一年間、こどもと向き合う挑戦!育成プロジェクト かなぽん学びのコラム② ~5月

NPOグリーンウッドでは、次世代を担う教師を育てる「教師・指導者育成プロジェクト」を実施しています。育成プロジェクトでは山村留学だいだらぼっちや信州こども山賊キャンプなどグリーンウッドの様々な事業に関わり、こどもたちと生活を共にし、実体験を積む中で人間としての土台を拡げることを目的にしています。今年度参加者のかなぽん(岩橋香奈さん)の5月のふりかえり。総務チームのぱる(齋藤晴子)が話を聞きました。

ー5月はどんな1か月でしたか?

5月は4月に感じた、「もっとこうすればよかった」を少しでも減らせるようにしようと意識して過ごしました。思ったことを伝えることは、本当にいいのかなと二の足を踏むことも多々ありました。それでも、自分がこうした方がいいなと思ったことは、素直に行動に移すように心がけました。そうすることで自分の考えや感情を言葉で表す機会が増え、言葉にすることで自分でもよくわかっていなかった部分に気が付くこともありました。

こどもたちは、暮らしに慣れてきたところで人間関係の悩みなども出て来ていました。その中で、こどもが悩んでいることが、些細なすれ違いが原因だったり、私から見ると悩まなくてもいいのではないかと思うようなその子の思い込みだったりという場面もありました。こどもたちにとって学校やだいだらぼっちでの人間関係は生活の大きな部分を占めていて、その中で安心できる立ち位置を探すというのは、精神的な安定につながっているのだなと感じました。「友達と仲間は違う」と言っているこどもがいて、まさにその通りだなと思う反面、そう考えられるようになるまでは、自分はどこにいたらいいのかなと、どこかへの所属を求めて悩んでしまうのかなと思いました。どのようなきっかけで考え方が変わっていくのかを見ていきたいです。

ーこどもたちとの活動で気づいたことはありますか?

生まれて初めて田植えをしました。こどもたちと一緒にやった時は、水が濁っていて深く、真っ直ぐに植えることが難しい状態でした。何よりも驚いたのは、土に足をとられる感覚です。土があんなに柔らかく、まとわりついてくるような質感を体験したのは、初めてのことでした。長靴を履いて作業したのですが、足を持ち上げようとすると、長靴が田んぼにはまり、何度も足だけが抜けてしまいました。まず、踵を持ち上げて、ゆっくりと力を加えながら足全体を持ち上げていくと抜けると教えてもらい、試してみると、確かにうまく足を抜くことができました。田植えと聞いてイメージしていたことと、実際にやってみるのとでは大きく違いました。腰が痛くなるかな、暑くて大変なのかなと思っていましたが、本当に大変なのは、足が上手く動かないこと、みんなで息を揃えることでした。横一列になると、自分の近くの人の様子はよくわかるけれど、少し離れている人は死角になり、ほとんど見えませんでした。一番端にいる人は、離れている分、かえってよく見ることができ、その様子が集団生活に似ているなと思いました。自分の一番近くにいる人のことは、よく見え、離れている人のことは客観的に見ることができるけれど、近くも遠くもない人のことは分かったつもりでも分かっていないことや、見ているつもりでも見えていないことがあるのではないかなと思います。

その後、大人が管理する田んぼの田植えもしました。手で植えるのではなく、手押しの田植え機で植えていく作業でした。手で植える大変さを感じてからだったので、大変な作業を効率化するためにいろいろな工夫が重ねられていることを実感できました。ただ押すだけでなく、列が等間隔になるようにすること、一定のスピードで進むことなど、気をつけることがたくさんあり、実際にやってみるとその難しさが分かりました。農家では田植えは一人前になるまでなかなか任せてもらえないという話を聞いて、この作業にはこの先1年間の暮らしがかかっているという重みを感じました。この日は裸足で田んぼに入りました。長靴で入った時は動きにくいとばかり思っていたけど、裸足で入ると、土がふかふかしていることや、水面にいるアメンボなどに目が向きました。何事も自分の身体で感じると、頭で分かる以上のことを得られるなと実感しました。

4月、5月と過ごしてみて、目の前にあることや与えられることに取り組んだり、初めてのことに挑戦してみたりすることが多かったなと感じます。その中で、暮らしをもっとよくするために自分には何ができるのだろうと考えることもありました、6月は、自分にできることや、自分の視点から思っていること、こうしたらもっとよくなるのではないかということを発信できたらいいなと思います。

ー5月ふりかえり担当 ぱるから

新しい環境になって少したった頃の5月は、人は不安定になりやすいものです。それはこどもはもちろん、大人も同じ。かなぽんも全く異なる暮らしが始まって間もなく、色々悩んだりしたこともあったかと思います。それでも、4月のふりかえりを踏まえてこうした方がいい、という自分の想いをしっかり相手に伝えたり、悩んでいる目の前のこどもの様子を冷静に分析したりするなど、この2か月でかなぽんなりの視点と姿勢が養われたのではないかと思います。

こどもと向き合うとき、こどもの「今」の気持ちに寄り添うことはとても大切です。しかし一方で、今目の前の現象だけにとらわれない視点もとても重要。泣いたり、悩んだり、暴れたりとわかりやすいメッセージを発信しているこどもに周囲は目を向けがちですが、見えていないところに問題の本質があったり、メッセージを発していないこどもが問題をかかえていたりするものです。全体を俯瞰的に見て、対応していくことの大切さに気付き、言葉にできているかなぽん。しかも、自然とのふれあいからもこの大切な視点を発見していて、実感から湧き出た納得の気づきなのだろうと思います。日々めまぐるしく起こる色々な事に、どう考え、どう行動していくのか?日々学びですね!応援してます、かなぽん!