「楽しみを生み出す段取り」2022教師・指導者育成プロジェクト~ふーみん5月の研修報告

 5月は4月よりもバタバタと、あっという間に過ぎていった感覚です。ゴールデンウィーク薪作業や田植えといった、だいだらぼっち一家総出の作業があったり、田んぼオリンピックで体の隅々まで泥だらけになったり、パワフルに活動する1カ月でした。

 

 5月の出来事で印象的だったことは、月末に行った「あんじゃねの森キャンプ」です。相談員2人、こども2人の4人でキャンプの企画をしました。なぜ印象的だったかというと「段取りの大変さ、大切さ」を感じたからです。

 「段取りの大変さ、大切さ」を特に感じた場面は、様々な意見が対立し、4人の気持ちがまとまらない中で「今回のキャンプで何を1番大切にしたいか?」ということを話し合ったことです。キャンプの目標の中に「自分たちの力でやる」という目標がありました。この目標には、どうせキャンプをやるなら、やったことのないことに挑戦して面白いキャンプにしたいという私の気持ちもありました。しかし、話し合いの内容が山積みになっていくうちに、話し合いをすることへのモチベーションが下がってしまったり、ハードなスケジュールや持ちものの多さに不安感を覚えたりして、「やっぱり車で行こうよ…」「もっと近くのキャンプ場にしようよ…」という意見も出ました。やってみる前に諦めてしまうのはもったいないと考えた私は、「自分たちの力でやる」という目標を1番大切にしたいとみんなに伝えました。不安感を拭えずにいる子もいましたが、方向性が定まり、みんなにも分かりやすくキャンプの説明ができたことで少しずつ安心して当日までの準備ができるようになったと思います。

 キャンプ当日、太陽が照り付ける中、自分たちの荷物は自分で持ち、キャンプ場まで自分たちで歩くというかなりハードな行程でした。しかし、「鍋は紐を括り付けてリュックのようにして持とう!」など、こどもたちの面白いアイデアがたくさん生まれました。キャンプからの帰り道、心が折れそうになりながらも助け合いながら歩ききって到着し、達成感に満ち溢れとても嬉しかったです。

 

 

 段取りの大変さ、大切さを実感して考えたことは、自分の力で生み出すことの難しさです。用意されたもので楽しむことは簡単だけれど、楽しいことを自分たちで一から考えて実践することは難しい。でも、だいだらぼっちで暮らしている今こそ、自分の力で生み出すこと、今までにない挑戦をする方を積極的に選ぼうと決めました。

 5月の目標に「村の人との交流を増やす」ということがあり、そのアクションとして徒歩で出勤して村を歩いたり、村の方に野菜をいただきに行くのに付き添わせてもらったりしました。通りがかった人や作業中の方に挨拶をすることがあたりまえになり、お話ができたときには食べられる植物や花の編み方を教えてもらいました。挨拶をするだけではなく、お名前を教えてもらって何気ない会話をすることは、私にとってチャレンジなことですが、村の人とのつながりを実感するためには、もう一歩踏み込んだ関わり合いをしたいと感じました。

 村の方にフキをいただきに行き、たくさん生えているフキに興奮気味のこどもたちと一緒に摘みました。いただいたものは、責任を持って美味しくいただくこと。そこまでがお付き合いで大切だということも実感しました。美味しく食べるための下準備は時間がかかり大変でしたが、その工程を知ることも、いただいた野菜を美味しく食べることで村の人とのつながりを感じることも暮らしの中にある学びだと感じました。

 5月を過ごしてみて、さらにいくつか感じたことがあります。1つは「こども一人ひとりと話す時間をつくりたい」ということです。他の相談員を見ていると、ご飯中やお風呂に入った後など、こどもたちと会話をする姿があります。そんな姿を見ていると、私自身がだいだらぼっち一家の一員としての実感を得て、みんなと向き合いたい、一人ひとりのことをもっと知りたいという気持ちになりました。もう1つは、「意思表示のタイミングを逃さずにしたい」ということです。毎日の話し合いや相談員で行うミーティングなどで自分から伝えるべきことなのかどうかを忖度する場面がありました。例えば、みんなに伝えたいことが自分の中でまとまっていなかったり、気づいたことがとても些細なことだったりしたときに、伝えなくても良いかな…と諦めてしまうことがありました。相手の話に耳を傾けて、自分の考えをじっくり考えるのと同時に、これからは自分の意思をはっきりと伝えることに挑戦します。そして、自分から家族の輪に入っていきたいです。

 

5月担当スタッフ おらふのコメント

 受け身だった4月を経て“主体的な行動を増やすこと”を目標に掲げていたふーみん。その目標がキャンプ企画・運営を通して達成されたと感じています。慌ただしい日常生活の中で隙間時間を見つけては「キャンプのこと話そう!」とこどもたちに声をかけていた姿が印象的でした。企画メンバー以外に上手く想いが伝わらないことや、考えることが山積みになるなど様々な困難がありましたが、主体的に関わったからこそ全てを学びに出来たと思います。段取りの“大変さ”だけでなく、“大切さ”も掴んだことはふーみんの強みです。また、ふーみんは自分自身に足りてない力に気づき、行動に移すことが出来ます。今後さらなる挑戦を重ね、ふーみんが成長し続けることを応援しています。