2021教師指導者育成プロジェクト~なるこ 12月の研修報告~

NPOグリーンウッドでは、次世代を担う教師を育てる「教師・指導者育成プロジェクト」を実施しています。育成プロジェクトでは山村留学だいだらぼっちや信州こども山賊キャンプなどグリーンウッドの様々な事業に関わり、こどもたちと生活を共にし、実体験を積む中で人間としての土台を拡げることを目的にしています。今年度参加者のなるこ(寺井 朱里さん)の12月のプロジェクト研修報告です。

-12月を振り返って-

11月の振り返りを経て『ひとりひとりの変わろうとする想いが仲間の関係性や場の在り方を変えていくために大切だ』ということをこどもたちに伝えたいと強く思いました。そこで、12月の目標として毎日の連絡(家族会議)や話し合い、また日々の関わりの中で伝えたいことを臆せずに言葉にしていくことを心掛けました。

ある日の連絡で以下のようなことをこどもたちに伝えました。

・これまではこどもたちに大事なことを伝えるのは、自分ではなくて経験を積んでいる他の相談員の方がいいと思っていたこと

・自分でなくていいという気持ちはきっと全体にも伝わってしまっていたと思っていること

・この場を作っている全員が、今のままではなく変わろうと思えば、絶対に変わっていくと思うこと

・調子が悪い人がいた時も、他の人たちの前向きな雰囲気でその人を巻き込んでいい方向に進んでいきたい。私も変わろうと思うからみんなも一緒に変わろうとしてほしい

この時は今の仲間同士の関係性や自分たちの暮らしを見つめ直す話し合いをした直後でした。勇気を出して自分の想いを伝えると、こどもたちは耳を傾けて聞いてくれ,少しずつ変化が起きました。いつもは受け身だった子が連絡の司会をしていたり、イライラしてしまいそうな場面にぐっと堪えて受け答えをしている子がいたり、仲間に前向きな言葉をかけている子がいたり、その言動からこどもたちが変わろうとしていることを実感しました。話し合ったばかりの頃は言動に変化があったこどもたちも時間が経つと、その意識が薄れていきます。一度、自分が勇気を出して伝えたことがこどもに届いていたとしても、それはきっとほんの一部です。連絡の場でも日々の関わりの中でも、伝えることを続けていきます。

だいだらぼっちが開設当初から関わり続けている相談員から、どんな想いで関わってきたか、どれだけ懸命にここで生きてきたかという話を聞きました。相談員はこどもたちにとって親の代わりです。そのことを常に胸に刻み、関わり続けてきた強い覚悟を知りました。この時、私は初めてだいだらぼっちがひとつの「家族」であることを意識しました。嫌なことがあった日も嬉しい気分の日も、こどもたちにとって帰る場所はだいだらぼっちで、一緒にごはんを食べて、お風呂に入って、共に過ごすのがこの仲間たちです。私の家族も遠すぎず近くすぎずどんな時も支えてくれていたことを思い出しました。こどもたちにとって「家族」のような存在であることを心に留めて、みんなが安心していられる場所をこどもたちと一緒に作っていきたいです。

そのために、まず1月は学校から帰ってきたこどもたちひとりひとりの顔を見て「おかえり」と声をかけることを継続して続けます。また自分の親が毎日してくれていたように「今日はどうだった?」とこどもたちの話を聞く時間を持ちたいと思います。

担当者より

なるこは振り返りや先輩相談員との会話を経て、こどもたちが安心していられる場所をつくりたいと感じたそうです。その目的のためにもこどもたちの話を聞く時間をつくることを継続出来るよう、忙しい日々の中でも意識して行動してほしいと思います。また、こどもたちの行動で良くないのではないかと疑問に思うことがあっても、なるこ自身の腑に落ちていないものは自分で伝えず避けてきたという意識もあるようでした。一緒に暮らすということは楽しいこともあれば、ぶつかることもあります。時に疎まれることもありますが、本音で関わることは共同生活において大切なことです。家族として接することには、その子の将来のためを考え疎まれたとしても伝えるという覚悟も必要です。今後は是非そこにも挑戦してほしいと思います。