2021教師指導者育成プロジェクト~モアイ 11月の研修報告~

 NPOグリーンウッドでは、次世代を担う教師を育てる「教師・指導者育成プロジェクト」を実施しています。育成プロジェクトでは山村留学だいだらぼっちや信州こども山賊キャンプなどグリーンウッドの様々な事業に関わり、こどもたちと生活を共にし、実体験を積む中で人間としての土台を拡げることを目的にしています。今年度参加者のモアイ(森 大樹さん)の11月のプロジェクト研修報告です。

 11月頭に事務所裏の森に入れるようになり、9月の振り返りに書いた、「ドキドキワクワクする森をこどもたちとつくる」の目標達成のために動いた11月。事務所裏の森の特徴は、急斜面であること。問題点は木が密集して生えており暗く、遊べるスペースがないこと。これを解決するために、「こどもたちとどうやって遊ぶか」と「斜面を崩さない」という観点を常に持ちながら、間伐と地ならしの作業を行った。

 一週間ぐらい作業をすると、こどもたちと森に入れそうになったので一緒に入ってみた。ポジティブな面として「こどもたちが楽しそうに斜面を上下する姿」、ネガティブな面として「想像以上に土砂が流れる部分がある」など、自分が行った作業に対する結果が出た。そして次に、ポジティブな面を伸ばすため「木のぼりしやすそうな木の枝打ち」、ネガティブな面を改善するために「崩れた部分の地ならし」と、作業とこどもたちと遊ぶサイクルを繰り返した。

 遊ぶときは、まだ地ならしが不十分で土砂が流れやすかったため、特定の数人のこどもと森に入った。こどもたちからは森遊びを楽しむだけでなく、「ここ、すべりやすいから低学年の子でも歩けるように階段をつくりたい。」という声があがり、作業も一緒に行った。   

「その階段が土止めの役割を果たし、斜面を崩しにくくする」ことや「階段の材を得るために木を切ることで明るいところと暗いところの差ができ、地面に光が当たり下草が生え、それが斜面を守る。また、明るい場が好きな植物が芽を出し、植物のみならず動物の種の多様性にも繋がる」という、自然の立場からしてもプラスの影響を与えるということを、もっとこどもにもスッと入る言葉で伝えることに、継続してチャレンジしたい。

 また、「とにかく森に入る」という今月の目標を達成するために、土日も作業し、夜はテントを張り泊ってみたりもした。そうやって毎日森に入る中で感じたことがあった。「落葉樹が葉を落とす様から、季節の移り変わり」「20mぐらいの広葉樹が倒れるときの音とその迫力から、樹の重みと自分がそれに手をかけているということ(それが森にプラスの影響を与えることであったとしても)」「雨の日に、一気に土砂が流れる様から、人が自然に与える影響の大きさ」「寝ているときに、近くでガサガサ音がすることから、生き物が森に棲んでいること」(言葉にしても伝わらないことが多いと思うが)といったことだ。何が言いたいかというと、「とにかく森に入る」ことでより”森の面白さ”を感じ、その”森を大切にしたい”ということだ。

 だから、早下校が多く学童の時間が長くなる12月は、目標のひとつを「こどもたちと森に長い時間入る必然をつくる」(例えば基地をつくりそこで焚火をする等)とする。

〈 11月研修担当なおみちの振り返り 〉

 毎日フィールドに入り、こどもたちと遊んだからこそ見えてきた森の課題。その解決に向けて実践してきたモアイの集中力と行動力には感服です。整備を始めた頃は、アトラクション制作や実験のように見えていた作業でしたが、生きている命と向き合っていることに気づき、取り組む姿勢が変化してきました。自然とどう生きるかという視点が深まり、心を育てる場づくりへの熱が高まりました。素直なモアイの感性が、日々を学びの場に変えています。もの凄い速さでひとなって(成長して)いくモアイに頼もしさを感じます。今の取り組みの結果が見えてくるのは数年先か数十年先のことですが、未来の自然とこどもたちへの愛情が、今まさに種として撒かれています。