2021教師指導者育成プロジェクト~モアイ 4月の研修報告

NPOグリーンウッドでは、次世代を担う教師を育てる「教師・指導者育成プロジェクト」を実施しています。育成プロジェクトでは山村留学だいだらぼっちや信州こども山賊キャンプなどグリーンウッドの様々な事業に関わり、こどもたちと生活を共にし、実体験を積む中で人間としての土台を拡げることを目的にしています。今年度参加者のモアイ(森 大樹さん)の4月のプロジェクト研修報告です。

育成プロジェクト(以下育プロ)に参加した経緯

 3年前、大学院1年生のときに、グリーウッド元職員の環境教育に関する授業を受けたことと、そこに新さんがゲスト講師として来てくれたことがきっかけで、1週間インターンシップ(以下インターン)に参加しました。そのインターンで、自分たちで地元の森から材をとり、お風呂の薪やものづくりに使う自然と密接した生活や、だいだらぼっちのこどもたちの自主性を肌で感じ、もっとここで学びたいと思いました。昨年度、学校現場で働く中でも、その思いは変わらなかったため、育プロに参加することを決めました。

年間目標と今月の目標

年間目標は、育成プロジェクト(以下育プロ)の3つの役割(地域幼児教育チーム相談員・暮らしの学校だいだらぼっち相談員・山賊キャンプの相談員)を果たすことと、自然科学に関する実体験を積むことです。そして、この年間目標を達成するために立てた4月の目標は「ものづくり教室に欠かさず参加し、自然とものづくりに関する導入の話を聞く」です。ものづくり教室とは、だいだらぼっちのこどもたちが週二回ものづくりの先生である草來舎のお二方に教わりながら、自分たちが使う食器やお箸などをつくる時間のことです。

この目標を立てた理由は中学理科第二分野の授業経験からです。例えば、珪藻の説明をするときに雑談で湖で珪藻が死がいとなり積み重なって長い年月が経つと珪藻土になる。これは珪藻の構造上多孔質だから水をよく吸うという性質があるので、バスマッド等に使われるなどの話をしていました。これらの現在もっている知識に付け加えて、ものづくりなど自ら経験したことを授業で取り扱うことができたら、生徒にとって興味深い授業をつくることができると考えたからです(図1)。そのため、教室の時間を大切にしたいと思いました。

今月の目標「ものづくり教室に最初から参加する」を実行してみて

まず、この目標を実行するには、ものづくり教室が日によっては地域幼児教育チームの仕事である放課後預かり学童事業の「いってきました」(以下「学童」)と時間が重なってしまうため、周りのスタッフの協力が必要でした。なので、この目標が、自分勝手なものにならずに、周りの人に応援してもらえるよう、地域幼児教育チームの仕事に真摯に取り組むということを意識しました。

地域幼児教育チームでの私の役割は、「学童」や村の地域体験活動の「あんじゃね学校」(以下「村の地域体験活動」)で安全管理を行いながらこどもと関わること。そして、それら事業に関する事務(報告資料や予定表の作成など)です。「学童」ではこどもたちがスタッフと散歩へ行くときに見つけた竹などの材から木工をしたり、わらびやタケノコをとっておやつとして食べるなど、3年前のインターンシップ(以下インターン)の時と比較し、より自然に関わる遊びが増えたと感じました。また、「村の地域体験活動」では雨の中、森へ散歩に行き植林した木の成長の様子や、春の雨の森を観察しました。これらの経験からどちらの事業も、グリーンウッドのスタッフが積み重ねてきた経験が地域のこどもたちに還元されていると感じました。特に「村の地域体験活動」に関しては、経験豊富なスタッフがいたからこそ危険を伴う可能性がある“雨”の森で安全に遊べました。短い時間ではありましたが、安全を確保した上で散歩を通して肌で感じ取るという貴重な体験ができたと思います。そして、このようなグリーンウッドの教育活動が地域からの信頼に繋がっているということを、村からの委託事業の話や、役場・地域住民への挨拶、道路愛護(地域住民で行う道路掃除)での村民との関わりを通して実感しました。

また、4月目標に掲げた肝心のものづくり教室ですがコロナの関係などもあり、まだ数回しか行われていません。この目標に関しては年間を通して継続したい目標なので、ものづくり教室で学んだことに関しては4月以降のふりかえりに記載します。

<4月研修担当おらふのふりかえり>

モアイは常に1年先を見据えて今を過ごしていると思いました。ものづくり教室で聞ける話や薪作業での実体験を“教育現場で活かすには?”と考えているモアイの姿から、ここでの体験をこれから出会う生徒たちに還元することを意識していると感じます。例えば、モアイが薪作業中に見つけた年輪の幅の違いを写真に記録し、ノートにまとめていたことです。教師に限らず何か相手に伝えるときには、“自らの経験”が大きなキーポイントとなります。モアイの「はっ!」とした感情は、その場を共有できていない相手にもきっと届くことでしょう。なので、これからも五感をフルに使い泰阜村での暮らしを楽しんでほしいです。