これが山賊キャンプの人気のヒミツだ ~8つのオキテがこどもを惹きつける~

今年の「夏の信州こども山賊キャンプ」も多くのこども(1000人)が参加し、大人気だった。
「なぜこんな山奥にこんなにも多くのこどもが参加するのか」
このような疑問は毎年、多方面から寄せられる。
そのヒミツはいたってシンプルだ。

この山賊キャンプには、8つの「おきて」が存在する。
呼んで字の如し、参加する子どもが守るルールのようなものだ。
このおきてにこそ、山賊キャンプの大人気のヒミツが凝縮されている(と、私は勝手に想っている)。
今後、半年~1年かけて、8つのヒミツをひとつずつ紹介していこうと想う。

これが「山賊キャンプのおきて」だ!

その1 君たちこどもが主役だ

 山賊は仲間たちと話し合って暮らす。
知恵を絞って力を合わせた分だけ楽しくなる。

「ここは自分でできるからいい」
毎年参加する子どもが言う。
“自分でできる”とは、「自分たちでプログラムを作れる」ということを意味するらしい。
人気のヒミツは至ってシンプルだ。

山賊キャンプではキャンプ場に着いてすぐにプログラムを決める話し合いがもたれる。これを「山賊会議」という。
コース責任者である長老(ディレクター)が子どもたちに問う。
「3泊4日のキャンプで何がしたい?」
すると…
「川遊び!」「工作!」「キャンプファイヤー!」「肝試し!」「虫とり!」
出るわ出るわ、とにかくやりたいことを絶叫する。
他人の意見などおかまいなしだ。
しかし、絶叫しているだけではこの場が進まないことにやがて気づいていく。

「やりたいことはわかったけど、じゃあどうする?」
長老は子どもたちに投げかける。
例えば、夜は3回しかないのに、夜にやりたいことはキャンプファイヤーに肝試し、ナイトハイクに、星を見る、蛍を見たいとたくさんだ。
「キャンプファイヤーは最後の夜がいいんじゃないか」
「蛍を見るのとナイトハイクは一緒にしたらどうか? 星を見るのも一緒にできるかも」
まとまりの兆しがみえる意見も出始める。
主張するだけでは進まないことに気づいた子どもたちは、みんなが主張することが実現するギリギリの着地点を探り、まとめようとするものだ。
1回の会議で全て決まるときもあれば、決まらないときもある。
翌日に持ち越しの場合もあれば、数人の「おかしら」(子どもリーダー)に一任して決めるときもある。
決め方は様々だが、子どもたちが自分たちでまとめようとしなければ進まないことは共通だ。

さんざん悩んで、ようやく決まった3泊4日のプログラム。
それは紛れもなくここに集まった子どもたちとスタッフ、青年ボランティアたちで創ったオリジナルのプログラムだ。
だから、同じ名前のコース(例えばベーシックコース)でも、参加する日程が違うと全くプログラムの違うキャンプになる。
大人が決めたことは守らない子どもも、自分たちで決めたことは守るものだ。
自分たちでまとめることに戸惑い気味だった子どもたちは、キャンプの時間やスケジュールが自分たちの手にあるという確かな実感を抱くことになる。
それが大事なのだ。

子どもたちが「ここは自分でできるからいい」と確かに実感できるキャンプ。
それが山賊キャンプだ。

次回は、オキテその2「思いやりの心を持て」。
お楽しみに。

なお、現在「冬の信州こども山賊キャンプ」の申込期間中である。
まだ空きがあると聞いている。
ぜひ広くご紹介いただきたい。

代表 辻だいち