お正月飾りをつくる |やすおか暮らしを楽しむ会 てまひま

やすおか村で暮らす人たちと、村の自然や文化を楽しもうという「てまひま」の会。コロナ感染が落ち着いている今こそ!と今年度2回目を開催しました。

今回はお正月飾り作りです。講師を稲伏戸地区のみなさんにお願いしました。


稲伏戸では村内の独居老人の方のために、毎年お正月づくりを地区を挙げて作って配っているそうです。その数なんと160戸以上!11月から毎週金曜日、土曜日の夜に集まって作業されています。村のためにと、地域を挙げて実行されていることに、まず驚きます。
そんなお正月飾りづくりのプロフェッショナルのみなさんに教えてもらいます。

まずはおやすづくりから。おやすとは神様の食事を乗せる食器で、ワラを筒状にして作ります。用意されたワラを60gずつに分けて、それを編んでいきます。

編み方は特に難しいものではありませんが、やっている内によくわからなくなるのと、丁寧に編んでいかないと最後にカッコ悪いものになってしまいます。

稲伏戸の方々、総がかりで教えてくれています。
参加者の中にも村出身の方もいるのですが、「小学校の講座で作ったきり」「正月飾りはいつも買っているな」という声も。田んぼをしていてワラもあるけど、なかなか作る機会はないそうです。

大人は夢中になってやっていますが、飽きてきたこどももチラホラ。
広場で落ち葉集めをして焼き芋をすることになりました。特別なものはなくても仲間がいれば楽しい遊び場に早変わりです。

おやす作りが終わったら、今度はしめ縄づくり。
80gのワラの束を根元で縛り、それを3つの束に分けます。まずは二つの束を手のひらで合わせて、ワラ一本一本を捻じりながら、二つの束を編んでいきます。文章にしてもわかりにくいですが、やってみてもこれがなかなか思うようにいきません!講師の皆さんの手元を見ていると本当に簡単に、あっという間に作ってしまうのですが、見るのとやるのとでは大違い。「その人が器用かどうかすぐわかる」と言われていましたが、みんな四苦八苦していました。

先生の手際にほれぼれします。今回のようなものづくり系のイベントに来られる方は「うまくなりたい!」という気持ちが強い方ばかりだったので、みなさん二つ目に挑戦していました。

こちらは私が作ったもの。パッと見はうまくでていきますが、よく見ると…。どんなものにも修行が大切です。

おやすとしめ縄を合わせていよいよ飾りを組み立てるのですが、そこに必要な紙垂(しで)も手作りです。参加者みんなが驚いたのは、その紙垂をしめ縄に入れる道具です。講師の方がナタで道具を作っていました。長さ10cmほど幅が1.5cmの竹を切り出し、先は平たく尖らせます。お尻側をナタで数㎝だけ割を入れておいて、そこに紙垂を挟みます。紙垂を入れたい場所にその道具で差しこんで最後に抜き取ると、見事!しめ縄にキッチリと紙垂が入っています!(文章でお伝えするのが難しい!)

見事に紙垂がしめ縄に入り、驚いた様子。道具をあっという間に作り出す、その手と技に心から尊敬します。
さらに飾りとなる松と南天の実も用意してくださっていました。それぞれが飾りやすい形のものが選ばれ、準備されています。ひとつひとつの行き届いた準備に感動します。

 

午前午後の2,3時間ほどで立派な正月飾りができてきました!参加された皆さん、1つ目は見本の通り、2つ目はそれぞれアレンジを楽しんで作られていました。

 

実は材料のワラも稲伏戸で正月飾りを作るために育てたものだそうです。もち米のワラで食べてもおいしいそうですが、1年かけてこのために準備されている地域の結束力になにより感動した会でした。

一見地味に見える作業ですが、正月飾りの奥深さ、おもしろさと、そこにまつわる稲伏戸のみなさんの想いに驚きっぱなしの1日でした。続けている凄みと、地域で協働する強さ。これからの未来にもっと大切になってくる宝のように感じます。

おかげさまで良い年が迎えられそうです。稲伏戸のみなさん、本当にありがとうございました!