ー2014年に新卒で入社したスタッフいと。10年の節目を経て、これまでの仕事を通して感じたことや、今思うこと。現在の仕事・暮らしぶりについてインタビューしてみました。
―ここに来た経緯を教えてください。
元々教育には全く関心がありませんでした。大学では歴史の勉強をしていて、取れる資格はとっとくか程度の気持ちから教育について勉強し始めたのがきっかけでしたね。
ただ、社会のために何かしなきゃいけないという想いは人一倍強かったと思います。それは、大学時代の森林活動のボランティアや、東南アジア、アフリカなどを旅して世界が抱える貧困をはじめとする社会課題に出会ったことが大きかったからです。大学でも、最も関心が高かったのが社会的マイノリティの勉強でした。LGBTQやハンデを持つ人々、虐待を受けた人や精神病を抱える人などたくさんの当事者と関わる機会に恵まれ、「何かしなきゃ」という想いは深くなっていったと思います。
決め手は2年生の頃に起きた東日本大震災でした。その時、都心部にいたのですが、帰宅難民となり、食料を手に入れようにもスーパーやコンビニから食べ物が全て消えてしまったのです。その時初めて、自身が「購入」以外に食べ物を得る方法を持っていないことに気づきました。都会の足場のもろさを感じた瞬間でしたね。
さらに福島第一原発でメルトダウンがおき、多くの人の暮らしと財産、故郷が奪われました。さっそく大学の仲間や先生たちと気仙沼や福島の浪江町、飯館村などにフィールドワークに行ったのですが、飯館村のおばあちゃんが「先祖代々の田んぼに木が生えてきちゃったけどどうすることもできない」と語ってくれたんです。東北の福島で作られた電力を無自覚に消費していたのは東京に住んでいた私たちでした。あの言葉を聞いたときに、「社会を変えなくてはいけない」と心に決めました。
―多くの社会課題を学んだ大学時代。どんな経緯でグリーンウッドに就職するに至ったのでしょうか?
社会づくりを行うと決めたものの、何からやればいいのかは全くわかっていませんでした。そんな時にタイの山村で行われていたワークショップに参加したんです。そこでは若者の都市部への人口流出が課題となっており、3つの村が合同でこどもたちに村の良さを伝える数日間のキャンプを開催していました。そのキャンプでは「みんなのこども」として大人が力をあわせてこどもたちを育みます。そのキャンプでは、こどもから老人まで色んな人が関わっていて、それぞれが役割を果たしていました。自分は東京の新興住宅街で育ってきたので、”地域”というもの自体が想像つかないものでしたが、その場がとても豊かだということだけは確信できました。家と学校しか居場所がなく、生きにくかった当時の自分のためでもあるのかもしれませんが、
「自分もこんな豊かな場を増やしていきたい」
と思い、地域でこどもを育てる取り組みを探していたところ、グリーンウッドと出会い参画しました。
―地域教育に惹かれて就職に至ったわけですが、これまでどのような仕事をしてきましたか。
仕事は全チームに所属したことがあるので、とにかく色んな仕事をさせてもらいました。その中でも地域教育はどっぷりやらせてもらいましたね。グリーンウッドのホームページには出ていませんが、ここは地域に向けての活動はかなりやっています!保育園との協同事業の「あんじゃねっこ(年長)」に始まり、週末イベント型の「あんじゃね自然学校(小学生)」、村から委託されている放課後児童クラブ「いってきました(小学生)」や学習支援事業(中学校)などなど…その中でも一番力をいれて取り組んだのは「あんじゃね支援学校」という活動です。これは地域の大人たちが集まって、地域のこどもへの教育について考える会議の場です。特に印象に残っているのは支援委員の方々と森作りを行えたことでしょうか。当時こどもの遊び場として使用していたフィールドは薄暗い森だったのですが、その森をこどもたちが遊びやすくするにはどうすればいいかなど考え、たくさんアドバイスをいただきました。
(あんじゃね支援学校で行った森の視察の様子)
間伐も入り、今では明るい森へと再生されましたが、その間伐材の利用なども相談したところ、中学校の図工の教材として活用されることとなったのです。(これまでは木工キットを購入していた)一介のNPOの活動が、学校の活動を変えてしまうんだからすごいことですよね。中学生は授業の一環で、植樹もしてくれました。
こうした活動を通して、自分の仕事で社会が変わるんだと改めて実感しました。グリーンウッドはとにかく1年目から色んな仕事を任せてくれるので、私みたいにやりたいことに溢れている人にはおすすめの職場だと思います!
