暮らしの学びを止めない ~暮らしの学校のこどもたちを誇りに想う~

暮らしの学校「だいだらぼっち」の1年が終わった。

このコロナ禍のなかでの1年間の集団生活。
どう考えてもハイリスクな集団だ。
地域住民との触れ合いや、都市部に住む保護者の来訪も制限された。
それらのしわ寄せを受けるのは、こどもたち。
35年やってきて、初めて迎える「暮らしの学びの“危機”」だった。

「想い通りにならないことを楽しむ」
この豊かさをこどもたちと追い続けてきた。
その真骨頂が試される1年!と、前を向き続けようとしたが、心が折れそうな時も多々あった。
NPO経営の柱だった山賊キャンプの全面中止。
スタッフの不安な想いを見つめるこどもたちの姿は健気でもあった。

例年とは違うカタチで「終わりの会」があった。
当然だが、企画も運営もこどもたちが切り盛りする。
こどもたちによる遅々として進まない混沌とした運営に、今年度1年の苦労と汗と喜びがにじみ出る。
1年間、仲間を認め、仲間一人一人を大事にして、仲間を支えきったこどもたち。
その1年間を振り返り、最後の言葉を絞り出すように語るこどもたちに、不覚にも涙があふれそうになる。
この逆境を楽しく乗り越えたこどもたちを、心の底から尊敬する。
暮らしの学びを途絶えさせなかったこどもたちを、世界中に向けて誇りに想う。

こどもたちは大きな荷物と共に、ひとりまたひとりと泰阜村を去っていく。
1年間で暮らしの学校「だいだらぼっち」を卒業するのではない。
こどもたちの人生の暮らしの学校は、泰阜村を去った時から始まる。
山深いこの村から旅立つこどもたちに、心の底からエールを送る。

代表 辻だいち