「インフォメーションはコミュニケーション」|2022教師・指導者育成プロジェクト~ふーみん7・8月の研修報告~

8月の山賊キャンプでの経験を中心に振り返ります。

私は、キャンプの現場においてフード(下記:F)という役割を担いました。主な仕事は、キャンプ運営面の食事に関わることです。初日こどもたちを迎えるための夕食づくりや、こどもたちが使う食材管理、本部(キャンプ現場運営に携わるスタッフ)の朝食と夕食の調理、衛生面での安全管理や食事作りに関するインフォメーション等仕事は沢山ありました。キャンプ前の4カ月間は、「1年間参加している研修生」という感覚だったのですが、キャンプが始まった途端にキャンプ現場の重要な役割を担い、最初は戸惑いや不安が大きかったです。しかし、食事にかかわる大切な役割を任せてもらったことが自信に繋がったと感じています。

例えば、食事作りのインフォメーション。山賊キャンプの朝食と夕食は全てこどもたちが作るため、食事作りで注意してほしい情報がたくさんあります。以前教育実習の際に、こどもの前で話す経験をしたものの、異年齢の山賊キャンプでは、どの子も引き込みながら分かりやすく伝えることは難しいです。ここで学んだことは、「インフォメーションはコミュニケーション」だということです。

  • こどもの反応を拾いながら話す。
  • イメージが湧きやすいように、実物を使ったり、動きをつけて大げさに表現したりして聞き手を引き込む。

このように、一方的な説明ではなく、コミュニケーションをとりながら伝えることを学び、実践しました。人前で話すことに苦手意識を持っている私にとって良い経験になりました。

Fの一連の仕事が分かってくると、こどもたちの様子を気に掛けることができました。まな板や包丁をとりに来るこどもたちに「今日のご飯は何を作るの?」「火起こしマスターになった?」と何気ない会話をしたり、疲れている表情だったら、「少し疲れてる?大丈夫?」と声をかけたりしました。このような何気ない会話への意識は、こどもたちとの距離を縮めたいという想いから生まれたものです。こどもたちにとって私が「ご飯の準備をする人」ではなく、「一緒にキャンプをしているふーみん」になってほしいという気持ちで自分から関わりに行けるようになりました。

 

山賊キャンプの魅力はたくさんあるけれど、私にとって大きな気づきが2つあります。1つは、環境に配慮されたキャンプ運営です。米の砥ぎ汁は皿洗いに使う。使い終わった皿や調理器具に付いた汚れはふき取ってから洗う(汚れた水を流さない工夫)。生ごみは堆肥場へ持って行く。これらは私にとって、だいだらぼっちの文化としてあたりまえになった行動でしたが、環境に配慮された行動として再認識されました。ゴミをなるべく出さない生活、水を汚さない生活を、来年以降も続けるために暮らしの工夫を今後も学び続けます。

もう1つは、こどもたちの食への感覚です。キャンプのご飯作りに使う食材には泰阜村の野菜がたくさんありました。あるキャンプで、大きなスイカをいただき、そのスイカの甘さに感動したこどもの何人かが、「このスイカは誰が作ったの?お礼の手紙を書きたい!」と言っていました。普段の食事では、自分が食べているものを誰が作っているのかなんて気にしないだろうし、食材への感謝の気持ちも忘れがちだと思います。しかし、山賊キャンプでは食べ物への素直な感覚が生まれ感謝の気持ちも表れていました。

土から育てられたものを美味しいと感じる感覚、食材への感謝の気持ちを育める教育にも山賊キャンプは携わっていることが分かりました。

 

山賊キャンプが終わり、だいだらぼっちでの生活が戻ってきました。2学期は「何でも面白がる」ことが目標です。山賊キャンプで得た自信から、もっと自分の気持ちを伝えて良いし、私がこどもたちと同じくらいはしゃいで楽しんでも良いんだという気持ちが湧いています。こどもの前で相談員(大人)としての心のバリアをせず、人間どうしの関わり合いがしたいです。そのためには、「考えることを諦めないこと」が必要です。9月は、染物や陶芸で暮らしに必要なものを自分で生み出すことと、こどもたちとキャンプの企画をすることを特に楽しみたいと考えています。どちらも1学期に経験しているからこそ、段取りをよく考えてワクワクする気持ちがしぼむ前に、瞬発力を高めて行動していきます。

また、グリーンウッドの教育事業について知る1カ月にしたいです。この目標を立てたのは、山賊キャンプに参加したことで、だいだらぼっちとは一味違う現場を経験したことがきっかけです。他の事業にはどんな想いが込められているのかやどんな活動をしているのか興味が湧きました。まずは、それぞれの事業に携わるスタッフの話を聞くことから学びを深めていきます。

 

7・8月担当 ゆべしのコメント

キャンプへの気合が入る一方、人前で話すという自身の苦手と向き合いながら頑張った中で「インフォメーションはコミュニケーション」と結びつけられたふーみんのこれからに期待がふくらみました!

大人の話しはしっかり聞いてほしい!と思いがちですが、「しっかり」とはどんな状態を目指したいのか?何を伝えたかよりも、どう伝わったのかまで見届けることが重要です。キャンプの現場となると説明後すぐに包丁や火おこしなどが始まるため、顕著に結果を実感したことでしょう。私達スタッフも、山村留学の暮らし以外のこうした現場も積み重ねることで、伝えるスキルを養っているのです。

また、ふーみんはキャンプをきっかけにここに来る前に感じた「非日常(自然の中の暮らし)」が、緩やかに日常化していたことを自覚できました。キャンプのこどもたちのように目を輝かせていると、足元の豊かさに沢山気がつくはずです。まだ見ぬ季節の訪れももうすぐ。長いようであっという間の2学期ですから、今を逃さず、一緒にワクワクしましょう!