—「自分の仕事で社会が変わる」実感を持てるのは、この規模のNPOだからかもしれませんね。さて、この10年で2児の母となりライフステージが大きく変わったことと思いますが、子育てをしながら働くのは実際どうですか?
正直、前ほど仕事はできません(笑)。まぁこどもには母は私しかいないので当然ですよね。今は第2子を3カ月目から連れて子連れで仕事をさせてもらっています。
子育てのことだけ言えば、自然がたくさんあって、生き物がいて…これ以上ない環境だと思っています。何より一番大事だと思っていたのは、こどもに色んな居場所があることだと考えていたので、幼いころから色んな人と関わって価値観を広げられるのは重要だと思います。上の子も同様に育ってきましたが、気が付いたら誰かが遊んでくれていたなんてことは当たり前にあります。時に誰かに叱られることもあれば、母に怒られ誰かが慰めてくれることもある。褒められることも。どうしても親が一番側にいるから親の考えに寄ってしまうことはあるけれど、そうじゃない考えにもたくさん触れていく中で「自分の考え」が育まれていくのではないかと思っています。親だけじゃできないことを誰かがやってくれる。みんなが私のこどもを見てくれているから、子育てについても気軽にたくさん相談できます。その安心感に一番自分が救われていますね。
(気づいたら離乳食をあげてくれているスタッフ)
あとは、先ほど言ったように、以前のように現場に出て仕事はあまりできなくなったけど、一方で今の自分にしかできない役割もあると思っています。こどもは確かに色んな人が世話してくれますが、我が子も色んな人を育んでいるのです。妊娠しているときにお腹を触ってもらい「命」を感じてもらうことや、妊娠って何か、どんな状態か、出産の話や赤ちゃんの抱っこの仕方、発達などについて語ることは、自分にしかできない性教育だと思っています。
こどもたちはとても興味津々で、よくお世話もしてくれます。今この時しかできない役割なので、積極的に関わるようにしています。
(放課後児童クラブの小学生もよく一緒に遊んでくれています)
金銭面のことで言えば、今以上に薄給だった頃を乗り越えてこども3人大学に出しているスタッフもいるので、なんとかなるとは思っています!(笑)
実際、村の子育て政策もこの20年でかなり進んだそうです。隣の飯田市でも保育料が月5万のところがあるそうですが、泰阜村はびっくり!月3000円ですよ!医療費も長野県はこどもは1回300円だし、今は戸建ての村営住宅に住んでいますがこども一人につき割引があるので、月2万円以下です…!はっきり言って相当貯金はできています。(詳しくは泰阜村のホームページをご覧ください、まだまだ出産お祝い金制度など色んな取り組みがあります)
—子連れ出勤の豊かさや金銭面のことまで…包み隠さずありがとうございます!(笑)さて、それでは最後にエントリーを考えている人へ、一言お願いします。
教育を通して地域づくりや社会づくりを行いたい人には、かなりおすすめの仕事です。特に自分で色んな事にチャレンジしたい人にはうってつけの職場です!私は1年目に右も左もわからない状態で「森のようちえん」の担当になったんですが、他のスタッフと事業のコンセプトなどを再考し新たな事業「森のようちえん まめぼっち」として作り上げた経験が今でも大きいと感じています。新卒の1年目にいきなり事業の担当任せますか?!(笑)普通失敗したときが怖くて任せられないと思いますよ。もちろんサポートはありましたけど、こどもと一緒にスタッフも全力でチャレンジして、時に失敗し、存分に成長できるところがこの職場の素晴らしいところだと思います。
理念に共感したココロザシある仲間にぜひ来てほしいですね!
—インタビューありがとうございました!
以上、いとへのインタビューでした。
現在グリーンウッドでは、2024年度新規採用職員、長期インターンシップ(1年間)生を募集しています。
エントリーを悩んでいる方は、まずはオンライン説明会へ!
お待ちしております。
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【新規職員採用オンライン説明会】
- 2024年1月17日(水)14:00-15:00
- 出演スタッフ:あお、くみ
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【長期インターンシップ(1年間)オンライン説明会】
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2023年12月18日 (月) 18時~19時
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2024年 1月17日 (水) 15時~16時
- 出演スタッフ:くみ
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その他短期インターンシップ募集中!
地域での子育てに関心を持ち、2014年に新卒でグリーンウッドに就職。大学時代、間伐ボランティアをやっていたことから、現在は泰阜村の森林を生かした活動に関心がある。また妊娠・出産を経て、子育てに奮闘中。2児の母。