だいだらぼっちの卒業生にインタビュー (2000-2002年度参加) どら

その時そこにある限られたものを使って新しいものを生み出す喜びを感じられるのは、だいだらぼっちでの経験があったからだと思う

だいだらぼっちの卒業生にインタビューするこの企画、今回はだいだらぼっち15期生のどらです。

どらはだいだらぼっち十五年目から十七年目(2000~2002年度)に、中学1年生から3年生の三年間をだいだらぼっちで過ごしました。いつも元気で何でも楽しむ元気な女の子のイメージが強いですが、実はとっても繊細な心の持ち主でもあります。ユーモアたっぷりでセンスがいいということも印象が強いかな。ショートカットで見た目はボーイッシュだったけど、中身はめっちゃ乙女な中学生でした。それではインタビュースタート!


  
ーどらちゃん、お久しぶりです。お元気でしたか?
早速ですが自己紹介をお願いします!

 

2000年〜2002年の中学三年間で参加したどらです!今は東京で化粧品の会社に勤めつつ、武蔵野美術大学の通信過程に通っています。John(父)と絹代(母)も元気です。兄たちも近くに住んでいて、穣二は江戸川区で「かんぱい家」という大衆居酒屋を経営しています。江戸川区にお越しの方はぜひ!
実は結婚を考えている人がいて、現在同棲お試し中です!

 

ーあら、そうなんですね。それもそうですよね。お年頃ですもんね。
ところで、どらちゃんは今何をしていますか?それはどんなことを想ってしていますか?仕事もですが、その他にも家族の事や趣味のことなど、色々含めて教えてください。

 

大学を卒業してからずっと調達の仕事をしていて、今は化粧品会社の購買部で働いています。取引先の方々に一体感を感じてもらうために、取引先イベントで人と人の心が繋がりあえるようなフォトコンテストを企画したり、時にはシブめな表情で価格交渉したりしています。美大ではいろいろ技法を学ぶ中でステンドグラスに魅力を感じて、ランプやパネル、小物を作っています。2023年は2回展示会に参加して絵本の展示会にはカニが見にきてくれました!!展示最終日だったので、カニに甘えて搬出も手伝ってもらってしまい、カニの手際の良さが懐かしかったのと家族がいてくれるような安心感とで片付けしながら涙腺が緩みました。カニと一緒に、近くでやっていたOGあやの展示会にも行ってきて20年ぶりに再会。とっても素敵な大人になっていて、だいだらぼっちの大人たちは卒業して育っていく私たちをこんな気持ちで見守ってきたのかなぁと、感慨深く感じました。

ーそうなんですよ。みんなが帰ってきてくれると本当にうれしいし、大きくなったなぁ、大人になったなぁってしみじみ思います。カニもきっとうれしかったと思いますよ!あやちゃんも元気そうだったようで何よりです。二人の展示会が同じ時期だったので、カニも「これは行かなくては!」って思ったのだと思いますよ。
今までお仕事で大変だったことや困ったことはありますか?また、それらをどう乗り越えてきましたか?

 

憧れの丸の内のOLになれる!と思って新卒で入社した前の会社での最初の配属先が九州のセメント工場だったの。和式トイレのついた築60年以上の社宅に住み、まさかの安全靴と作業服を身に着けて働く日々!導入研修では雨の中で土嚢を作ったりもしたし、24時間稼働する工場だったので夜勤も経験しました。
現場で長く働く職人気質の方々からは、当時は珍しく東京から来た大卒の女性がやってきたことで、最初は厳しい目で見られたけど、同じ土俵に立って話せるようになるまで現場に通って彼らから学ぶ姿勢を貫いていたら、徐々に受け入れてもらえるようになりました。工場の現場で働くことで、原材料の仕入れや、製造工程、品質管理、出荷などなど全体像の理解ができて、実物を見て現場の人と話すことでしか得られない貴重な情報がたくさんあると勉強になりました。大変ながらも非常に興味深い経験でした!

 

ー自分のしている仕事が、一連の流れの中のどの部分なのか、最初から最後までがわかると自ずと出てくる言葉が変わってきますもんね。見えるものがたくさんあったのはきっと貴重な経験でしたよね。誠意はやっぱりちゃんと通じるんですね。
これまでお仕事をしていてよかったと思うことや、一番の思い出などあれば教えてください。

 

調達の仕事は、欲しいものを手に入れるために商品やサービスを選んだり取引先と条件を交渉したりする仕事で、事務的な作業と思われがちだけど奥が深いです。例えば、ただ決まった商品を買うだけじゃなくて、そもそもどんなサービスや物があれば問題が解決したり改善されたりするのか、他の部署と協力してチームで一緒に考える。そうなると、もっと広い視野でマーケットの傾向やビジネスの仕組みを考えることができて、すごく面白いです。各業界に詳しい取引先から新しいことを学べるし、協力を得るには日々のコミュニケーションも大切で、自分の成長を感じることができる!

