その時、村長(首長)はどうすると想うか?

「首長をやっていると、こういうことが起こるんだよ」
信州泰阜村の前村長:松島貞治氏が、300人の学生に語りかけた。

「この法律ではどうしても村民を守れないと想う時が、必ず出てくるわけだ。役場職員には、“その法律を守りなさい”と常々説いているのだが」
「そういう時、村長はどうすると想うか?」

ざわめく学生たちに松島氏はこう続ける。
「法律を守るのが役場職員の仕事。村民を守るのが村長の仕事。だから、私(村長)は迷わず、村民を守るため法律を変えるように闘う。そんな毎日なんだよ」

当たり前のことだけれど、ガツンと頭を殴られた想いだった。
私が授業を持つ立教大学に、3年前にゲストに来ていただいた時の話だ。

これを、村役場ではなく霞が関に当てはめるとどうなるのか。
「法律を守るのが官僚の仕事。国民を守るのが首相の仕事。だから首相は迷わず、国民を守るために法律を変えるように闘う」
こうなるんだろうな。
こうあってほしい。

でも、この数年、実際はどうなのか。
「首相を守るのが官僚の仕事。自分(と身内)を守るのが首相の仕事。だから首相は迷わず、自分(と身内)を守るために法律を変えるように必死に闘う」
こうなってはいないか。

国民を守るためではなく、自分を守るために法律を都合よく解釈して、捻じ曲げていく首相とその側近たち。
大臣を筆頭に、まさに身を挺して首相を守り抜く官僚たち。
こどもに胸を張れる大人なのか。

今想えば、胸のすくような松島氏の話だった。
その話を直に聴いた学生たちが今、社会に出ていく。
こどもに胸を張れる大人であれ。

そして松島氏の後を継いだ新村長:横前明氏。
彼が今日、立教大学のオンライン授業にゲストで登壇した。
現職の首長が学生に語り掛けた内容は?
いずれ紹介したい。

代表 辻だいち