コロナの渦中。自然学校は何をしてる?|だいちゃん編

全国からこどもを集めてキャンプを実施することが難しくなったコロナの中、私たちグリーンウッドのスタッフは何を想い、何にチャレンジしているのかをお伝えするインタビュー企画第2弾。今回はだいちゃんにインタビューします。

Q1. コロナウイルスで山賊キャンプが中止となりました。その時の気持ちを教えてください。

一言で言えば愕然としました。学生時代から山賊キャンプのボランティアに関わり、キャンプをするためにグリーンウッドに就職したので、山賊キャンプがない夏は考えられませんでした。
一方で実感がないところもあって。中止は決まっているけど、まだ頭のどこかで夏はキャンプをしているだろうと思っていました。それがキャンプに向けての会議も、準備もない中で少しずつ実感したというのが本音です。

Q2. その他にもコロナウイルスの影響があったと思います。周りはどんな様子でしたか?

3月の最初の土曜日に、あんじゃね学校という村のこども向けの活動を行う予定でした。1年間の集大成ということもあって、新1年生や、地域の方や保護者も含めて40人くらい申込みがありました。めちゃくちゃ気合いが入っていたのですが、開催2日前に全国一斉休校のニュースが入り、翌週の火曜日から泰阜村の小学校も休校が決定しました。
周辺で感染者もいない中でしたが、学校が休校となる状況も踏まえて、あんじゃね学校も中止となり、とても悔しい想いをしました。むしろこれからこどもが自由に遊ぶことができないなら、今こそ遊ばせてやりたいという想いもありました。

その後、休校が続く中で少しでものびのびとこどもたちを遊ばせてやりたい、そういった役割を担うのが私たちグリーンウッドだろう、村内限定であればやれるだろうと森遊び企画を4月に行うことを決定しました。しかし、今度は参加される方たちの不安も高まり、参加者が集まらない状況が続きました。

Q3. 山賊キャンプ中止もあって、村のこども向けの活動を増やしました。

休校期間中や時差登校の際は臨時の学童をグリーンウッドで行っていました。ただこどもたちにとっては日常が取り戻せないことでストレスを抱えている様子も見られました。
夏の山賊キャンプが中止となり、わたしたちの時間が空いたこと、村のこどもたちも夏休みに旅行など行けない状況を考えて何かやりたいとずっと考えていました。ふと思ったのは山賊キャンプのこどもたちは泰阜村にわざわざ遊びに来ているわけで、むしろ村の中に楽しめる場所はたくさんあるじゃないかと。
7月と8月の間に、1泊2日と2泊3日のキャンプを1本ずつと、万古川、天竜川、栃中川への川遊びの計5本の企画を行うことにしました。

まず川遊びですが、あんじゃね学校の企画で3回川に行きました。これだけ川に繰り返し行っていると、こどもたちが「あそこは危ない」とか「ここでなら飛び込めそう」とか、自分で発見し始めるんですね。前回のバズのブログにも書いてある通り、夏の学童でも左京川に行っているので、この夏だけで多い子は13日以上川で遊んでるわけです。そうすると違う川に行っても、少しずつ危険か安全かを判断できるようになってくるんだなと思いました。

2回行ったキャンプは山賊キャンプと同じ方法で実施しました。その中で普段だと落ち着きがないような子が下のこどもたちの面倒を見ている様子が見られたのが驚きでした。はじめは早くご飯を食べたい、早く川遊びに行きたい、という自分の気持ちが先行して、薪集めも自分が使う分だけ運んでいたりしたのが、過ごすうちに箱いっぱいに詰めた薪を、「僕は一人で運ぶから、1年生は2人で運んで」と話していたり。「作らなければご飯がない」というような必然に向き合う中で仲間意識が芽生えたり、自分の役割を見つけて、それが認められるという経験が本人の気持ちを変化させたように思います。

いつもの山賊キャンプだと、参加したこどもたちのキャンプ後の日常の姿を見ることはできません。それが村のこどもなので、その後の様子の姿が見られるんですね。高学年のこどもが1年生にやさしく声をかけたり、ぶつかっているこどもたちの間に入って気持ちを代弁してあげたりする姿を見て、キャンプや川遊びを通してこどもたち同士の関係性も変わってきていることを発見できました。「キャンプ後の姿」を見られたことが私にとっても、これからの活動に向けて大きな意味を与えてくれているように感じています。

Q4. これからどんなことに取り組んでいきますか?

キャンプや川遊びだと、こどもたちはあまりケンカなどを起こさなかったんです。普段の暮らしの中に、やはり発散する場が少ないのかなと感じます。これまであんじゃね学校の企画は、村の文化や人と触れ合う、発見することをメインに、様々な地域探検などしてきました。それはそれで非常に意味があるし楽しい企画なんですが、コロナや今のこどもたちを取り巻く環境を見ていると、「全力で遊べる場」というものが必要なんだと強く感じています。まずはそういった場を村の中に創っていくことをしていきたいです。
一方でこの夏にたくさんのこどもがあんじゃね学校に参加してくれたのですが、小学生の中には1回も来たことがないなんて言う子も当然います。この夏は私たちの強みを生かした企画に多くのこどもが「参加したい」と反応してくれました。そんなシンプルに楽しい企画を考えて、とにかくたくさんのこどもたちに参加してもらうことを考えていきたいと思っています。

Q5. このグリーンウッドの窮状にたくさんの寄付をいただきました。寄付していただいたみなさんに一言。

本当にたくさんの応援をいただき、ありがとうございます。
いただいた応援は、まず足元の村のこどもたちへの活動で成果を出していきたいと思います。これからもよろしくお願いいたします!

全国の自然学校と協働して行っているクラウドファンディング
「自然学校エイド」は10/16まで。
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