体験を通した学び!「対象者理解」について|松本大学受け入れ

こんにちは!スタッフのくるです。5月11日に松本大学の学生6名がグリーンウッドに来てくださいました。今回はその様子をお届けします。

来てくれたのは、「自然体験活動論」という授業を履修している学生の皆さん。授業項目のひとつの「対象者理解」についてスタッフのしんが講義をしました。「対象者理解」とは、対象となる相手のスキルや知識はもちろん、個性や特性等を把握し、それにあわせてプログラムを臨機応変に変化させていったり、コミュニケーションを変えていったりすることです。私たちが日々当たり前にやっていることでもありつつ、意識して行うとなるとなかなか奥深いテーマでもあります。そんなことを今回は学生の皆さんに体験を通して学ぶ場を作らせていただきました。

朝10時、学生の皆さんは松本からはるばるバスに乗ってやってきました。到着したらまずは自己紹介です。名前とキャンプネーム(ニックネーム)、アウトドアの経験はどのくらいあるか(スキル)とグリーンウッドについてどのくらい知っているか(知識)を話してもらいました。実は「対象者理解」はここから始まっています。学生さんたちがどのくらいスキルや知識を持っているか知ることで、これからの時間で伝えることの方向性や深さ、プログラムの難易度等を調整することができるからです。

円になって自己紹介です。

その後、施設案内をしました。主に山村留学「暮らしの学校だいだらぼっち」と、放課後児童クラブ「いってきました」について説明しました。「だいだらぼっち」には基本的に決められているルールは無く、皆の話し合いを経て暮らしが決まっていくこと、田んぼや畑、薪等の作業を行い、自然の中で暮らしを作っていることをお話しました。「いってきました」では、こどもたちのやりたい!を大切にして、放課後の2~3時間の間を過ごしていることを伝えました。五右衛門風呂を案内した際に「トトロみたい!」と話してくれたり、「だいだらぼっちのこどもたちは学校には普通に通っているんですか?」とこどもたちの暮らしについて質問を投げかけてくれたりしました。

施設案内をしました。

施設案内が終わったら、次は昼食の時間です。しかし、ごはんが用意されているわけではありません。自分たちで薪を割り、火を点け、飯盒でごはんを焚き、昼食を作ります。まずは、しんから斧やナタの使い方と飯盒についての説明、お米を炊くときの水の量の目安などを伝えました。また、食べ物を無駄にしないという基本、つまり、炊いたお米は、多かったとしても、焦げてしまったとしても、必ず全て食べきることを伝えました。

まずはしんの説明を聞きます。

早速、実践の時間です。全員、薪割りも飯盒でごはんを炊くことも初めてのことでした。薪割りは皆とてもセンスがあり、順調に割っていきました。なかなか割れない薪にチャレンジしていた学生さんも、仲間からの声掛けや、チームプレーで、最後には割ることができ、笑顔がこぼれていました。また、飯盒でお米を炊くとき、大事になるのは水の量です。しんからの説明をヒントに、自分たちの中にある知識を持ち寄って話し合い、水の量を決めていました。チームの人と「おいしいごはんを炊く」という同じ目標に向かって、頭を使って考えたり、協力して手足を動かしたりすることで、学生さん同士の会話も増え、だんだん表情も明るくなってきました。

硬かった薪も割れました!
みんなで話し合って水の量を決めています。
うまく火がつきました!
つやつやのお米に学生さんたちの顔もほころんでいました。
片付けも最後まで自分たちで行います。

片付けをした後は、しんの講義です。まず「対象者理解」の基本について学びます。さらに、今回は今日1日の活動をベースに、グリーンウッドが行っている「山賊キャンプ」の様子も取り上げ、キャンプ現場ではどのように「対象者理解」が活かされているのかを学びました。また、特定の場面を例に挙げて、どのようなことを意識してプログラムを作るかを実際に考えました。皆たくさんメモを取り、真剣に聞き、ディスカッションをしていました。敷地案内を経てこどもたちの暮らしや日常を知り、野外活動の経験を通して、講義を受けることで、実感が増し、とても良い学びの時間になっているように感じました。

最後に学生さんから頂いた、感想の一部を抜粋します。

「仲間と協力することが大切だと思った。」「1人じゃできないことが多いことが分かった。」

「薪割りも他者と協力することもやっている子どもたちはすごい。」

「初めてこういう場に来たけど、こどもの頃、自分もやってみたかった。」

「対象者理解はまずはその場で観察しないと分からないのが難しそうだと思った。」

「自分で考えて行動をすることがこの大学生活で初めてのことだった。大変だったけど、楽しかった。」

あっという間に帰宅時間の15時になりました。短い時間でしたが、その中でたくさんの学びを持ち帰ってくれたように感じました。受け入れを担当したスタッフしんは「これまでやっていた講義のみ場合とは反応が全く違う。同じ体験を共有した仲間のなかで安心感が生まれたことで、講義の中でもしっかり考え、自身の考えを言葉にして表現することができていたのかもしれない。コロナ禍に大学のオンライン授業をたくさん受け持ってきたけれど、やはり自ら身体を動かす学びに勝るものはない!」と話していました。先生からも「振り返りを行ったところ、本質的な議論ができた」とのコメントも。コロナ禍で体験が減っている青年たちだからこそ、短い時間でも大きく響くのかもしれません。