の先生をしていて、しかもこの映画にもかなり出ているんです。その方を講師に呼んでお話してもらったらどうでしょう??」とすかさず提案しました。

教育委員会の方も「それはいいですね!」ということで、上映会のみの企画だったところを話を通してくださり、無事呼べることに!

そして、できるだけ多くの子育て世代や教育に関わる方たちに見てもらうにはどうしたらいいか?と打ち合わせを行い、親子で映画を見たり講師の話を聞いたりできるよう、別室も用意しようということになりました。

 

そして迎えた当日。
上映会会場には多くの保護者はもちろん、こどもに関わる活動をされている方や、こどもたちの姿もありました。(だいだらぼっちのこどもたちにも、ぜひぜひ見たら面白いと思うから、月歴で予定に入れておくといいよ!と前もって伝えていたので、興味ある子たちが何人か足を運んでくれました!)

上映会の内容は…ぜひ見ていただきたいので詳しくは割愛しますが、

 

  • やりたいことから学びを深めていく「プロジェクト」が学習の中心で、木工や料理など各プロジェクトの活動の中で基礎的な学習についても派生して学んでいること。
    そしてプロジェクトを進めるのは基本的にこどもたちなので、大人(”先生”とは呼ばずニックネームで呼んでいる)はできる限りサポーターの役割に徹していること。

 

  • 大人とこどもも等しく一票という対等な関係を大切にしていて、何かを決めるにしても大人が一方的に決めることはなく、みんなで話し合って意見をまとめていくこと。

 

  • 自由な公立学校もある!60年間成績通知表や時間割りがない「体験型総合学習」を続ける長野県の伊那小学校や、校則、定期テストをやめた世田谷区立桜丘中学校の例も紹介。

 

グリーンウッド、だいだらぼっちで大切にしていることと通じることばかり!
だいだらぼっちで↑こんなことを大切にしながら暮らしていた子が今、私たちスタッフと同じく”大人”としてこどもたちの「やりたい」を支えているんだな~とじんわり嬉しくなったり、
また私たちはここまで、こどもたちの「やりたい!」というワクワクした気持ちに寄り添えているだろうか?と自問しながら見入っていました。

 

そして映画が終わり、お待ちかねの講演会!
講師は、きのくに子どもの村学園 南アルプス子どもの村小学校の”先生”の丸中大知さん。学校では「まるちゃん」と呼ばれているとのこと。だいだらでも「まる」と呼ばれていました。(まるへの「卒業生インタビュー」ブログもぜひ併せてご覧くださいね!)

講演会では、はじめはこちらがなんだかドキドキしてしまいましたが(笑)、始まってすぐのまるの落ち着いた話しぶりと、一方でちょっぴり恥ずかしそうに「目の前にだいだらぼっちでとてもお世話になった方がいるので、ちょっと緊張してます」と話す様子に、会場全体が和やかな雰囲気になりました。

そして講演会の内容は… 短い時間ながら皆さんが聞きたそうなポイントを絞って、わかりやすくこんなお話をしてくれました。


  • こども中心の場なので、大人はできるだけ影をなくすようにしています。大人は合理的な方法をしっていますが、それを大人が先に言ってしまうとこどもたちの考える余地がなくなるので。
    大人が言わなければ、こどもたちはなんとかしようと動き出します。それを見て、周りのこどもたちもまた真似をしていきます。
    でも、これが難しい。大人が何も言わないのもまた違います。大人も一票を持っている。意見は出しますが、ただ大人の意見に引っ張られないように意識して、意見を出すようにしています。

  • こども主体ですべてこども任せかというと、そうではありません。
    プロジェクトの学びが深まるよう、事前に大人が綿密な相談や計画をしているんです。引き出しをたくさん用意しておいて都度狙って出していきますが、ハマるときもハマらないときもあります(笑)
    大人の思う通りにいかないこともしばしば。それはそれで、失敗してもいいというスタンスで、こどもが決めたことに向かって進んでいきます。大人が考えた方向に持っていくことはしません。

 

こどもの主体性を尊重するために、周りの大人はどうするのか?
グリーンウッドでも、これはどの事業においても土台にある姿勢です。
自分で考えて、やってみる。失敗することもある。それでいい。またチャレンジする。
その繰り返しが学びになっていくからです。


こんな話を卒業生から聞けるとは、カンゲキです!!



