やまほいく実地研修事業「長野市保科保育園」 

長野県で推進している信州型自然保育認定制度「やまほいくの郷」。長野県にある公立、私立の保育園で自然保育を広めていこうという活動があります。

「何をして遊べばいいの?」「やまほいくと胸を張れるほどのことはなかなかできない」「野外のリスクがわからない」など、様々な悩みを解消するため、グリーンウッドはその認定された園での自然保育の研修を請け負っています。

今回は長野市の保育園の先生方対象に行ってきました。リクエストは「野外での活動の幅をひろげたい」とのこと。

そこでまずはお邪魔した園の園児26名とグリーンウッドスタッフのなおみちが実際に活動してみせます。

最初にはじめましてのこどもたちばかりなので、ゲームから。

知らない大人が来たぞ、と警戒していたこどもたちも少しずつ興味を持ってくれます。
少し緊張がほぐれたところで、散歩に行く前にこどもたちに「なおみちはここのことを良く知らないから教えてね。散歩に行くとき何を気をつけたらいいの?」と聞きます。そうすると、「車が危ない!」「ハチがでるかも」と口ぐちに話してくれます。

いよいよ散歩に出発。歩いて15分ほどの原っぱに遊びに出かけます。

事前にこどもたちには「おもしろいものあったら教えてね」と伝えていますので、

つぶれたカマキリを見つけては立ち止まり、何かのフンを見つけたら騒いだり、木の実を見つけたら摘んでみたりとゆっくりゆっくり進みます。その結果、30分かかって目的地に到着。
そのこどもの「興味」にあわせて歩くことがとってもおもしろい。こどもと大人の目線は違うので、発見することも全然違う。そこに共感しながら歩くとさらに発見していくのです。

こどもたちとの1時間半ほどの散歩と原っぱでの自由遊びを終えて、午後はいよいよ先生方の学びの時間。

午前中のこどもたちの活動を見て、「こんなことをしたらおもしろそう」「あんなことをやってみたい」というものをどんどん出してもらいます。

「何をしたらいいかわからない」という理由での研修でしたが、書き出してみるとどんどんアイデアがあふれてきます。さらにグループで行うので、「それもいいね!」と盛り上がってくるのです。

今回は書き出ししてもらった後に、横軸は「すぐにでもできる⇔難しい」、縦軸は「自分ひとりでもできる⇔大勢の協力、理解が必要」というようにマトリクス化します。そうすることで、すぐにできることが「見える化」され、チャレンジのハードルが一気に下がります。

実はそれがねらい。そもそも先生方は色んな技を持っています。それが「野外保育」というラベルが貼られると、トタンに何か特別なことをしなくてはならないのでは。とプレッシャーに感じてしまいます。今できることを棚卸するだけで、やれることが一気に増えます。さらに、実際に現場に立つ先生方が「やりたい!」というモチベーションを持つことで、誰かから教えてもらった「自然保育」的なものに頼らず、自分たちで「生み出す」ことができるようになるのです。

最後になおみちから、リスクマネジメントについて話しました。リスクマネジメントというと構えてしまうもの、そして大人がこどもを守るとなると、どうしても遊びを「制限」せざるを得ません。
なおみちからは「リスクマネジメントはこどもが自由になるためのもの」なのだということ、そしてその方法を伝えました。こどもが自分で危険を理解すれば、自分の身は自分で守れるようになり、こども自身が自分の遊びを拡げられるのです。

実際に1時間半とはいえ、こどもたちが自由に遊んでいる姿を見た先生方には腑に落ちる様子でした。

先生方の感想では、こんな言葉が。

・こどもがのびのびと目を輝かせている姿に感動。

・職員(チーム)で理解し、協力することが大事だと感じた。

・普段は水筒の水を飲むのも一斉に飲んだり、笛で合図したり。今日の草をとりたいときにとり、「ひとりで考えたんだ」という得意げな姿にこういう保育が重要なのだと感じました。

・散歩は目的地でなく、こどもが発見したことに立ち止まり、話したり、遊んだりするゆったりした時間が大切だと感じた。

・無理をしないでやれることからやればいい。ハードルを下げてという話しを聞いて、認識が変わりました。

・リスクもこどもたちが主役、という言葉にハッとさせられました。

・みんなで考えている時間がとてもワクワクしました。なにかできそうです。

今日の研修に参加した先生方のチャレンジを応援しています。

実はまた来週もこの研修。がんばってきます!