緑ヶ丘中学校の受け入れ-暮らしをつくるデイキャンプ-

夏に中学生の修学旅行の受入れ事業を実施しました!今回が初の試み。コンセプトは山賊キャンプをベースした「暮らしをつくるデイキャンプ」その様子をお伝えします。

今回やってきたのは、飯田市にある緑ヶ丘中学校の31人の生徒たち。そもそもは県外に修学旅行の予定が、新型コロナウイルスの影響で断念。近場で価値ある体験ができる場所を探して、グリーンウッドに連絡がきました。声をかけてくれた先生は以前、泰阜中学校で勤務されていたこともあり「だいだらぼっち」や「山賊キャンプ」などグリーンウッドの教育活動をよく知って下さる方でした。泰阜の大自然の中で「自分たちで暮らしをつくる」というグリーンウッドのキャンプを生徒たちに体験させたい!という想いで始まりました。

今回の懸念は、いつものキャンプとの違いです。通常の山賊キャンプの場合は様々な地域からきた仲間たちと3泊、4泊キャンプの暮らしを通じてお互いの違いを認め合って協力していきます。しかし、今回は参加者が全員クラスメイトということと、日帰りの活動です。事前にそういった点も先生と作戦会議させていただきました。先生からは「せっかくの機会なのでクラス内の仲のいい関係性だけではなくて、意外な一面に気づいたり新しい関係を発見してもらいたい」と話を聞き、改めて仲間のことを知る場を目指しました。

生徒同士が普段とは違う関わりになる導入として、当日に呼び合うキャンプネーム(あだ名のようなもの)を一人一人考えてきてもらいました。先生も含めてだいぶ個性的です(笑)。そしてもう一つの仕掛けとして、当日限定の泰阜班を作りました。普段は仲の良い友達同士の班ということですが先生と相談してあえて崩すことにしてランダムで決定しました。その泰阜班は当日発表なので生徒たちもドキドキです。

いよいよ開催当日です!最初に自己紹介と緊張をほぐす簡単なゲーム(アイスブレイク)を行いました。事前に決めてたキャンプネームを呼び合えるゲームです。普段の呼び名でなく、キャンプネームを意識して呼び合っている中で、初めは緊張していましたが徐々に笑顔になっているように感じました。ゲームを終えると泰阜班の発表です。私がキャンプネームを読み上げていきます。「おっしゃ!」という元気な声があれば、無反応なリアクションだったり様々な反応でした。私は普段の様子を見たことはないですが、生徒の反応を見ていると意外でとても面白い結果だったんだろうなと思います。

発表を終えたら最初のアクテビティーである沢登り。クラス一丸となって上流の犬戻りの滝まで向かいます。川の冷たさに大はしゃぎでした。

 

道のりには川底が深くて、滝のような場所もあります。登りきった生徒たちは満面の笑顔でした。また、これから登る仲間たちに「めっちゃ勢いつよいからがんばれよ!」と「あの出っ張ってるところ足つけて登るんだぞー」と応援しました。クラス一丸となって沢登りにチャレンジをすることで手を差し伸べたり、声をかけたりと協力することができました。

 

無事全員で最終地点の犬戻りの滝に到着!滝に打たれたり泳いだり楽しんでいました。

戻ったらお昼ごはんづくりです!もちろん自分たちでつくります。先ほど発表した泰阜班で初めての作業。こちらが用意した食材は、鶏肉・しめじ・にんじん・ナス・カボチャ・玉ねぎ・ピーマン・いんげんです。この食材で何をつくるか、役割はどうするかを班ごとで話し合ってスタートです。

 

ごはんづくりといっても薪ひろいや、かまどのセッティング、火の面倒、調理、味付けなど、仕事はたくさんあります。様子を見ていると、それぞれの役割を持った生徒たちがイキイキと活動しているように見えました。普段から家で料理する子は「この食材だったら揚げもできるよ。味付けは醤油とニンニクがあったらいい味になるよ」と提案していたり、火おこしに苦戦している班もありましたが「実はガールスカウトに入ってて得意です」と頼れる存在が出てきたり、得意なことがなくても薪を持ってきてくれたり、包丁を初めて握る子は同級生に教わりながら切っていたりと、それぞれができることで仲間を支え合っていました。おそらく教室の中では知りえない仲間の姿がごはんづくりで見えたのではないかと思います。

ごはんづくりを終えたこどもたちはやりとげた達成感を感じているように見えました。

 

ごはんを食べた後は自由時間!生徒たちが選んだのは川遊び!滝つぼで存分に飛び込んで遊んでいました。生徒たちを見ていると「全力で遊ぶ経験」ってとても貴重だと思います。今は中学生でもゲームやスマホなどデジタルな娯楽がたくさんあります。しかし、大自然の中で仲間と全力で遊んで得る快感はデジタルでは得られないものだと私は思います。川の冷たさを感じたり、仲間と一緒だからこそ無茶(飛び込みチャレンジなど)ができる気持ちになれたり。そんな体験は人生でも貴重な経験です。そんな経験をたくさん積んで素敵な大人になってほしいです。

 

 生徒たちの感想では「一分一秒がとてもたのしかった。キャンプの中で友達との仲も深めることができ、とても良い経験になりました。また泰阜に帰ってきたい。」や「コロナで県外に出れなくて正直ショックで楽しめるのかなと不安に思っていました。しかし、沢登りやごはんづくりをみんなと協力することがとても楽しいことを知りました。また、泰阜に戻ってきます!」とそれぞれ思い思いのメッセージをいただきました。

 私も初めての修学旅行の受け入れで、みんながとても楽しんでくれてよかったです。生徒たちはキャンプを通じて「協力する」ということを身を持って知ったと思います。沢登り中の声のかけあいや、ごはんづくりの時の役割をがんばることで仲間の役に立つ実感を得られたり、他にも開催中の至る所で仲間同士で協力していました。教室では見えない仲間の一面を見て、よりクラスの絆を深くなってくれたら嬉しいです。後から聞いた話ですが、キャンプ後でも今だにキャンプネームで呼び合っている生徒さんもいるようです(笑)

また参加してくれた緑ヶ丘中学校の生徒たちが、山賊キャンプのボランティアなどで今後も繋がってほしいです。以上報告でした。