 

ー今のお仕事に就くまでに、どらちゃんが体験したことなどきっとたくさんあると思うので教えてください。また、その中で一番の思い出を教えてください。あ、一つじゃなくても大丈夫ですよ。(笑)

 

泰阜中では体育が大の苦手だった私が、高校時代は3年間バスケに熱中!大学では英語サークルで競技ディベートに青春を捧げ、社会人になってからは転勤で福岡と新潟に2〜3年ずつ住んで、旅行したりご当地グルメを楽しんだりしていました。
社会人7年目、会社員生活から一旦離れ、イギリスの大学院に留学。そこでは世界23カ国から集まったクラスメートたちと一緒に一年間、経営学を学びました。誰かのためではなく自分の成長のためだけに学ぶことに没頭できる時間は本当に幸せで、世界各国に会いに行きたい親友もできた!その後、現化粧品会社に転職…という感じ。

 

ー競技ディベート!なんとなくだいだらぼっちで過ごしていた普段のどらちゃんと結びつかないようでいて、言うべき時にはちゃんと言うどらちゃんだったので、納得でもあるサークル活動ですね。聞いてみたい…(笑)。
だいぶ大人の女性になったどらちゃんですが、働いて結構経つ中で、こどものころには気づかなかったことや改めて感じたことなど何かありますか?

 

あるある!!一つ目は『異なるバックグラウンドや考え方を持つ人たちと一緒に働くことの大変さと面白さ』
外資企業に転職したからかもしれないけど、所属するコミュニティーによって関わる人の幅がかなり変わる。今の会社は、前の会社より社員の国籍や人種が幅広くて、中途入社も多いので経験してきたことも人によって様々。チャレンジすることや個人の情熱をとても大事にする文化があって、私の憧れの上司はオーケストラでバイオリンを演奏しているんだけど、人生を楽しんでいる人が多い。

次に『良い影響を与えてもらったらお礼をすると良いことが起きることが多い』ということ。だいだらぼっちにいた時、「御社の煎餅が美味しい」と煎餅メーカーに手紙を書いたら、お返事と共に大量のお菓子が送られてきたことがあった。社会人になってからも、有名な執筆者の方にダメもとで本から刺激をもらったお礼をメールしたら、まさかの謙虚な返信をくださったことがあった。想いを伝えると、通じることってあるんだな。と改めて思います。

 

ーだいだらぼっちもバックグラウンドの異なるこどもたちの集まりだから大変なんですけど、当時はきっとそれを面白がるまでは至らなかったのかもしれませんね。結果としては面白いんですけど。
ところで、どらちゃんがいたころのだいだらぼっちはどんな感じでしたか?

 

思い出してみるね。え~っと…
・コロ、タロ、シロ(いずれも犬)、ちょぼ(猫)がいた。
・母家がまだ古かった。
・夏、大広間で鶏を絞めるか否かの話し合い中に、各自蚊を捕まえて、胡座(あぐら)で座った目の前にピラミッドのように積む選手権をしていた。
・ウィンクキラーが流行っていた。
・モーニング娘。が流行っていてみんなでコスプレして踊った。
…こんなんでどんな感じかわかるかな?

ー(爆笑)とりあえず平和な感じはよくわかりますよね。めっちゃシビアな話し合いなのに、蚊のピラミッドって…(笑)。動物もたくさんいましたね!
当時の出来事で一番印象に残っていることはなんですか?また、面白エピソードがあったら教えてください。

 

これも頑張って思い出さなきゃだね。え~っと…。
・定期的に両親が大量の食材を持ってきて、大量の美味しいご飯を作ってくれたこと。たこ焼き器を持ってきたのは我が親ながらいいアイディアでした!John(父)と絹代(母)も、だいだらぼっちに行くの楽しかったと、今でもよく言ってます。
・バレンタインデー加湿機事件。中3の時、好きな人に渡したくて学校に持っていった手作りチーズケーキ。ドキドキしながら渡すタイミングを見計らっている間、位置的にちょうどよかった心の相談室の加湿機の蓋の下に、チーズケーキを隠しておいた。結局恥ずかしくてその日は渡せず、下校前に取りに行ったら、いつの間にか掃除のおじさんに回収されていて、食べられちゃったかと思いきや、職員室で見つかり微妙な表情で返却されて恥ずかしかった。
・連絡の時、「こたつの中であんドーナツ食べないでください」ってだれかが言ってた。
・宿直室の手前に電話があって、両親や、好きな人に電話した記憶。
・・・かな。

ー確かにいつも大量のおいしいご飯を作っていただきました!あと、お年頃の人たちのLOVELYな電話もありましたね。懐かしい(笑)。大広間にある電話でしか話せないからきっと恥ずかしかったですよね。他人事ながらくすぐったい感じがします(笑)。
だいだらぼっちでの暮らしは今のどらちゃんにどんなふうにつながっていますか?あるいはどんなふうに位置づいていますか?