そして、中でもとても印象に残ったお話。


 

  • 「自由には責任が伴う」とよく言いますが、私たちは「大人が最後は責任をとるから、こどもたちには自由にさせるのがいい」というスタンスを大事にしています。

 


だいだらぼっちでは、むしろ「自由には責任が伴う」ということをしっかり伝えています。実際のところ、ややもすると自由と勝手をはき違えて、周りに苦しい思いをさせてしまうような”自由”をふりかざしてしまうこともままあるからです。
では、どこまで”自由”を放任しているのでしょう??

まるに真意を聞いたところ、こどもの前で「大人が最後は責任とるから、自由にしていいよ」というわけではないが、教育の現場で「自由には責任が伴う」の論理が前に出すぎると、結局のところ大人の論理で縛ってしまうことになりかねないから、そのようなスタンスを大事にしているとのこと。
実際、だいだらぼっちは暮らしの場なので、自由ばかりが強調されると暮らしが成り立たないから、それはそれで大事なことだと思います、と体験者の彼が話してくれました。



なるほど、と納得。
学校という教育現場では、あえてそのくらい「自由でいいんだよ」というメッセージを強く出さないと、そしてそのくらい大人側が意識しないと、やはり大人の論理で物事が動いていくということの表れなのかもしれません。そして結局「楽しい」から始まるはずの学びが、楽しくなくなってしまうのだろうな、と自分なりに解釈しました。

確かに、思えば自分もどこまでこどもたちの「自由さ」を見守り、いい意味で放任できてるのか?
ついつい彼らの自由さに、大人の常識や論理を持ち込んでいなかったか?
改めて考えさせられました。

 

そして、まるの講演会での最後のお話。


 

  • 体験学習が大事で、それにはフィールドが重要。泰阜村は自然が豊かで身近にこんなに素晴らしいフィールドがあって、教育の場としてとてもよい!本当に羨ましい環境です!!

 


こどもたちに体験をさせたくても近くにフィールドがない学校もたくさんあるわけで、確かにここはあふれている(というかそれしかない(笑))!!

最後に”やすおか、いいね!”というメッセージで上手に(?!いえいえ、本心だと思います^^)締めくくってくれて、本当に素晴らしい講演会でした!

 

今回は、上映会を見て、先生の話を聞いて…で終わってはもったいないから、終了後に感想をシェアし合う場を作ろう!ということで、昼食交流会を用意していました。
そこには子育て中のお母さん方から、学校の先生も足を運んでくださっていました!
交流会で講師のまるをはじめ様々な方たちと、学校で、地域が関わって、こどもたちにどんな体験の場ができるだろう??とざっくばらんにお話することができました。

これからの地域の教育について、地域の大人たちで考えられたのもまたよい時間となりました!
こうした場が頻繁に、オープンにつくられることが、地域の教育の土壌を育んでいくのだと思います。

忙しい中今回の依頼を快く引き受けて、素晴らしいお話をしてくれたまる、
上映会から講師とのやりとり、交流会に至るまで細やかな準備をしてくださった教育委員会の方々、
そして会場に足を運んでくださった皆さん、
どうもありがとうございました!

▲泰阜村のコミュニティスクール便りにも上映会の様子が掲載されました!


卒業生の成長、活躍を肌で感じられたのもまた、何よりうれしかったこと。
こどものときの原体験が、確実に根付いている。
そんな原体験を私たちの仕事を通して、たくさんのこどもたちに届けていこう。

そんなことも感じた会となりました。