与論島×泰阜村のこども交流

山に囲まれた村のこどもと海に囲まれた島のこどもが出会う旅

先日、山に囲まれた長野県やすおか村のこどもと、海に囲まれた鹿児島県与論島のこどもたちで2泊3日の交流事業を行いました。
そもそもの発端は、この写真の一番左に写っている池田さん(通称:バン)との縁からはじまりました。バンは元々グリーンウッドのスタッフでした。2008年から2013年まで6年間を泰阜で過ごし、山賊キャンプや村のこどもの体験事業を担当していました。こどもたちに泰阜の自然を教えながら、果たして自分は与論島のことを教えられるのかと気づいたそうです。また与論島は海の美しさで有名ですが、「海がキレイ」なのだと気づいたのは、大学進学のために与論を出たときだとのこと。

足もとにある自分の村を知ることは「アタリマエ」だからこそ難しい。外に出たときに自分の住んでいる村の素晴らしさに気づくのではないかと話していました。「いつか泰阜のこどもと与論のこどもを交流させたい。それがどちらのこどもにとっても気づきと学びになるはず」。

小さな地域はどこも存続が危ぶまれています。引き継いでいくこどもたちが、地域の財産に気づくことで持続可能性が拡がります。小さな地域同士がお互い交流するこの事業が光明となるのではと願って企画し、とうとう与論町、泰阜村の協力を得て実現することができました。

今回はトライアルということで泰阜から5名、与論から3名の小学生が参加。1泊2日のキャンプと海あそび、民泊体験と最終日は与論の小学校に1日体験入学というスケジュールです。海を見たことがない、飛行機もはじめてというこどもたち。しかし天気予報は梅雨のため、3日間全て雨予報!果たしてどうなるか。

キャンプ場についてすぐに海あそびをしました。まだ与論のこどもは全員集まっていませんでしたが、雨が止んでいる隙に少しでも海に入ることにしました。歩いて1分の海で大興奮!

その後全員集合して、キャンプスタート。夕食づくりからはじまります。最初は戸惑っていましたが、すぐに仲良くなって、ご飯づくりの合間にも鬼ごっこをして遊んでいました。こどものコミュニケーション能力の高さに驚きます。

2日目はグラスボートに乗って海あそび。朝まで降っていた雨も小雨になってきました。これから釣り、シュノーケリング、SUP(スタンドアップパドル)、そして百合ヶ浜に向います。
みんないい顔しています。

ボートに乗っていると、ウミガメが!しかも一匹だけでなく、2匹、3匹!

浜から少し離れた小島の浅瀬で釣りをスタート。島のこどもがやり方を教えてくれます。エサのつけ方から魚の取り方、名前、なんでも知っている様子に泰阜のこどもたちも「スゴイ!」と尊敬のまなざしです。

釣りを初めてすぐに島のこどもが釣りました!さすが!

しかしこの色彩!「THE!南の島の魚」の色にみんな「本当に食べられるの!?」と率直な感想です。夕ご飯にから揚げにしていただきましたが、とてもおいしかったです!

その後シュノーケリングではホンモノのニモに会ったりと楽しんだ後、干潮の時だけ沖に現れる幻の浜、百合ヶ浜に。しかも曇り空からの晴天です!

ヨロンブルーの海に大興奮。しかし島のこどもは「そんなにこの海ってきれい?」と不思議な顔。とんでもなくきれいなんだと熱く語りましたが、あまり納得していない顔でした。泰阜のこどもたちの言葉で、「アタリマエ」の豊かさに気づいてくれたかもしれません。

この海を見せられて本当に良かった!バンもうれしそうでした。

その後キャンプ場に戻って、島のこどもたちは解散です。住所交換をしながら、「明日学校で待ってるね!」の声。なんだかいいなと感じます。

最終日は雨。本当に運のいいこども達です。与論に3つある小学校の内、一番小さい那間小学校にお邪魔して、1時間目から4時間目まで授業を受けます。先生から紹介されて転校生のような気分です。緊張が体全体からあふれています。

一緒にキャンプをしたこどももいたり、授業もグループ学習を中心としていただいたことで、非常に和やかな雰囲気でした。

今回のテーマは他の地域に住んでいる同年代のこどもと交流することで、逆に自分たちの地域を知るきっかけになるのではないか?というもの。海あそびで仲良くなったり、普段の遊びを知ることも重要ですが、もうひとつポイントにしたのは、学校に通うという「アタリマエ」の日常を旅に取り入れることでした。

最後の4時間目は泰阜村と与論島、それぞれの地域の紹介をしました。短い時間での準備でしたが、なんとかなりました。こどもたちもホッとしている様子です。

その後、給食を食べて慌ただしく学校を後にしました。校長先生からご挨拶いただき出発です。短い時間の受け入れにも関わらず、いろいろご準備いただき本当にありがとうございました!

今回の2泊3日の旅の最後に飛行機の中で感想を書いてもらいました。

「(与論のこどもは)自分たちの住んでいた所のことをすごく知っていた。与論の子たちがもしこちらに来てもらったとしてもあんなに自分の住んでいるところを胸を張ってくわしく説明できないだろうなと思ってすごく恥ずかしかったし、何かくやしかった。」

外から来た人たちはみな「泰阜村は素晴らしい」といってくれます。けれど普段そこに暮らしていると見えなくなってくるものがあります。少しでも村のことを「知りたい」と思うきっかけになってくれたのであればとてもうれしく思います。

こどもにとって今見ている世界が全てです。「世界は広い。」言葉でいくら言っても、こどもたちが実感することは難しいこと。今回、「まだ知らない世界がある」「自分が動けば世界が広がる」そんな感覚も知ってくれたらと願っています。

さて今度は与論のこどもたちが泰阜村に来てくれるとのこと。村のこどもたちは何を紹介できるのか?またまた次の楽しみができました!

最後になりますが、与論のみなさん。本当にありがとうございました!