「やってみたい!」を応援するまち|スタッフ研修:徳島県神山町編

先日スタッフの外部研修として、くみ・ぱる・ゆべし・あおで、徳島県神山町へ行ってきました。

神山町は、一般社団法人神山つなぐ公社(2016年設立)が中心となって地方創生のプロジェクトを進めています。

地域で人を育てる、ひとづくりの部門もあり、グリーンウッドの事業に活かしたり、新たな取り組みへのヒントを得たりすることを目的に行ってきました。

 

研修の様子をお伝えします。

 

まずはじめに訪れたのは、神山つなぐ公社の事務所です。ここでは主に神山町の創生戦略「まちを将来世代につなぐプロジェクト」についての話をお聞きしました。

プロジェクトの話を通して、特に印象的だったのは町の人口減少という課題に真正面から向き合って動いているということです。

もし何もしなければ、このまま町の人は減っていくばかり…廃校や公共交通の廃線などといった未来が訪れるかもしれない。ならば、自分たちが目指したいまちの将来ってなんだろう?と町を担っていく人たちと共に考え、課題を共有しながらこのプロジェクトを進めているということが分かりました。

そうやって町の課題に対して、危機感をもちながら具体的にアクションを起こしているところが、大きなポイントだと思います。泰阜村としても人口減少など他人事ではない現実があるなかで、私たちとしてできることをまずは一つずつ行動に移していきたいと感じました。



夕方からは「あゆハウス」という高校生の寮を見学しました。

数年前、あゆハウスを立ち上げる時に「学生が暮らしをつくる寮にしたい」と、参考のために、だいだらぼっちへ見学と研修に来ていただいた繋がりもあります。

あゆハウス

現在は全国から集まってきた15名の高校生たちが、話し合いを大切にしながら、暮らしをつくっています。

 

私たちは普段は小学生・中学生と暮らしをつくっていますが、あゆハウスは高校生。

放課後にはアルバイトをする子もいたり、毎回の食材の買い出しや発注は自分たちでやっていたりと、高校生だからこその違いを感じました。また、スタッフはハウスマスターと呼ばれていて、寮生たちにどこまで踏み込むのか、任せるのかといった加減もだいだらぼっちの相談員とは違う部分も感じました。

それでも、共に暮らしをつくっていくなかで生まれる関係性や雰囲気はだいだらぼっちと似ていると感じるところもあり、改めて立場も年齢も関係なくいろんな人が混ざり合って暮らしをつくることの面白さや価値を実感しました。



2日目は教育だけでなく、食農をテーマにお話を聞くことも。

NPO法人まちの食農教育の樋口さんから、食農教育についてのお話も聞きました。

神山町も農業の後継者不足、耕作放棄地の増加などが問題になっています。

そこで学校や地域と連携しながら、授業で農業体験を取り入れたり、神山町で採れた野菜を学校給食や町の食堂に使ったりするなど、こどもたちや町民に農業をより身近な存在に感じてもらえるよう取り組んでいるそうです。

 

実際に、町の食堂「かま屋」でランチをいただきました。地産地食を目指し、「産食率」というものでどれだけ地元の野菜を使っているのかを見える化していました。

 

どれも素材のうまみを活かした料理。「おいしい~!」の言葉が止まりませんでした。

だいだらぼっちの暮らしも、食農教育そのもの。

“食”も“農”も暮らしに密接に関わるものだからこそ、私たちは毎日の暮らしに学びがあふれていると感じました。だからこそ、日常が当たり前として過ぎて行ってしまわないように、時にはその学びを言語化してこどもたちのなかに落とし込んでいく必要性も感じました。泰阜村にも神山町と同じような課題がたくさんあるので、こうした経験がこどもたちの将来に活かされていくといいなと思います。



そのあとは、徳島県立城西高校を訪問。

授業の一環としておこなわれている課題研究について3人の高校3年生からお話を聞きました。『地域』×『自分の好きなこと』×『学んだこと』をかけあわせてテーマを決めて、自分なりに探求していくのだそうです。

話を聞く中で、自分の研究について生き生きと話す姿や、お互いが取り組む研究を応援しあう高校生の姿がとても印象的でした。

その理由を聞いてみると「自分が楽しいと思えることをやらせてもらえるから!」とのこと。そこには高校生の「やりたい!」を後押しする大人の存在も重要です。相談員として、私自身もこどもたちの「やりたい!」を応援する存在になれているか?伴走できているか?を問うきっかけになりました。



続いて、まちのリビング「鮎喰川コモン」を見学。

 

地域の小学生が小さなこどもの面倒を見たり、地域のお母さんが小学生とお話しししたり、まさに世代を超えて地域でのつながりが生まれる場所として機能しているというお話を伺いました。建物の設計にもこだわりがあり、こうしてフラッと気軽に立ち寄りたくなるような空間づくりの重要性も感じました。



そして今回の研修では見学だけでなく、グリーンウッドの事業やだいだらぼっちの暮らしのこと、地域とのつながりについてお話しする機会をいただきました。

町の特徴や課題、大切にしていることが似ているからこそ、最後にはたくさんのご質問もいただいて、私たちの学びも深まる時間になりました。

約25名が参加してくださいました!

 

 

 

最終日は、神山つなぐ公社のスタッフと神山町の若者(高校生~大学生)とともに町民の方が手入れしている山に入らせていただき、山について学ぶ研修に参加させていただきました。

研修に参加した若者たちは、「もっと木を切れるようになりたい!」「林業に興味をもった!」などと感想を述べていて、次の担い手が生まれていくような感覚がありました。どの世代にもこうした体験的な学びの場が必要だなと感じます。



その他にも森のようちえん「ねっこぼっこ」やオルタナティブスクール「みっけ」も見学させていただきました。

移住者が増えているからこそ、新しい教育の選択肢も増えています。そして、その教育を求めてまたさらに移住者がやってくるなど、教育を起点に新たな循環が生まれているのがすばらしいです。

 

 

たくさんの出会いと学びがあった濃密な2泊3日の研修でした!

 

研修を通して特に印象的だったのは、「やってみたら?」という誰かのチャレンジを応援する町の雰囲気と文化です。研修のはじめに受けた説明の中にも、「神山町には多様な人が混ざり合い『やってみること』を応援する文化がある」という言葉がありました。また、実際に町の方のお家におじゃましてお話を伺うなかでも、その文化を肌で感じることができたように思います。

2日目の夜には、“まちのお父さん”岩丸さんのお家でごはんをいただきました(徳島といえばすだち!)。お話の中で岩丸さんが言っていた「やってみたらええんちゃう?」の言葉が神山の文化をそのまま表しているなと感じました。

チャレンジを後押しする誰かの一言が、「やってみたい」を「やってみる」に変える大きな一歩につながります。町の方が言っていた「まぁやってみたらええんちゃう?」なんて気軽さもあっていい。そんなふうに誰かの背中を押す応援者が町にたくさんいるからこそ、神山町には新たな担い手が次々と生み出されているのだと感じました。

私も1人の相談員として、もっとこどもたちの「やりたい」を前向きに応援したり、一緒に考えて伴走したりするような関わりを増やしていきたいです!



神山つなぐ公社さんをはじめ、研修を受け入れてくださった皆さま、本当にありがとうございました。

神山つなぐ公社の秋山さんが中心となって今回の研修をコーディネートしてくださいました。本当にありがとうございました!



 

 

おまけ

大鳴門橋を渡り、四国に上陸したときに撮った1枚。やっぱり海が見えたら立ち寄らずにはいられない(^^)