 

だいだらぼっちは第二の故郷であり原点。大学で大失恋したとき、みけに連絡してだいだらぼっちに傷心里帰りしたこともあったよね。(あったあった!)
やりたいことや好きなことがないって言ってる人をたまに見かけるけど、私の〝もの作りが好き!“という揺るぎない気持ちはだいだらぼっちで確立されたと思う。大人になってからは転勤で住む場所が3年ぐらいごとに変わってきたけど、周りの人との対話の中からアイディアを見つけたり、日常の中で楽しさを見つけたりして、その時そこにある限られたものを使って新しいものを生み出す喜びを感じられるのは、だいだらぼっちでの経験があったからだと思う。新潟転勤で大量の段ボール箱が発生して思い立って作ったのがこちらのキリン、ジョセフくん。ダンボール、新聞紙、模造紙、アクリル絵、紙粘土などでできている。展示会でお店の看板として店頭に立ち、子供たちに大人気でした!

 

ーこのジョセフ君のタッチ、どらちゃんっぽい。かわいいですね!
どらちゃんが今夢中になっていることはありますか?あれば教えてください。
その魅力も!

 

ステンドグラス!始める前は、教会のイメージが強かったけど、実はもっと身近に自分の好きなデザインで平面も立体も作れる。照明器具としてインテリアとしても暮らしに取り入れ可能。 ガラスは背景が変わると全然違って見えたり、光の当たり方や時間帯によっても見え方や影が違うし、表面のテクスチャーも様々で、予想できない美しい表情がたくさんある。吉祥寺での草來舎の展示会で、ぎっくとマルちゃんにも、ステンドグラスや版画の作品を持参して見てもらって、陶芸教室を思い出してとても暖かい気持ちになりました。

この写真は、香水ボトルをモチーフにしたステンドグラスを自由に並べ替えられるシリーズ。制作活動について『YouTube 芸術応援バラエティー ラフらぼ!』に取材してもらったので、よかったらみてください!「楽屋な時間」ではだいだらぼっちのこともちょっと話したよ!

https://www.youtube.com/watch?v=HURFlNMVz2Y 

https://www.youtube.com/watch?v=Dr0jDhFme48 

 

ーみなさん、ぜひアクセスしてみてくださいね!ではそんなどらちゃんの夢を教えてください。

 

自分のアトリエを持って、制作活動に勤しんだり、ステンドグラスのワークショップを開催したい!
家族と日々を穏やかに楽しく暮らしたい。

 

ーふふ。ここのところ、日々を穏やかに暮らしたい的なことを言う人が多い気がするのはみけだけかしら?でもとっても大事なことだよね!アトリエに尋ねていく日がくることを楽しみにしています!
最後に今のだいだらぼっちのこどもたちにメッセージをお願いします。

 

大人になったら、あの頃に戻りたいと必ず何回も思うので、今そこにいられる時間を存分に楽しんでください!!
タイムカプセルは、掘り返すときにわかりやすい位置に埋めるように!

 

ー「そうだ!そうだ!」と同意するOB・OGがたくさんいそうな言葉ですね。
タイムカプセル、見つけるの大変でしたもんね(笑)。あったかい言葉をありがとう
ございました!

インタビューの中で本人も言っていましたが、いつぞやは大失恋をしてだいだらぼっちに傷心を癒やしに来ていました。他にも何か辛いことがあれば素直に相談しに来るところは当時のまま…いえ、当時よりも今の方が弱いところも見せてくれているのかもしれません。素直でかわいらしくて、人の気持ちをまともに全部受け取ってくれるどらちゃん。繊細さは残しつつも、とても頼もしくなったのだなぁと改めて感じました。仕事の大変さも面白さもわかりつつ、自分のやりたいことも挑戦しつづけているどらちゃん。そのバイタリティには頭が下がります。ステンドグラス作家として世に名が知られる日も近いのではないでしょうか。その日が来るのを心待ちにしています。またぜひ遊びに来てくださいね!